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【J2:第14節 水戸 vs 札幌 レポート】水戸・小椋がマンマークで札幌・フッキを封じ、アンデルソンがハットトリックの大暴れ。水戸が『してやったり』の快勝を収める。(06.05.06)

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5月6日(土) 2006 J2リーグ戦 第14節
水戸 3 - 1 札幌 (14:03/笠松/3,268人)
得点者:'32 アンデルソン(水戸)、'36 西谷正也(札幌)、'38 アンデルソン(水戸)、'75 アンデルソン(水戸)
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「『してやったり』の試合だった」。監督会見の席に着くなり、水戸・前田監督は満足げにこう口にした。
『フッキをどう封じるか』ということが今節の大きなポイントであったが、それに対して前田監督が出した答えは「マンマークで小椋をつける」ということであった。04年の川崎F戦でジュニーニョを封じた小椋の姿を覚えている水戸サポーターも少なくないはず。この日も90分間、彼の持ち味である高い守備能力と人一倍強い気迫を出し切り、フッキにプレーをさせず。フッキを封じられた札幌は攻め手がなくなり、沈黙し続けることとなった。「札幌の攻撃の半分はつぶしてくれた」と前田監督も小椋の貢献度の高さを誇った。

その小椋のプレーから先制点は生まれた。32分、左サイドでボールを持った札幌・西谷が苦し紛れに中央のフッキにパス。それを小椋が奪い、マルキーニョへ。ボールを受けたマルキーニョがすかさず前線へ送ると走り込んだアンデルソンがDF2人をかわしてシュート。勢いはなかったものの、ボールはゴール左隅へと吸い込まれていった。フッキへのボールをカットし、速い攻撃でゴールを奪う…水戸としては理想の形で先制点を奪った。
だが、4分後、水戸ペナルティエリア内に走り込んだ札幌・石井と水戸・河野が交錯。主審は迷わずペナルティスポットを指差して笛を吹き、札幌にPKを与えた。それを西谷が落ち着いて左隅に蹴り込み、あっさりと試合は振り出しに戻った。「PKを決められてどうなるかと思った」と前田監督の言うように不運な失点により、水戸の勢いはそがれるかと思われた。
だが、そんな水戸を救ったのが、アンデルソンであった。これまでは持ち過ぎのきらいがあったが、木曜の練習後にミーティングを行い、連係の確認を入念にしたことでこの日はボールの引き出し方の連係が良くなり、「札幌は3バックのサイドが上がってくるので、その裏をアンデルソンがうまく突いてくれた」と河野が話すように後方からのパスがアンデルソンにうまく入った。失点からわずか2分後、左サイドに流れたアンデルソンに金基洙がロングボールを送る。それを受けたアンデルソンが中に切り込みシュート。ボールはGKの横をすり抜け、勝ち越しゴールとなった。
この日のアンデルソンはそれだけでは止まらず。75分、左CKをニアで合わせてチーム史上初のハットトリックを決めて試合の大勢を決めた。彼自身なかなか結果の出ない日が続いたが、「彼は本当に真面目。これまで彼から愚痴を聞いたことがない。前向きな姿勢を持っている」と加藤嗣夫コーチ兼通訳が言うようにサッカーに対しての真摯な姿勢が結果となって表れたと言っていいだろう。

敗れた札幌はフッキを封じられると攻め手がなくなるという欠点を露呈してしまった。この試合を除いて、これまで札幌が負けた試合はフッキ不在か彼が退場になった時のみ。フッキ中心にチームづくりをしてきた功罪がここまでの戦いでは鮮明に出ていると言っていいだろう。「選手たちは寝てサッカーをしていた」と言う柳下監督も今後のチーム作りを考え直さないといけないことを叩きつけられた敗戦となったのではないだろうか。
また、勝ったとはいえ、水戸も『アンデルソン頼み』は変わらず。攻撃の課題は少なくない。だが、前田監督が「アンデルソンは1人で自由にやらせた方がいいので、1トップにした」と話すように彼の生かし方を手に入れたことは収穫である。そして、「試合が終わった瞬間は(痛めている膝が)ガクガクで倒れてしまった。ここで勝つことが大事だったので、痛みをこらえて頑張った」という河野や「90分間(体力が)持つか分からなかったけど、今日はみんな気持ちが入っていたので走ることができた」という椎原をはじめ、水戸は選手個々が『気持ち』を出し切って勝利したことも大きい。前節、草津に敗れた悪い流れを払拭したと言っていいだろう。「いい感じで(次節の)東京V戦に入れます」という河野の言葉が力強く響いた。水戸の今後の逆襲に期待したい。


以上

2006.05.06 Reported by 佐藤拓也
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