今季の大宮は、新戦力が三浦サッカーにフィットするか否か、に尽きる。
昨季、大宮にとって念願のJ1昇格元年。スタートダッシュには成功したものの後半失速、最終的に13位に終わった。今季は「昇格2年目で降格するチームは多いけど、7位以内が目標」と三浦俊也監督。そのためオフシーズンの動きは華やかだった。J2へ降格したチームから獲得した即戦力4名やユースから昇格組を含めて計10名が新加入。「昨季はJ1残留を目指しての補強だった。今季は、昨季の結果と内容を見てJ1の上位、7位以上という目標を達成するための補強」とその意図を指揮官は説明した。
一見すると攻撃に重きを置いた補強であるように思える。前線にG大阪から吉原宏太。中盤には小林大悟、小林慶行という東京V自慢の中盤をそっくりそのまま獲得。柏からは波戸康広、土屋征夫といった攻撃参加が持ち味のベテランDF。
しかし「基本は守備であることは変わらない。守れないDFはいらない。堅守のチームとは言われても、失点は減らさなくてはいけない(50失点は昨季リーグワースト6位)」(三浦監督)。持ち味である守備の精度をこれまで以上に高めるということはもはや言わずもがな、今季の戦いの大前提なのだ。
ただ大宮が今季目指すは冒頭に述べたように上位進出。
「昨季は得点も少ないし(39得点はリーグワースト2位タイ)、キープ力を高めていかなくてはいけない」(三浦監督)。昨季からの変化を求めたいのはこの点なのだ。
基本フォーメーションはこれまでどおりの4-4-2。自分たちの組織を崩さず守る独特の守り方から、いかにすばやく攻撃につなげるかというところまでは昨年どおり。その上で「キープ力を高める」ために東京Vという攻撃的なパスサッカーを身上としているチームからの移籍組である小林大や小林慶にかかる期待は大きい。「昨年の大宮のイメージは、守備は堅いけど攻撃は前線に放り込んでくる感じ。そこが今年は変わると思う」と小林大。本人たちも課せられた使命について重々承知だ。
基本方針は変えない、そこに新戦力をいかに組み込むかが今季の大宮だ。「1シーズンあるので全員にチャンスが来ると思う。5月の中断期までに戦力を見極められるようにしたい」と三浦監督はスロースタート宣言。おそらく昨季後半の失速が脳裏にあるのだろう。
現状、メンバーを固定せず臨んでいる練習試合の結果は上々で「練習試合は調子が悪いほうがシーズンはよくなるんだけどな」と苦笑いする三浦監督。おそらく手ごたえも悪くはないのだろう。
新戦力は徐々に、フィットさせていけばいい。そんな余裕すら感じられる今季の大宮。準備は上々。あとは開幕を待つばかり。
【注目の新戦力】
●FW 10 マルティネス
攻撃力の強化、得点力アップが望まれる今季の大宮。2人のFWを獲得しているが、中でも注目選手を挙げるとすれば中国Cリーグ上海申花からの移籍となるマルティネスだろう。初のJリーグ移籍となる彼だが、実は初来日ではない。昨年9月、仙台で行われたキリンチャレンジカップの日本代表対ホンジュラス代表。日本ゴールを再三のように脅かし、前半ロスタイムには1得点を叩き込んでいるのだ。小柄ながらパワーとスピードに溢れるプレーが彼の持ち味。スペースがあるときのドリブルはもちろん、DFを交わすテクニックも満点。また、得点力だけでなくサイドに流れて突破から攻撃の起点にもなれる。実際、昨年のキリンチャレンジカップでも自らの得点のほか2得点に絡んでおり、期待が持てそうだ。
大宮の4-4-2の2トップとしては森田浩史、若林学(ともに188cm)といった大型FWと組むパターンが濃厚。コンビネーションの熟成が望まれる。ただ、今はまだ負傷から明け、全体練習に合流したばかり。そして彼もまた大宮のサッカーでまず守備の共通理解を身につけるところから始めている最中。爆発のための準備中といったところだ。
【日本代表へイチオシ】
●MF 8 小林大悟
「サッカーセンスに関しては申し分がない。ただ上を目指すならまだまだ」
そう三浦監督が評価する小林大悟。圧倒的なパスセンス、技術は誰もが認めるリーグ有数の存在。ただ、決定的な存在かというとそこまでのものはない。昨年はリーグ戦3得点。彼のポテンシャルをもってすれば納得のいく数字ではない。昨季、東京Vでは、たとえボランチで起用されていても攻撃面を任されていたはずだ。シーズン終了間際こそ積極的にシュートを放ち決定機に絡むようにはなったが、それもシーズンを通してのことではない。
ただ今季、彼には自分の意思で移籍をするというサッカー人生最大の転機が訪れた。この転機が彼のポテンシャルを生かすきっかけにさえなれば大きく化けるだろう。大宮のために、そして将来の日本代表入りのために、今季の彼がなすべきことはまず得点。そしてアシスト。はっきりとした数字を残すことだ。
次回のW杯イヤー・2010年には27歳、選手としてのピークを迎える。そのときには松井大輔でもなく、長谷部誠でもなく小
林大悟が日本代表の攻撃的MFを務めるために、今季は勝負の1年となる。
【開幕時の布陣予想】
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Reported by 了戒美子
2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
















