5月6日(土) 2006 J2リーグ戦 第14節
愛媛 0 - 0 東京V (14:04/愛媛陸/6,491人)
----------
次々と訪れるゴール前での攻防。中央から強引に愛媛の守備を破ろうとする東京Vに対して、愛媛のスピードに乗ったカウンターはいつにも増して勢いがあった。愛媛では開幕戦に次いで多い、およそ6500人の観客が集まったスタジアムは、スリリングな試合展開に何度も沸いた。
互いに攻撃的な姿勢を前面に押し出したこの試合、愛媛、東京Vともにゴール前までボールを運ぶ回数ではそれほど差はなかった。「最後のところで工夫があれば…」東京VのMF大野が悔やんだように、FW平本、齋藤が愛媛ディフェンスラインの背後を狙うスピードには迫力があったものの、90分を通して放ったシュートは3本。東京Vの攻撃陣は最後まで愛媛のディフェンスラインを崩すことはできなかった。
これに対して、決定的なチャンスを数多く作った愛媛に訪れた最初の決定機は前半12分。愛媛のMF・濱岡のコーナーキックに合わせたDF星野のヘディングシュートは東京VのGK高木の正面を突いた。さらに前半31分にはFW田中が、前半ロスタイムにはカウンターからMF菅沼が東京Vゴールを襲ったが、高木のファインセーブに阻まれた。
「すべてのプレーが遅い」とハーフタイムに指示を出した東京Vのラモス監督は、後半開始から永井とアナイウソンを投入。後半21分には廣山を下げてFWバジーリオを投入し、攻撃の姿勢を見せる。しかし、次第に中盤の運動量が減った東京Vに対して最後まで走り続けたのは愛媛。「走れる選手から起用していく。技術はその次」と試合前にも語っていた望月監督の言葉通り、時間が経つに連れて愛媛のカウンターは鋭さを増した。
クライマックスが訪れ、スタジアムのボルテージが最高潮に達したのは後半35分過ぎ。35分には攻撃参加した愛媛のボランチ高萩のクロスから、FW永冨がシュート。続く36分にはペナルティエリア内で永冨からパスを受けた濱岡がフリーでシュートを放つが、ともに東京Vは守護神高木のファインセーブに救われた。
そして、東京Vにとってなんとか愛媛の猛攻を凌いだ90分が終わった。終盤、FW齋藤が足をつってしまったことが象徴的だったように、ロスタイムにボールをキープした東京Vの足は完全に止まっていた。
今日も再三試みた中央突破の攻撃がヴェルディらしさといってしまえばそれまでだが、今日の愛媛に限らず、どのチームも東京Vに対するマークは厳しい。中央突破に頼りすぎる攻撃では、今後も苦労する試合が増えそうだ。ただ、今日はアウェイ連戦の疲労も隠しきれなかったが、AFCチャンピオンズリーグが終わった今後はJリーグに集中できる環境は整った。
一方の愛媛は、望月監督が試合後に「今まで通りやっていければいいと思う」と語ったように、攻守に充実した内容で満足できるスコアレスドロー。第1クールに出てきた課題を修正しながら、守備での安定、速攻の形に手ごたえを感じた。
そして、チーム同様に一体感を見せたのが今日の愛媛のスタジアム。Jリーグの応援に不慣れな愛媛の観客は、これまでは応援でもどこか一体感を欠いていた。しかし、今日は緊迫した試合展開に呼応し、始めはバラバラだった応援も次第にまとまりをみせた。そして大歓声に包まれた試合終了時には、タイムアップのホイッスルも聞こえなくなった。
確かに結果はドローに終わったが、愛媛にとってはチームもサポーターも手ごたえを感じた今日の一戦。今後愛媛で対戦するチームにとって、第1クールを通して確実に力をつけた愛媛は、第2クールでも注意すべき存在になったと言えそうだ。
以上
2006.05.06 Reported by 近藤義博
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第14節 愛媛 vs 東京V レポート】連戦の疲労を隠し切れなかった東京V。攻守に手ごたえをつかんだ愛媛にとっては充実のドロー。(06.05.06)













