3月18日（土）J1 第3節 甲府 vs 川崎Ｆ（15:00KICK OFF/小瀬）
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　第2節（千葉戦）では0−2から追い付いて勝ち点1を挙げた甲府。J1での初勝利を期待されるホーム2戦目の相手は得点力爆発中の川崎F。2試合で13得点という攻撃力だ。得点差が開いてからは相手が前がかりになるとは言え、ボールを奪えば裏を取ってゴールを決める力は素晴らしい。いいスタートダッシュをしたチームに対する研究、マークは厳しくなるので、この勢いがこの先もずっと続くとは思わないが、甲府が止めることができるのかが注目となる試合だ。川崎Fは3連勝に向けて攻守のベクトルをズラすことなく臨みたい一戦。サポーターも攻撃力の発揮を楽しみに甲府に乗り込んで来る。まだ第2節を終えたばかりだが、1位のチームを迎え撃つこともJ1元年の甲府にとって探検のひとつ。

　さて、どうやって川崎Fの攻撃力を封じるかだが、甲府は守ってカウンターのチームではないので、守るという意識よりも甲府の特徴を発揮して打ち勝つという発想になるのではないだろうか。打ち合い覚悟でぶつかって行くはずだ。ただ、ディフェンスラインの標高（第2節の平均186cm）が高い川崎Fに対してクロスボールだけではバレーを活かすことはできない。タッチ数の少ないグラウンダーのパスでボールを動かして、崩す・裏を取るという持ち味を継続するだけ。そのためのポイントは、高い位置からボールに対してプレッシャーをかけて、ボールを奪った瞬間にゴールに向かってダイレクトな意識を持つこと。また、サイドバックの攻撃力と運動量を活かしたい。このスペースを制することが出来れば、チャンスの数も大幅に増やすことが出来るし、川崎Fの攻撃の芽を減らすことに繋がるからだ。

　ただ、チャンスを作ることは甲府の選手にとってそれほど難しいことではない。問題は、チャンスは作るが得点になかなか繋がらないと言うことだ。しかし、『決定力』の特効薬はない。J1という舞台で、選手が経験を積みながら右肩上がりでレベルアップして行くのを期待して見守ることになる。選手からは「ラストパスの精度を高める意識を持って練習していくしかない」という言葉も出ているが、この意識を持ちながら川崎Fよりも1回でもチャンスを多く作って行くしかないだろう。もちろんゴール前に入る選手のタイミング、ポジショニング、動き直しのレベルアップも必要だ。今の川崎Fと甲府では、同じ数のチャンスに対してゴールが決まる率は川崎Fが上。粘り強く自分たちのサッカーを続けることが成長型クラブ・甲府に出来ることだ。

　守備では、センターバックのビジュが出場停止になるために甲府は頭が痛い。質の高い川崎Fの攻撃陣を最後の最後で止めることは非常に難しいからだ。センターバックには秋本が入る可能性が高いと思われるが、秋本がこのチャンスに90分間集中してハードワークが出来るのか注目だ。昨シーズン、後半に成長を見せて昇格に大きく貢献した若いディフェンダーにはフィジカルの強さに加えて、質の高いディフェンステクニックを発揮して欲しい。「ボールとマークする相手を同一視野に入れる」、「ボールウォッチャーにならない」、「高さで負けたり、タイミングを外されたりしても身体は寄せてシュートの精度を落とさせる」などのセオリーに忠実にプレーすることが重要だ。そして、チームとして何よりも重要なことは、クロスボールやセンタリングをフリーで蹴らせないということだ。これを徹底することで、最後の部分で身体を張る選手は少しでも有利に競り合い、攻撃を跳ね返すことに繋がるからだ。

　J1初勝利に向けてハードルの高い相手だが、甲府の特徴を発揮して迎え撃つことが甲府の生きる道。失点を恐れることなく、前からのプレスでチャンスを作り、ゴールに繋げてJ1初勝利をホームで飾りたい。

以上

2006.03.17 Reported by 松尾 潤