3月18日(土)J1 第3節 F東京 vs 清水(14:00KICK OFF/味スタ)
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F東京は開幕2試合目にして課題を突き付けられた。前節、新潟が自陣できっちり陣形を整えパスコースを切ってきたことで前線にまったくボールが入らず、攻めあぐねている内に中盤での横パスや最終ラインのつなぎのパスをカットされ、そのまま速攻を受ける。スコアは0対2だったが、もっと大差でやられていてもおかしくないほどの完敗だった。
ガーロ新監督の掲げるポゼッションサッカーは、前線がボールをしっかりキープし、その間に中盤と最終ラインを押し上げ、今野と梶山、徳永と鈴木が攻撃に絡んで行くのが基本形。去年までもスペインの攻撃サッカーを目指していたが、その実はどちらかと言えば守備から展開する「チェルシーのサッカー」だった。しかし今年は本当に「バルセロナのサッカー」を志向している。
それ故、敵陣で試合を進めるのが前提であり、それが成立しないと苦しい展開を強いられる。また守備に関しても、崩れた相手からはそうそう効果的な速攻は出ないという、まず攻撃ありきの姿勢。そのため、茂庭が「それを踏まえた上でのポゼッション」と語っているように、カウンターの危険性はある程度想定内である。その一方で絶対に犯してはいけないのが、つなぎの場面での安易なパスミス。これはポゼッションを志向する上では致命的なもので、一気に危険な場面を作られてしまう。
新潟戦でパスミスを連発した新人MF伊野波は練習でも精彩を欠き、途中から控え組に回された。ガーロ監督の厳しい姿勢はミスの重大性を考えればもっともである。しかし、チームの低パフォーマンスは伊野波にだけ原因があったわけではない。前線にボールが収まらなかったのが、その大きな要因なのだ。そのことは留意しなければならないだろう。ただ、この時期に完敗を喫したことにはプラスの面もある。新潟戦のような不甲斐ない内容は、今のスタイルを貫く限り、遅かれ早かれF東京が直面していたものだろう。リーグ序盤で問題点を自覚できたというのは悪いことではない。
そこで、今節の清水戦である。清水は長谷川監督のもと、去年1年をかけて築き上げた堅守が今年も健在。DFラインと中盤で二枚の壁を作り、「チーム全員の守備の意識があってこそ」(高木和)という統率の取れたプレスで危険の芽を摘み取る。甲府戦、名古屋戦と危ない場面も多少あったが、それでも18チーム唯一の無失点で開幕2連勝を飾っている。
課題に挙げられる攻撃面はまだまだ改善の余地ありといったところ。だが、期待のルーキー・藤本が早くもフィットしつつあり、狙いである素早いサイドアタックも徐々に効果を見せている。そして清水にとって何より大きいのは、エースのチョ・ジェジンが好調なこと。持ち前の決定力で2試合連続ゴールを決めており、前線で圧倒的な存在感を放っている。
今のF東京にとって相性が最も悪いであろうチームは、守備が固く、苦しい形をものともしない優れたストライカーのいるところ。まさに清水そのものだ。特にチョ・ジェジンが開幕戦で見せたロングボール一発からのゴールは、攻撃的なスタイルを貫くチームが最も懸念する形。F東京は、早くも大きな関門を迎えることになる。
新生F東京が壁を乗り越え、理想の高みへと近付くのか。それとも清水が継続のスタイルで開幕3連勝を飾り、自信を深めることになるのか。この試合は、どちらにとってもターニングポイントとなり得る重要な一戦である。
以上
2006.3.17 Reported by 神谷正明
J’s GOALニュース
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