伊勢崎商（群馬） 0-6 東福岡（福岡）（12:10キックオフ/さいたま/3,200人）
得点者：13分 松井拓也（東福岡）、28分 千代原孝徳（東福岡）、30分 畠中雅浩（東福岡）、46分 畠中雅浩（東福岡）、65分 松井拓也（東福岡）、79分 棚橋雄介（東福岡）

遠野（岩手） 2-1 那覇西（沖縄）（14:10キックオフ/さいたま/2,200人）
得点者：64分 菊池亮（遠野）、69分 オウンゴール（遠野）、75分 山内航（那覇西）

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シンプルに前にボールを送って関（３年）、小林（３年）のスピードあふれるドリブル突破でゴールを目指す伊勢崎商業。リズミカルにボールをつないで、大きな展開からサイド攻撃を仕掛ける東福岡。攻撃の意識が非常に高い両チームは、立ち上がりから激しく前に出ることで主導権を奪いにいく。とにかく攻める。どちらも一歩も引かない。会場に足を運んだ3200人の観衆も、一瞬たりとも目が離せない展開に引き込まれていく。

そんな試合が動いたのは13分。東福岡は、藤嶋（３年）からのアーリークロスをDFの裏に抜け出して受けた松井（３年）が、飛び出してきたGKの動きを冷静に見極めてゴールに流し込んだ。この先制ゴールで勢いづいた東福岡は28分、右サイドを突破した松井のクロスを千代原（３年）が巧みにトラップして左足を一閃。さらに30分には、ゴール正面で得たＦＫを畠中（３年）が直接ゴールに叩き込む。前半だけで３得点。東福岡は早々と勝負を決めた。

この日の東福岡は、関、小林、里（３年）を、藤（３年）、江崎（３年）、大迫（２年）がマンマーク。その後ろに原（３年）があまって、相手のスピードと個人技を封じ込むと、ボールサイドに伊勢崎商業を引き付けておいて、大きなサイドチェンジから反対サイドを面白いように駆け上がった。そして何より際立っていたのが、中盤の出足の鋭さと球際の強さ。１対１の争いを制し、セカンドボールのほとんどを奪う東福岡の前に、伊勢崎商業は反撃のチャンスを見つけられなかった。

後半に入っても、東福岡は46分、65分、79分と着々と加点。終わってみれば６−０の大差で伊勢崎商業を下した。「県大会後、精度とスピードを上げるためのトレーニングをしてきた。選手たちが、それを意識して戦ってくれた」とは森重潤也監督（東福岡）。見事にその成果が出た試合だった。
　
一方、「悔しいけれど、これが現実。受け入れるしかない」とは伊勢崎商業の萩原彬久（３年）主将。初陣のチームに全国大会の壁は思った以上に厚かった。しかし、この悔しさは必ずチームの糧になる。悔しさを晴らすために、また全国の舞台に進んでくることを期待したい。

さて、引き続き行われた第２試合では、４年連続８度目の出場の那覇西と、４年ぶり20度目の出場を果たした遠野が対戦した。戦前は今夏のインターハイで準優勝の成績を残した那覇西優勢が予想されたが、粘り強い守備を見せる遠野が大健闘。時間の経過とともに、リズムを刻む那覇西の攻撃を体を張って跳ね返し、決定的なシーンではGK高橋（２年）がスーパーセーブを連発してゴールを守り抜いた。

そして迎えた64分、一瞬の隙を突いたカウンターから菊池（３年）の右足を振り抜くと、次の瞬間、那覇西のゴールネットが大きく揺れた。更に69分にはオウンゴールで追加点。那覇西は75分に１点を返したものの、試合はそのまま２−１で遠野が逃げ切り金星を挙げた。「最初の20分の入りが良かったから、前半の40分が頑張れた。粘りのサッカーは遠野のサッカー」（松田光弘監督・遠野）。満面の笑みを浮かべて駒場スタジアムを後にした。

しかし、サッカーとは難しいものだ。那覇西が浴びたシュートは前後半ともに１本ずつ。90分間を攻めていたのは紛れもなく那覇西だった。「上手く攻めても最後のシュートの所に結び付けられなかったのが大きかった。チャンスの場面でも外してしまい、相手のサッカーにはまってしまった」（松田邦貴監督・那覇西）。悔やまれるのはシュートの意識が低かったこと。前半にもっと積極的にシュートを放つ場面かあれば、試合はまた違った結果になっていたかもしれない。

以上

2005.12.31 Reported by 中倉一志