3月21日（火）J1 第4節 鹿島 vs 甲府（14:00KICK OFF/カシマ）
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今季J1初戦・サンフレッチェ広島戦を4-3で競り勝ち、昨季のように開幕ダッシュを見せるかと思われた鹿島アントラーズ。ところが第2節のホーム開幕戦、横浜F・マリノス戦を0-3で落とし、そのショックを拭いきれなかったのか、先週末18日の名古屋グランパスエイト戦も数的優位の状況を生かしきれずにスコアレスドローで終わってしまった。着実に勝点を重ねられないでいる。現在の順位も優勝候補に挙げられるチームらしくない11位。何とかこの足踏み状態から脱しなければならないところ。
そんなアウトゥオリ監督率いる鹿島が、明日21日に本拠地・カシマスタジアムで迎えるのは今季J1に昇格してきたばかりのヴァンフォーレ甲府。尽きることない運動量と攻守の切り替えの速さを生かし、昨年のJ1・J2入れ替え戦で柏レイソルを撃破したチームである。そのサッカースタイルは今年も健在だ。背番号10をつける藤田健は昨年からの右足かかと痛が癒えず、今季は全くプレーできていないが、新加入の林健太郎や宇留野純らも好調。18日の川崎フロンターレ戦でJ1初勝利を飾り、現時点では鹿島と同じ勝点4ではあるが得失点差で上回る9位。着実に順位を上げてきた。
チーム状態だけを見れば、何となくブレイクしきれない鹿島と徐々に上向いている甲府ということで、鹿島はやや不利だ。しかし彼らには93年から通算で9冠を獲ってきた経験と自信がある。だからこそ、新加入チームに負けるわけにはいかない。

甲府戦で3試合ぶりの勝利を飾るポイントは大きく言って2つある。1つは2試合ノーゴールに終わっている攻撃陣の復調だ。広島戦ではイタリア・セリエAのメッシーナから復帰した柳沢がいきなりハットトリックを達成。小笠原も先制ゴールを決めるなど、日本代表コンビが大活躍した。しかし彼ら以外の選手たちが振るわない。特に昨季15ゴールを奪ったアレックス ミネイロ、10ゴールをマークした野沢拓也らがいまだ無得点なのはやはり痛い。柳沢と小笠原、本山雅志を含め、そろそろ鋭い得点感覚を取り戻してもらわなければならない頃だ。幸いにして甲府は攻撃主体のチーム。最終ラインを統率するアライールも時にミスを冒すし、他の選手たちも絶対的な高さと強さを誇るわけではない。きっかけさえつかめば大量4点を奪った広島戦の再現もありえるだろう。
もう1つのポイントは守備だ。4-3-3の布陣を採る甲府だが、何といっても攻撃の中核はバレーだ。昨季J2で21点を挙げ、柏とのJ1・J2入れ替え戦でも7点を奪うという驚異的なスピードと爆発力を持ったストライカー。彼は川崎F戦でも勝負を決める2試合連続ゴールをマークしており、コンディションは確実に上向いている。彼をお膳立てする長谷川太郎、宇留野純の両ウイングも速さと抜け目のなさを持っている。宇留野は前節に負傷し、鹿島戦の出場が危ぶまれているが、石原克哉が前に上がるなど大木武監督はいくつも手を持っている。彼らをいかに止めるか。これは鹿島にとって非常に大きなテーマである。
内田篤人、岩政大樹、大岩剛、新井場徹の4バックは3トップに対し数的優位ではあるが、甲府の2列目が前線に飛び出してくることを考えると、4人だけで守り切るのは難しい。ボランチなど中盤とも連係しながら連動した守りを1試合通さなければいけない。そんな状況だけに、アウトゥウオリ監督はここで満を持してフェルナンドを先発起用する可能性が高い。左ひざを痛め、今季はスタートからフル稼働できなかったブラジル人ボランチは名古屋戦で途中出場し、まずまずのパフォーマンスを見せた。「攻撃サッカーで相手を凌駕する」という哲学を持つ指揮官だが、ここで足踏みを続けることはできない。はやや方向転換しても勝ちにこだわるに違いない。

この一戦のスタメンを予想すると、鹿島はGK小澤英明、DF（右から）内田、岩政、大岩、新井場、ボランチ・青木剛、フェルナンド、2列目・小笠原、本山、FW柳沢、アレックス ミネイロ。3試合連続スタメンだった増田誓志はスーパーサブとしてベンチに控えるだろう。
一方の甲府はGK阿部謙作、DF（右から）杉山新、アライール、秋本倫孝、山本英臣、中盤は石原、林、倉貫一毅、FW（右から）宇留野、バレー、長谷川と前節と基本的には変わらないと見られる。とはいえ、宇留野が前日練習で別メニューを強いられ、逆に藤田が全体練習に合流したというニュースも流れてきている。もしかすると藤田が中盤で先発し、FWに石原が入る可能性もわずかだがある。あとは大木監督の決断次第だ。
明日の鹿嶋地方の予想天気は晴れ時々雲り。最高気温は13度まで上昇する見通し。この時期にしては穏やかなコンディションの中でのゲームになりそうだ。


以上

2006.03.20 Reported by 元川悦子