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【第84回全国高校サッカー選手権大会 3回戦(市原臨海競技場) レポート】大きなドラマとサプライズが起きた市原会場では、多々良学園(山口)と大阪朝鮮(大阪)がベスト8進出を決める。(06.01.04)

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第84回全国高校サッカー選手権大会 3回戦

【市原臨海競技場】
青森山田(青森) 2-3 多々良学園(山口)(12:10キックオフ/4,500人)
得点者:14分 澤本将弘(青森山田)、29分 山田竜司(多々良学園)、64分 澤本将弘(青森山田)、79分 ハウバート ダン(多々良学園)、79分 小畠諒(多々良学園)

国見(長崎) 0-1 大阪朝鮮(大阪)(14:10キックオフ/9,100人)
得点者:73分 梁泰雄(大阪朝鮮)

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 試合開始時のうららかな日差しが嘘のような強風が吹き荒れた後半。高校生にとっては過酷すぎるドラマが待っていた。

 優勝候補の筆頭に数えられる青森山田は今日もその存在感を示していた。攻撃を売りにしている多々良学園を、前半29分の1点に抑え込み、盤石の形で試合を進めた。堅守の鍵を握るのは澤本将弘と鈴木琢朗の強力なCBコンビ。ここにボランチの櫛引祐輔と馬見塚光が加わって多々良の攻撃をつぶしていった。

 試合後に青森山田の黒田剛監督は「ゲーム的には理想的な戦いで、常に先行しながら戦えた」と述べたが、その言葉には落胆の色がにじみ出ていた。

 前半14分の澤本の先制弾に続き、後半に入った64分には澤本のこの日2本目のゴールが決まって勝ち越すと、多々良の攻撃を抑え込んだまま試合を優位に進めた。

 多々良の焦りもあってか、徐々に試合が大味になってきた76分。青森山田は決定的なシュートの場面を迎える。ディフェンスラインの裏に抜け出した選手がGKを避けるように打ったシュートは、芝の上をゆっくりと転がりながらゴールを目指した。そこに、折からの強風が吹き付けた。だれもが青森山田の3点目を確信したこのボールは、風に押し戻され、そしてポストにあたってゴールから逸れていった。

「小さい頃から海に出てて、海風、浜風、陸風。風を意識して生きてきた。(教師になる前は)私は漁師でしたし、試合前に風は回っていましたが、後半の事を考えてエンドを取りました」と試合後半からの強風を予測していたと多々良学園の白井三津雄監督は苦笑いを見せた。

 風に救われた多々良学園は、後半の終了間際に奇跡を起こした。まずは79分にハウバート ダンが同点ゴールをねじ込む。
「シュートは思い切り蹴りました。ボールが来てくれればと思っていたので、来てくれて良かった」(ダン・多々良学園)

 青森山田の小澤竜己は「同点にされたときは、PK戦の自信があったので、落ちついていた」と冷静さを失わなかったが、堅守に加えて2ゴールと殊勲の澤本をして「同点にされたときに、冷静な判断ができなくて、変に焦った。1点負けているような感じに」なってしまった。青森山田に精神的動揺が伝播したのは紛れもない事実だった。

 誰もがPK戦を考えた同点ゴールから1分後の後半ロスタイム(記録上は79分)。落ち着きのない青森山田守備陣を尻目に再びダンが、多々良にとって後半2本目のシュートを放った。このシュートはポストに当って跳ね返ったが、これを冷静に小畠諒がゴールに流し込んだ。試合終了間際での奇跡的な逆転劇。青森山田の優勝の夢は潰え、多々良学園は九死に一生を得た。

 試合後。多々良学園の選手たちは足早にスタジアムを後にしたが、それとは対照的に試合に負けた悔しさを押し殺し、取材陣の問いかけに真摯に答える小澤という選手の姿が印象に残った。現在のチームでの試合は、この多々良戦が最後となるが、来春からの新しい環境での活躍に期待したい。

 続いて行われた第二試合、国見 vs 大阪朝鮮の一戦で、国見は前半から猛攻をしかけた。あわやという場面は幾度となく訪れたが、その都度大阪朝鮮のGK朴寛明がファインセーブを見せた。

 試合を振り返って国見の小嶺忠敏総監督は「コイントスでは風上を取れと話した。風上の前半で点を取れなかったのが響きました」と述べている。試合の流れを決定づけたのは、前半の0−0というスコアだった。

 エンドが変わった後半。風という強い味方を付けた大阪朝鮮は、2本に終わった前半のシュート数を9本にまで増やした。前半8本のシュートを放った国見が後半は4本しかシュートを打てなかったことを見ても、明らかに風が試合に影響を及ぼしていたことがわかるだろう。

 試合が動いたのは73分の事。GK朴寛明は、「0−0のままで行けばPK戦になるし、それは頭には入れていた」と覚悟を決めはじめていたというが、ハーフタイムからピッチに立っていた朴治宣が強引なドリブルでディフェンス2枚を抜き去るとグラウンダーのクロスをマイナス方向に入れた。梁正成がコースを狙ってシュート。GK町田大貴がこれをはじき出すが、そのこぼれ球を梁泰雄が押し込んだ。

 まさかの大阪朝鮮の先制ゴールにどよめくスタジアム。そしてその直後から国見の怒濤の反撃が始まる。大阪朝鮮は、腰が引けたようにゴール前に張り付くが、そこで康敏植監督が的確な指示を出す。

「1点を取った後、ラインが下がったので前からのプレスを指示して修正した」(康敏植監督)

 これに対しキャプテンの安泰成も「得点した後に下がったが、そこはゲームの中で監督が的確に指示してくれた。監督のおかげでここまで来れました」とその場面を振り返る。

 一時的に混乱に陥った大阪朝鮮だが、その窮地を凌ぐと、それまでと同じように前線からの積極的なプレスで国見のパスの出所を抑え続けた。高校選手権の代名詞とも言える国見高校は、結局そのまま同点ゴールを生み出すことができなかった。

「この勝利の意義は深い。国立にうちの選手が立つことになれば歴史的なことになる」とは康敏植監督。一方、敗れた国見の小嶺総監督は、定年退職となる来期以降も引き続き指揮を執り続ける事が可能となり「もう一度ゼロからやり直します。思い切ってやれるようになったので、やり直します」と再起を期していた。

以上

2006.01.03 Reported by 江藤高志
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