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【J2:第44節 福岡 vs 仙台 仙台レポート】悪夢の最終節。仙台、アウェイの最終節を引き分けで終え、入れ替え戦出場を逃す(05.12.03)

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12月3日(土) 2005 J2リーグ戦 第44節
福岡 1 - 1 仙台 (14:04/博多球/13,375人)
得点者:'49 古賀誠史(福岡)、'65 村上和弘(仙台)
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都並監督はこの最終節、ベンチにアタッカーを置かなかった。GKの小針以外はみなMF。
全てが終わった今、この構成は議論の対象となるだろう。だが少なくともピッチ上においては、この日の仙台はベンチが特段動く必要のないほど、素晴らしい動きを11人すべてが見せていた。それはベンチから出番を待っていた立場の熊谷が、自ら試合後にそう語っていたくらいである。

福岡戦に臨む前の1週間、仙台はひたすら、細かいパス回しからサイドを崩していく形の練習を取り入れていた。しっかりとした守備ブロックを構成する相手に対し、焦って自分たちの形を見失った攻めに終始した前節。その反省を踏まえ、攻め方を一時迷ったとしても、拠り所となる形を作ろうという発想がそこにはあった。そして、それが前節の対戦相手だった京都同様、守備に関しては組織立ったものを持っている福岡相手に確かに効果を発揮した。サイドで圧力をかけてくる福岡のプレッシャーをもろともせず、中田、村上の両サイドバックも積極的に攻撃参加。リズムは明らかに仙台にあった。

決定機の数も、どちらかといえば仙台に多く転がり込んでいたと思われる。前半に数えられただけでも、バロン、シュウェンク、そして中田がゴール至近でのシュートチャンスを掴んでいる。
しかし後半に入り、素晴らしい戦いぶりを見せていた仙台は、自らがどうこうではなく周囲の状況の変化によって追い込まれていく。まず後半4分、福岡・古賀にFKからゴールを許してしまう。流れの中ではほとんど福岡を抑え込んでいただけに悔やまれる。それでも若干守備に入りだした福岡に対して、同じくセットプレーから同点に追いついたのは大きかった。後半20分、ゴール正面25mで得たFKで仙台は、シュウェンク、シルビーニョを経由したトリッキーなモーションの後、後方から助走をつけた村上が強烈な一発。これが壁の左側を抜けて同点ゴールとなった。

再びイーブンスコアとなったのは後半20分。仙台としては畳み掛けるには十分な時間が残っている。ところがそんな仙台に、1人の男が立ちふさがった。福岡のGK水谷。もともと前半から「当たり」を見せていた彼は、後半に入ってさらに乗っていく。FKからのバロンの完璧なヘディングも、こぼれ球に詰めた大柴の一撃も、全てこの男の驚異的な反応でゴールにならない。仙台にとって、今日の水谷の存在は悪夢以外の何者でもなかった。

そして仙台に、水谷以上の「悪夢」が訪れたのが、後半の35分を回った辺りだった。なんと甲府が京都を逆転…この報を受け、スタメンの布陣のままでもそれなりに機能していた仙台は、矢継ぎ早に3人の交代枠を使っていく。しかし、勝つ以外に道はない状況が福岡にも見透かされているからか、交代選手の体がキレているのはわかるものの、それがチーム力には素直に反映されず、逆に仙台は危険なカウンターを浴びる場面が増えてしまった。
4分と表示されたロスタイム、仙台に最後のチャンスが訪れる。左サイドから入ってきたボールがファーサイドに流れると、そこにタイミング良く飛び込んできた熊谷が福岡GK水谷と1対1に。しかし仙台に関わる全ての人の想いも空しく、熊谷のコースを狙ったシュートはまたも水谷に弾かれる。これが今季の仙台における、最後のインパクトシーンであった。

試合終了のホイッスルを聴いた選手たちは一様に動けない。仙台サポーターが詰めたゴール裏にも、徐々に悲しみの空気は伝わっていく。仙台が福岡で見たものは、これ以上ない悪夢の結末。今日このタイミングで驚異的な当たりを見せたGK1人によって、仙台は3位でのJ1・J2入れ替え戦進出を阻まれた。


以上

2005.12.03 Reported by 佐々木聡
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