3月11日(土) 2006 J1リーグ戦 第2節
福岡 1 - 1 大宮 (19:04/博多球/12,040人)
得点者:'9 アレックス(福岡)、'71 土屋征夫(大宮)
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やや引いたところに構えて相手が出てくるところを捕まえると、攻守の切り替えを早くしてカウンターを狙う。そんな似た者同士の対戦は我慢比べが予想されていた。しかし、立ち上がりから一方的に攻め込んだのは福岡。スペースへ抜け出していく田中佑昌と、巧みなポジショニングから楔のボールを受ける薮田光教を起点にして、シンプルなパス回しからサイドを駆け上がっていく。
そして9分、スローインを受けた薮田からサイドを駆け上がってきたアレックスへとボールが渡る。アレックスはトップスピードに乗ったままDFをかわすと左足を一閃。大宮のゴールネットを揺らした。その後、17分に田中が怪我のために退いたが福岡の勢いは衰えず。大宮のシュートを小林大吾のFK1本に押さえ、自らは決定機を3度作り出した。追加点こそ奪えなかったが、全ての面で福岡が大宮を凌駕した前半だった。
福岡にあって大宮になかったものは、球際での強さ、切り替えの早さ、そして組織力だった。「福岡にとってはホーム開幕戦。ものすごいモチベーションで来るだろうなと予測していたが、その勢いをそのまま前半受けてしまった。ひとつ、ひとつの切り替えの早さ、ボールへの寄せ、これで完全に負けていた」(三浦俊也監督・大宮)。中盤にボールを収めるためのトニーニョのボランチ起用も実らず、ただ前に蹴りだすことしか出来なかった。
大宮の反撃は後半に入ってから。冨田大介とマルティネスを下げてディビットソン・純マーカスと桜井を投入し、トニーニョをCBの位置に戻すと中盤にリズムが生まれる。そして、前からプレッシャーをかけ、ボールをつないで福岡陣内へと攻め込んでいく。しかし、福岡は開幕戦での反省を生かして後ろに下がらない。我慢強く守って大宮にシュートを打たせず。そして球際でボールを奪ってカウンターからゴールを目指す。
それでも71分、右からのCKに土屋征夫が頭で合わせて大宮が同点に追いつく。前後を2人に挟まれていたが、体の強さと高さで強引に奪ったゴールだった。しかし、この後、ペースを握ったのは、むしろ福岡。「点を取ってから、もう一度やり直そうということで少し引いてしまった。そこをつけこまれた」(久永辰徳・大宮)。大宮は86分、そしてロスタイムに決定的なチャンスも作り出したが、2度ともGK水谷のスーパープレーに阻まれた。そして福岡も追加点を奪えず、試合は1−1のドローに終わった。
試合全体を見れば、間違いなく福岡の勝ちゲームだった。攻めに出た終了間際こそピンチを招いたが、アグレッシブな姿勢と粘り強い守備を最後まで貫き、同点ゴールのシーン以外で相手に崩されることはなかった。惜しむらくは失点よりも追加点が奪えなかったこと。「2点取らないと勝てないなというのが今の実感」と松田浩監督も試合を振り返った。
それでも福岡にとっては、グラウシオを欠き、田中までもが怪我で退くなど、苦しい状況にありながら変わらぬ組織サッカーを展開したことは収穫。薮田が十分に機能したことも明るい材料だ。決定力という課題は残したが、前向きに辛抱強く取り組んでいけばいい。「前半のような戦い方を続けていけば上を狙っていける。いい雰囲気で来てるので継続してやっていきたい」(布部)。我慢と継続。それが福岡のキーワード。どんな状況にあっても我慢して、自分たちのサッカーを続けていくことが最も求められていることだ。
一方、大宮の久永は「前半の内容を見れば負け試合。勝ち点1を拾ったという印象」と厳しい表情を見せた。控えの選手も含めて、中盤の選手層は間違いなく厚くなっており、大宮の目指すポゼッションサッカーと、攻撃力のアップは十分可能に見えるが、チームとしてのまとまりに欠いている印象がある。戦いながらどこまで連携を高められるか。それが当面の大宮の課題だろう。
以上
2006.03.12 Reported by 中倉一志
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