●12月24日(土)第85回天皇杯準々決勝
磐田 0-1 清水(13:02キックオフ/丸亀/7,354人)
得点者:89' マルキーニョス(清水)
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試合内容は静岡ダービーらしくはなかったが、それは両者のチーム状況もあって仕方ない部分。その中で、我慢比べに勝ち、なおかつジョーカーを持っていたほうが勝利をつかんだ。
どちらもケガや体調不良で思うように選手が揃わなかったが、より苦しかったのは磐田のほう。とくにFW陣が苦しい状況で、中山が肋軟骨の骨折が完治したとは言えない中での強行出場。相棒にはルーキーの岡本が2試合連続で先発し、38歳と19歳、年の差2倍の2トップとなった。さらに中盤でも、大黒柱の名波と服部が体調不良で出場できず、トップ下に成岡、ボランチは船谷と福西。中山を除いた中盤より前の6人の平均年齢は、23.3歳と若くなっていた。
清水のほうは、快勝した5回戦・広島戦とメンバーは大きく変わっていないが、市川がケガで出場できず、本職ではない森岡が代役を務めた。さらに、枝村が前半で足を痛め、24分でチェ・テウクと交代。兵働が急きょボランチに下がり、2列目の両サイドは高木純とチェとなって、ここでタメを作るのがむずかしくなったことで、攻撃の厚みを欠くことになる。
だが、両チームとも試合への入り方は悪くなかった。立ち上がりは、どちらも全体をコンパクトにして中盤で早いプレッシャーをかけ、相手に自由を与えない。互いに集中力が高く、引き締まった内容だった。ただ、それゆえにいっそう両チームとも普段より攻撃力が低下していることが浮き彫りになってしまった。
どちらも攻めの迫力を欠いて、前半は見せ場の少ない展開になり、磐田のほうは15分に村井が、清水のほうは35分にチェが放ったシュートが、本当に惜しい形としては共に唯一のもの。シュート数も、磐田が4本、清水が3本。明らかに守備優位の前半が0-0で終わり、この時点で1点勝負になるというムードは色濃かった。
後半は、立ち上がりこそ清水が仕掛けていったが、徐々に磐田が主導権を握る。兵働が清水に来てからはほとんでやっていないボランチで思うようなプレーができなかったこともあって、磐田が中盤を支配し、左右から有効なクロスを入れる場面が増えていった。そして、岡本に代わって後半6分から入った藤井(同じくユース出身のルーキー)が、13分と16分に良い形でヘディングする場面を作ったが、どちらも枠には飛ばせない。
そんな流れの中、清水・長谷川監督が打った手は的確だった。21分に高木純に代えて平松を投入。「リズムが非常に良くなかったので、平松をボランチに入れて、自分たちのリズムを取り戻したかったのと、兵働を右サイドに置いてタメを作りたいという2つの狙いがあった」(長谷川監督)。その期待に平松が見事に応え、磐田のプレッシャーが少し緩んだ中で、味方のボールを引き出し、しっかりキープして左右に散らすと、兵働も生き生きと動いて前線に好パスを供給した。これで流れが変わって、清水のチャンスが増えてくる。
もちろん、磐田も攻めの姿勢は崩さず、互いにミスも増えてカウンターでの行き来が多くなる。ただ、試合は動き始めたが、なかなか決定的なチャンスまでは至らない。41分には平松のパスから兵働がオフサイドぎりぎりで飛び出したがこれも決まらず、ロスタイムに入って延長戦突入が濃厚になり始めた44分、試合を決める一撃が炸裂する。
磐田のミスパスがタッチラインを割り、一瞬磐田側の集中が緩んだスキを突いて山西が素早く長いスローインをすると、チェがフリーで受けて一気に1人かわし、左サイドを抜け出す。そして相手の守備が整わないうちにファーサイドに大きなクロスを入れると、フリーで入ったマルキーニョスが頭で合わせて、見事に決勝点を奪った。40分頃に右膝を痛めていたマルキーニョスだが、最後の最後できっちりと大事な仕事を果たすあたりは、さすがの一言。彼のようなジョーカー的な存在が、磐田にはいなかったという差もあるが、それ以上に最後の最後で見せた心のスキが痛かった。
逆に清水のほうは、「120分プラスPKで決着がつけばいいと思っていた」(山西)というように、我慢が必要な試合で辛抱強さでも勝利。それでいて、相手の一瞬のスキを突くしたたかさも見せ、「してやったり」(平松)の試合運びでライバルと決着をつけ、地元エコパでの準決勝にコマを進めた。
以上
2005.12.25 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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