5月6日(土) 2006 J2リーグ戦 第14節
横浜FC 1 - 0 徳島 (14:04/三ツ沢/4,848人)
得点者:'75 三浦知良(横浜FC)
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注意報が出されるほどの強風に見舞われた横浜。三ツ沢競技場のバックスタンドに高く掲げられたチームの旗は大きく翻り、私たち 屋外の記者席に座る記者の取材ノートも、何かで押さえておかなければ簡単に風に飛ばされてしまうほどの強い風だった。
アウグストを累積警告で欠く横浜FCは、トゥイードが5試合ぶりに復帰。それによりCBを早川・トゥイードが、そしてボランチを山口と鄭が務め、両サイドには吉武・内田が立ち試合が始まった。
前半、横浜FCは風上を取り、積極的に徳島ゴールを襲う。立ち上がりから、山口のミドルシュートや、城のポストプレーなどで、幾度となく決定的なチャンスを作り横浜FCペースで試合を運ぶものの、どれもあと少しのところでことごとくゴールに嫌われてしまう。逆に徳島は あまり元気がなくフィニッシュまで持って行けず、横浜FCに圧倒されながら試合が進むも、カウンターでゴールまで持ち込むなど、所々に気迫を見せる。でも、やはり主導権を握っているのは横浜FC。三浦知も得意のまたぎフェイントなどで二人の相手DFを軽々と交わしシュートを打つなど、スタジアムに集った観衆を湧かせ魅せる。しかし、なかなかゴールを割ることが出来ず、再三訪れるチャンスを得点に結び付けることが出来ぬまま、前半を0−0で折り返した。
後半になっても吹き止まない風。ハーフタイム、両チームの監督はその風について警戒し、それに対する指示を出していた。「後半は風上での攻撃になるので、空いたスペースを使いシンプルにシュートを打とう(徳島・田中監督)」、「風向きが変わるので、立ち上がり集中すること。(横浜FC・高木監督)」
徳島は、トップにジョルジーニョを置き、左サイドに羽地を置く布陣に変えて45分に臨んだ。風下に立った横浜FCは、立ち上がりこそチャンスメイクに手を焼くものの、それにも徐々に慣れ始めると、リズムを取り戻し決定機を作り始める。後半早めの時間には、吉武に代わり、北村が いつもより少し早くピッチに送り出された。後半30分、トゥイードから相手の裏へ抜けたフィードをその北村が受けると、エリア内で倒されPKを奪った。PKのキッカーは三浦知。右に狙ったシュートにGK・高橋もキッチリ反応し、わずかに手に触ったものの、ボールはそのままネットに吸い込まれ、横浜FCは貴重な1点をもぎ取った。この後 徳島は34分、35分、39分と交替枠をフルに使い打開を図るも、決定的なシーンを見ぬまま試合終了の笛が鳴った。
決定力に見放された今日の試合。徳島のシュート数は9本。それを倍以上をも上回る横浜FCのシュート数は21。前半だけでも15本を数えたシュートが1本も枠を捕らえなかったことを考えると、今日の試合は「決定力不足」の一言に尽きると言わざるを得ない。「うちのリズムで行けていたが、決めるところで決めきれず、少し嫌な展開だった(小野)」、「前半からチャンスは作っていたが、決められなかったことが苦しい展開になってしまった(鄭)」と、どの選手からも、度重なるチャンスをモノに出来なかった課題が口をついた。 この日、4本のシュートを放った吉武は「今日はラッキーで勝てた。自分が決めるところで決められなかった部分で、ゲームを優位に立って進められなかったというところの責任を感じている。」と話し、その表情には悔しさが滲んでいた。
だが、「こういう苦しい展開でも最後まで崩れずに戦って、勝ち点を取れたことは良かった(鄭)」、「去年だと、今日のような試合は、最後に押し込まれて追いつかれたりしていたのを考えると、今はそれ(先制点)を守りきれている、どんなカタチでも点を取っているのは強い。こういう展開でも勝つのが、今上位に居る要因ではないか(北村)」と語り、吉武は、「今日はホームだったし、もっとプレーしたかった。でも、決めるところで決められなかったので交替だったんだと思うし、そこは自分に力がなかったと思っている。練習からゴールをもっと意識してやっていかないといけないし、次の試合から、また積極的に狙って、冷静に決められるようにしたい。」と、今後に向けた決意を語ってくれた。
一方、徳島の傷は深い。「何かが足りない。何かが足りないからこそ勝ちきれない。今の悪い流れをどうにかして変えていかなくては。(大森)」 選手一人ひとりが自信を持ってピッチに立っている横浜FCとは対照的に、この結果(順位)からか、自信を失ってしまっているように見えるのも確か。アウェイでの連戦が続くだけに気持ちを切り替え、目の前にある試合に照準を合わせ欲しいと願うばかりだ。
横浜FCにとっては「決定力」に泣き、PKで何とか助けられた今日の試合。しかし、苦境の中でも勝ち点3を取りに行く術が今のこのチームにはあるのだということを、今日の試合で証明してくれた。
以上
2006.05.07 Reported by 浅野有香
J’s GOALニュース
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