12月3日(土) 2005 J1リーグ戦 第34節
広島 3 - 1 清水 (14:00/広島ビ/15,539人)
得点者:'27 ベット(広島)、'47 青山直晃(清水)、'61 佐藤寿人(広島)、'89 駒野友一(広島)
----------
G大阪の奇跡的な優勝を決定した時と前後して、広島ビッグアーチでも静かに、地味に、劇的な瞬間を迎えていた。ロスタイム、この日1得点1アシストと大活躍していたベットがドリブルで突っかけ、奮闘していた清水のルーキー・青山のファウルを誘い、ペナルティエリアのすぐ外でFKを得た。そのベットが吉弘と交代。2−1と勝っていることもあり、この交代は守備を固めるという意味も時間を稼ぐという意味もあった。ボールをセットした駒野が右足を一閃すると、ボールは壁の間を抜けてゴールネットを揺らす。3−1。2点差がついて、試合はその直後に終了した。
さっそく携帯電話のサイトにアクセスする。試合速報を見ると、『川崎F2−3G大阪』の文字。このままだと、川崎と勝ち点・得失点差が並ぶものの総得点で川崎が広島を上回り、川崎7位・広島8位となる。7位ならば賞金1000万円が獲得できるが8位では賞金ゼロ。優勝の可能性がなくなった今、クラブとして『賞金圏内』を目標としていただけに、広島のスタッフは落胆していた。
が、試合はまだ終わっていない。ピッチでは、ヒーローインタビューが始まろうとしていた。その一瞬の間を利用して、再読み込みする。と、『C大阪2−2F東京』という衝撃的な文字のその上の方に『川崎2−4G大阪』。そして、『試合終了』とはっきりと書いてあった。これにより、広島は川崎Fを得失点差で1点上回り、7位に浮上。土壇場で賞金1000万円を獲得できたのである。
G大阪とC大阪の間に起きたドラマと比較すればスケールや意味合いは小さくなるが、それでもこの賞金は選手・監督・サポーター、そしてフロントが一体となって獲得できたものだ。「最後まで優勝争いをしたかった」と選手やスタッフはは異口同音に発言したものの、最低目標である『賞金圏内入賞』を果たしたことによる安堵の色は、隠せなかった。
試合展開に目を移すと、広島の細かなパスワークと清水のダイナミックなサイド攻撃がぶつかりあった、見応えのある内容だったと言っていい。広島の先制点は、森崎和を起点としてベットと佐藤寿が見事なワンツーで突破して生まれたもの。一方の清水はピッチの幅を広く使ったサッカーで広島のサイドをつくものの、シュートやラストパスでミスが多くシュートまで至らない。しかし、後半早々に兵働のすばらしいCKを青山がヘッドでたたき込み、ルーキーコンビの活躍で同点に追いつくと、清水がリズムを握った。久保山・兵働の両サイドMFを中心にサイドからのクロスで広島を脅かすが、ここでもシュートミスが響き、またクロスの精度も今ひとつで、どうしても勝ち越せない。そうなると流れが相手に移行するのは、サッカーの常である。
61分、服部のクロスのこぼれを拾ったベットがスルーパス。飛びこんだ佐藤寿が振り向き様のシュートを放つ。ボールは左足にしっかりと当たらなかったが、それが幸いして清水GK西部のタイミングを外し、ボールはコロコロとネットの中に転がりこんだ。
勝利に向けて執念を見せる清水・長谷川監督は、まずチェ・テウクを投入しウイング的に左サイドに張らせて3トップに移行すると、79分には今季初出場となるルーキー・岡崎を起用して4トップ気味の布陣を組み、広島を押し込んだ。が、3ヶ月ぶりのホーム勝利に燃える広島は、ぎりぎりのところで集中を見せる。特に、負傷のジニーニョに変わって出場した西河が、獅子奮迅の活躍で清水の攻撃をことごとく跳ね返した。その結果、ロスタイムに広島は、ささやかな歓喜に浸たることができたのである。
しかし、広島−清水のドラマは、まだ終わらない。1週間後、今度は広島スタジアムで、天皇杯5回戦を戦うことになっている。山西は「ミスを減らして、次は雪辱したい」と勝利に向けての執念を口にする。また、森崎和幸も「同じ相手と2週続けて戦うのはやりにくいけれど、勝って天皇杯をとりに行きたい」と決意を語った。この日の戦いは、共に両チームのコンセプトを真っ向からぶつけ合った戦いだったが、生の情報を得た次の決戦は、果たしてどういう戦略で両監督は挑むのか。互いの腹のさぐり合い、読み合いという様相も含めた戦いは、すでに始まっている。
以上
2005.12.02 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第34節 広島 vs 清水 レポート】広島、ロスタイムに生まれたドラマの結果、得失点差1差で7位賞金をゲット。(05.12.03)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













