12月3日(土) 2005 J1リーグ戦 第34節
鹿島 4 - 0 柏 (14:04/カシマ/23,851人)
得点者:'7 野沢拓也(鹿島)、'44 アレックスミネイロ(鹿島)、'53 野沢拓也(鹿島)、'79 本田泰人(鹿島)
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「この何ヶ月か悔しい思いをしてきたけど、今日は鹿島らしいサッカーができた」と、エース・小笠原満男は悔しさを押し殺しながら最終戦勝利のコメントを残した。確かにこの日の鹿島アントラーズは賞賛すべき内容の戦いを見せた。すでにJ1・J2入れ替え戦出場が決まっている柏レイソル相手に激しいプレスを仕掛け、ボールを奪ったら素早い攻めでゴールまで向かうというムダのない攻撃を見せつける。
前半は今季大きく成長した野沢拓也とアレックス・ミネイロのゴールで2-0とリード。後半も相手を攻守ともに圧倒し、最終的に4得点をマーク。内容的には7〜8点入ってもおかしくないほどの決定機を作った。こんな理想的な勝利をもう少し前に手にしていたら、最終節の激しい優勝争いの状況も違っていたはずだ。が、時すでに遅し。わずか勝ち点1の差で悲願のタイトルを逃した鹿島は、トニーニョ・セレーゾ監督のラストシーズンを飾れなかった。
予想だにしない展開で、第34節を迎えた2005年J1。自力優勝のない鹿島はセレッソ大阪、ガンバ大阪、浦和レッズの上位3チームの勝敗よりまず、みずからが白星を挙げるしかない。3日のカシマスタジアムには奇跡の逆転優勝を祈る熱狂的サポーターら2万3851人の観衆が集結。気温11度の寒さの中、最終決戦を見守った。
右足首を打撲した本山雅志の先発出場が危ぶまれた鹿島。だが彼は痛みを押して本来の2列目でプレーした。FWには調子を上げてきた野沢が入る。他のメンバーに関してはほぼ予想通りの4-4-2だ。対する柏は7日と10日に行われるJ1・J2入れ替え戦に備え、土屋征夫をを温存。代わって薩川了洋が3試合ぶりにスタメンでピッチに立った。基本布陣は3-5-2だったが、FW登録のクレーベルがやや下がり気味の位置に入って大野敏隆と並ぶような形になり、実質的にFWは矢野貴章の1トップとなった。
わずかな可能性しかなくてもあくまで優勝を目指し続ける鹿島と、12/7、12/10のJ1・J2入れ替え戦に照準を合わせる柏ではモチベーションの違いがありすぎた。その意識の差がプレーに出てしまう。優勝をねらう上で得失点差も視野に入れ大量点の勝利がほしい鹿島はキックオフから積極果敢に攻め込んだ。中盤でボールを奪い、本山や深井が左右に動いてチャンスを作り、アレックス・ミネイロと野沢がゴール前に飛び出すといった形がうまく機能した。そして7分には左サイドに開いたアレックス・ミネイロからのクロスに飛び出した野沢がGKとの1対1を読みきって右足でシュート。瞬く間に先制点を手に入れた。
その後も鹿島が一方的にゲームを支配。5試合勝利のないチームとは思えないほど、彼らの攻めにはリズムがあった。前半はなかなか追加点が奪えず1-0で終了するかと思われたが、終了間際の44分、本山の折り返しを受けたアレックス・ミネイロが2点目をゲットした。
ハーフタイムの時点では浦和が優勝にいちばん近いところにいたが、鹿島の選手たちは情報を入れず、目の前の戦いに集中した。「点を取って勝てばタイトルへの道は開ける」と信じて、後半も徹底的に攻め込む。開始8分にはまたもや本山のスルーパスから野沢がこの日2点目のシュートを叩き込み3-0。完全に勝利を決めた。
一方の柏は終始、消極的な戦い方が目立った。早野監督も後半開始とともに大野を下げて宇野沢祐次を起用したり、19分に小林祐三に代えてユース日本代表の柳澤隼を投入するなど「選手温存」を優先する。いくらJ1・J2入れ替え戦が大事だからといっても、この戦い方ではリズムを握れるはずがない。悪いことに後半32分には、野沢の飛び出しを防ごうとぺナルティエリアで後ろからタックルに行った平山智規が一発退場。10人での戦いを強いられた。「イエローカードを1枚もらっていたり、ケガをしている選手は下げるようにしたのに、平山がレッドカードをもらった。これは非常に痛い」と指揮官も頭を抱える事態に発展してしまった。
このプレーでPKを得た鹿島。トニーニョ・セレーゾ監督は長年の感謝の気持ちを込めてベテラン・本田泰人を送り出し、彼をキッカーに指名した。「普通、こんなのないでしょう」と苦笑いした本田だが、さすがは鹿島の9冠を獲った生き証人。肝が据わっていた。ファーストタッチがPKという難しい場面だったが、彼は迷うことなくゴールを決め、チームに4点目をもたらした。
この後はスコアが動くことなく、タイムアップの笛。鹿島は4-0という大勝でラストマッチを飾ったが、シーズン当初から願い続けた3年ぶりの10冠めのタイトルは得られなかった。
G大阪の優勝を知り、選手たちは大いに落胆しただろう。けれども「若い選手も育ってくれたし収穫もあった」とトニーニョ・セレーゾ監督も前向きだった。今季はまだ残されたタイトルが1つある。この柏戦のような戦いができれば、天皇杯優勝は決して不可能ではない。この悔しさを晴らすことが彼らに課せられた命題だ。
一方の柏は、7日から始まるヴァンフォーレ甲府とのJ1・J2入れ替え戦を控え、非常に心配な内容の大敗を喫してしまった。「こんな戦いをしていたらJ1・J2入れ替え戦も勝てない」とナイスセーブを連発した守護神・南は苦言を呈した。短期間で再びチームを立て直せるのか。彼らはこれから今季最大の正念場を迎える。
以上
2005.12.03 Reported by 元川悦子
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