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【第84回全国高校サッカー選手権大会 1回戦(等々力陸上競技場) レポート】個人技と組織力の融合を果たす野洲が修徳を粉砕。利府に圧勝の四日市中央工とともに2回戦へ駒を進める。(05.12.31)

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修徳(東京B) 0-2 野洲(滋賀)(12:10キックオフ/等々力/2,500人)
得点者:23分 乾貴士(野洲)、57分 青木孝太(野洲)

利府(宮城) 1-4 四日市中央工(三重)(14:10キックオフ/等々力/1,000人)
得点者:6分 林崇弘(利府)、8分 隅内勝起(四日市中央工)、26分 東亮次(四日市中央工)、49分 千葉友幸(利府)、73分 福田晃司(四日市中央工)

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川崎の空には雲ひとつない。あるのは澄み渡った青空と頬を刺す冷たく鋭い空気、そして寒さで凍えた等々力競技場を沸かすのに十分なふたつの熱い戦いだった。第一試合は、2年連続7回目の出場となる修徳と3年ぶりに全国に戻ってきた野洲の対戦である。

ファーストシュートは修徳だった。右サイドから突破を図ると、中央へ折り返したボールに島村瞬が走りこみ右足を振りぬく。開始早々のこのシュートで、両チームの攻防が早くもトップギアに入った。互いに早めに前線へと長いボールを送り、ゴールを目指す。修徳がストライカーの太田雅也や1年生ながら10番を背負うFW小澤翔太にボールを集めれば、野洲は内野貴志を中心とするDF陣が跳ね返す。野洲の3バックはDF時のからだの入れ方が巧みで、またビルドアップ時のパスは気が利いていた。前半は最終ラインから大きなサイドチェンジを含め、とくに右サイドの楠原順平へ再三のようにロングパスを通した。そしてこのパスが契機となり、のちの先制点を導き出すことになる。

20分を過ぎる頃、修徳のパスやトラップに次第にミスが目立ち始めるようになった。それまでは互いの綱引きを互角に繰り広げていたが、ミスによって自らペースを掴み損ねると、野洲の最初の決定機は23分に訪れる。左サイド寄りのミッドフィールドからそれまでと同様に右の楠原へとロングパスが渡る。楠原はマークに付いた相手を1トラップでかわすとドリブルで中央へと抉っていく。一連の流れから放ったシュートは相手DFに当たり跳ね返されるが、そこに走りこんだ乾貴士が捻じ込み、野洲が先制点をあげた。

立ち上がりは硬い印象の拭えなかった野洲だが、リードしてから徐々に落ち着きを見せた。時折り見せる修徳のカウンターは最終ラインが阻み、またサイド攻撃を徹底した。局面では個人技を織り交ぜながらワンツーも見せ、時にロングパスを通す。キャプテンでボランチの金本竜市が軸となり中盤を束ね、組織的に緩急を操った。逆に修徳はビルドアップ時の精度に陰りが見え、野洲のペースで前半を終えた。

「後半に入ってからは自分たちの持ち味が出せたと思う」と野洲のFW青木孝太が振り返ったように、残りの40分間に突入しても主導権は野洲の掌中にあった。右サイドが活性した前半とは異なり、左サイドの乾が司令塔の平原研との連係で再三攻めあがった。また青木も得意の高速ドリブルで突破を図る。修徳のラインは下がり、徐々に足が止まり、逆に野洲の豊富な運動量が目を引かせた。そして57分、試合を決定づけたのはエースの左足だった。

平原がマークを欺き右にはたくと、一瞬マークのずれたところで受けた青木はドリブルで中央に持ち込む。「前半にシュートを打てる場面を逃していたので、後半は積極的に打っていこうと思っていた」自身に対する不満を晴らすように放ったエースのシュートは、GK山下翔太の手を掠め、そのままゴールへと吸い込まれた。

残された時間、修徳はメンバーを入れ替え反撃を期すが、太田のシュートは惜しくも枠を外れ、また小澤が封じられるなど最後までゴールは遠く、2−0で試合終了のホイッスルを聴いた。「自分たちのやりたいことはできていた。ただ取るべきときに取れなかった。悔しい」修徳のGK山下は試合後、声を振り絞り振り返った。一方の野洲にも勝利の安堵こそあれど、慢心はない。「シュートを打てる場面はもっとあったので満足していません。ただこの勝利は大きい。ここから波に乗っていきたい」と、青木はいう。今日の勝利を足がかりに野洲が目指すのは無論、国立である。そのために倒すべきつぎの対戦相手は、この日、等々力で行なわれた2試合目の勝者、四日市中央工業だ。

等々力競技場2試合目、四日市中央工は初出場の利府を相手に6分、8分と立て続けに得点を重ね、前半で3点を奪い主導権を握った。後半に入り、49分に千葉友幸が鮮やかなフリーキックをゴール右隅に突き刺し利府が反撃の狼煙をあげるが、勢いもつかの間、73分に福田晃司がとどめの4点目を見舞い、四日市中央工が2回戦進出を決めた。

1月2日、野洲、四日市中央工がおなじく等々力で激突する。ともに攻撃サッカーを貫く両者の戦いは、自分たちのスタイルをどれだけ出し切れるか、そのせめぎあいを制した者に軍配が上がるだろう。年を新たにしても、等々力の熱気は冷めやらない。

以上

2005.12.31 Reported by 隈元大吾
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