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【J1:第12節 磐田 vs 名古屋 レポート】東海ダービーは、互角の内容で勝点1を分け合う引き分け。中断期間中の強化と課題の必要性を感じさせた一戦。(06.05.06)

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5月6日(土) 2006 J1リーグ戦 第12節
磐田 2 - 2 名古屋 (15:04/静岡/36,376人)
得点者:'18 山口慶(名古屋)、'31 ファブリシオ(磐田)、'66 前田遼一(磐田)、'76 本田圭佑(名古屋)
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今日の東海ダービーは、システム的にもがっぷり四つに組み、試合内容もほぼ互角。お互いに良い面も出て、引き分けという結果はある程度妥当なものに思えたが、勝点1をより前向きに受け止めたのは、名古屋のほうだった。

磐田のシステムは、これまで通りの4-2-3-1。出場停止の福西の代わりに菊地がボランチに入った以外は、前節と同じスタメンで、今週足に違和感を訴えていた鈴木がベンチ入りせず、今回も茶野が右サイドバックを務めた。
一方、名古屋のほうは前節に続いて古賀が前線に上がり、メンバー表では玉田との2トップという表記。だが試合が始まってみると、古賀が最前線の中央に構え、その後ろに山口が控えて、中村が右、玉田が左に張る形となった。守備陣は、MF登録の本田が左サイドバックに入った4バックで、ボランチは右に吉村、左に金。すなわち、前節の布陣とは異なり、磐田と同じ4-2-3-1に近い形でこの試合に臨んだ。

当然、名古屋のほうが慣れない形のはずだが、前半の主導権を握ったのは、その名古屋。立ち上がりは、磐田の前線からのプレッシャーを警戒して、ターゲットマンの古賀に早めにボールを入れる形が多くなったが、ここで古賀が頑張り、周囲の選手のセカンドボールに対する反応も良く、磐田のDFラインにプレッシャーをかける。磐田のボランチはそれに引っ張られるように「2列目からの飛び出しを警戒してDFラインに近づきすぎてしまった」(菊地)と少し中盤のバランスが崩れ、逆に名古屋のボランチ・金が、それによって空いたスペースに積極的に進出してチャンスを作る。14分に金がドリブルで中央を割って玉田にスルーパスを出した場面などは、そうした流れを象徴するものだった。

ただ、先制点は試合の流れとはまったく関係ないところから生まれた。18分、GK楢崎の大きなパントキックが磐田DFラインの裏でバウンドすると、このボールをDF田中とGK川口のどちらが処理するのか判断が一瞬遅れる。そのスキをついて間に入りこんだ山口がワンタッチで川口の脇を抜いて無人のゴールに流し込み、名古屋が先制点を奪った。磐田のリーグ戦4試合ぶりの失点は、代表コンビの信じられないような連携ミスからだった。

その後も、前半は名古屋ペースで試合が進む。名古屋は前線から最終ラインまでコンパクトな状態を保ち、中盤のスペースと磐田のパスコースを消して、守備面でも良いバランスを見せた。ただ、1トップのキープ力という意味では、急造の名古屋・古賀に比べて、磐田の前田が1枚上手。前田は中盤に引いたり左右に流れたりしながら後方からのボールを引き出し、巧みにキープして起点を作って、味方の攻め上がりをうながした。
磐田のチャンスは、多くがこの形から生まれ、31分のFKを得た場面も、前田のキープが起点になって村井がドリブルで仕掛けたところから。このFKをボランチのファブリシオがGK楢崎の読みを外してゴール右に決め、磐田が何とか前半のうちに同点に追いつくことに成功した。

後半は、立ち上がり早々に名古屋・玉田が2列目からフリーで抜け出す決定機を作ったが、その後は磐田が運動量を上げ、セカンドボールもよく拾って、前半とは逆に自分たちのペースを作った。攻守両面でひとつのポイントとなった磐田の右サイド・太田と名古屋の左サイドバック本田とのマッチアップも、前半は本田が主導権を握る時間を多く作ったが、後半はスタミナで勝る太田が優位に立った。
それが次のゴールに結びつく。21分に、太田が右に大きく開いてロングボールを受け、ドリブルで中に仕掛けると、その背後をサイドバックの茶野が猛然とオーバーラップ。太田がそこにパスを送り、茶野が低いボールを折り返すと、ニアに飛びこんだ前田がうまくゴール左に流し込んで、磐田がついに逆転。
その後も、磐田のほうが多くのチャンスを作ったが、31分に名古屋が前半のファブリシオのゴールと同じような位置でFKのチャンスを得ると、今度は本田が左足で素晴らしいシュートを決めて、再び同点。
これで名古屋にも再度勢いが出て、お互いに勝利を目指して激しく攻め合う「オープンなゲーム」(フェルフォーセン監督)となったが、結局どちらも勝ち越し点は奪えず2-2のままタイムアップ。勝点1ずつを分け合った。

試合後、名古屋のほうは、内容的に充実した戦いを見せられたことに監督も選手たちも手応えを口にした。今後のリーグ中断期間で、フェルフォーセン監督が望むような前線のターゲット役もでき、決定力もあるFWを獲得することができれば、チームが化ける可能性も十分にあるのではないだろうか。
それに対して磐田のほうは、「勝点2を失った」(山本監督)という印象が強かったゲーム。失点は、自分たちのミスからと、めったに見られないような見事な本田のFKからの2点だったし、攻撃でも良い面が見られたが、内容的に物足りない部分も残る。上位を目指して連勝街道に乗るには、中断期間中にさらなる連携強化が必要になりそうだ。


以上

2006.05.06 Reported by 前島芳雄
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