今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第2節 札幌 vs 水戸 レポート】北海道のサポーターが待ちに待ったホーム開幕戦。札幌は白星で飾ることができず。(06.03.11)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3月11日(土) 2006 J2リーグ戦 第2節
札幌 0 - 1 水戸 (14:04/札幌ド/16,858人)
得点者:'75 河野淳吾(水戸)
----------

 ゲーム序盤は互いにボールへ素早いアプローチを仕掛け、激しい主導権争いが行なわれた。しかし、時計の針が進むにつれて徐々に札幌がボールを支配するようになる。両アウトサイドの関、芳賀。守備的MFの大塚、トップ下の砂川といったキープ力のある選手を中盤にそろえ、テクニックのあるフッキも前線から下がって中盤のローテーションに参加することで、札幌がボールを持つ時間が少しずつ長くなってゆく。

 しかし、水戸の戦い方もしたたかなもの。「決して守備だけを固めたわけではない」(前田監督)ながらも、主導権を奪われると見るや、素直に戦い方を変えたのである。無理してボールを追いかけずスペースをしっかりと埋めることで、ボールこそ札幌に持たせながらも自陣ペナルティエリア付近は明け渡さない。奪ったボールは中盤の底でプレーする権東に預け、この権東も簡単に両サイドへとさばく。権東は、昨年までは札幌でプレーしていたのだが、どこか大人しい印象があった。それがこの試合では率先して声を出し、スペースへパスを配球して周囲の選手を操り、堂々としたプレーぶりを見せた。

 主導権を得た札幌の戦い方はこうだ。前半は右MFの芳賀を縦に走らせ、そこへ長いボールを蹴りこむことでこの相手のサイドバックを押し込む。そうすることで相手サイドバックの攻撃参加を減らし、サイドで数的不利になる場面も必然的に減る。
 後半に入ると今度は左MFの関を相手の右MFと右サイドバックの中間地点へ侵入させ、このエリアでパスを受けさせることで相手のマークを惑わせた。水戸の右サイドバック河野は本職のサイドバックではないため、ポジショニングが徐々に不安定になってゆく。

 こうして両サイドを制圧した札幌が、そのまま勝ちきってもおかしくない展開だった。だがやはり、サッカーというのは点が入らないことには勝つことができない。

 終始押し気味だった札幌が得点できなかった最大の理由は、新加入のフッキが噛み合っていないこと。サイドへ流れたり、中盤に引いてきたりと自由な位置でプレーし、そこから強引にドリブルで仕掛けるというのが現時点でのフッキのプレースタイル。そこから独特のタイミングでシュートあるいはラストパスへと持っていくのだが、その独特のタイミングは相手選手ばかりでなく、札幌の選手さえも翻弄していたように見えた。

 そのため、周囲との連係がバラバラで、相手ゴール前まで攻め込みながらもフリーの選手を無駄にしてしまう場面が目立った。ゲーム終盤には、途中投入したサイドアタッカーの藤田が右サイドでフリーになりながらも、それを使わずにフッキが強引に持ち込んでボールを失う場面もあった。そして、相手選手への乱暴な行為で水戸の河野とともに退場となる。フッキの空回りが目立つ試合になってしまった。

 攻め続けたチームが決定力を欠き、相手にワンチャンスをものにされて敗れる。これはサッカーにはよくあるパターンであり、この試合もそうなった。
 75分に眞行寺が蹴った左CKを、後に退場になる河野が頭で合わせて水戸が決勝点を奪った。

札幌の柳下監督が「内容は非常に良かった」と言い、前田監督が「非常に苦しい試合だった」と振り返る。そういう試合だった。

 ドリブル、シュートの威力を見る限り、フッキの能力が高いことは間違いない。周囲との連係が高まる、あるいは攻撃時の約束事を徹底させることができれば必ずや札幌の強力な武器になるはずだ。

 そして水戸の戦い方も賞賛したい。今季は攻撃へのパワーバランスを高めようとしており、この試合でも開始直後は積極的に攻めてきたが、札幌に奪われた主導権を取り返すのが難しいと感じた途端に、チーム全体が一気に守備的な戦い方を徹底した。この切り替えは見事なものだった。もしあのまま攻め合いを演じていたならば、水戸はより苦しい試合展開を強いられていたことだろう。

 まだ2節が終わったばかり。勝ったチームは兜の緒を引き締め、負けたチームもあらゆる課題をポジティブに修正してゆく段階である。勝って奢らず負けて腐らず、シーズンを重ねてゆけばいい。

以上

2006.03.11 Reported by 斉藤宏則
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着