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■田中 亜土夢(たなか あとむ) 1987.10.04生まれ 167cm/59kg アルビレックス新潟 |
「トップを使いながらの展開はいいところがあった」と言う第3戦は、引かれた相手からいかに崩すかという課題解決に一歩近付いた部分があった。インド・ディフェンスのレベルがさほど高くないことを忘れてはならないが、以前に比べるとトップに入ったハーフナー(横浜FM)に格段にボールが収まることがひとつ。そして中盤の競争が激化していることがもうひとつの要因だろう。
4-4-2を基本布陣とするこのチームの中盤は4人。1人は守備的MFだとすると残り3人を争う中に、梅崎司(大分)、安田理大(G大阪)、横谷繁(G大阪)、柏木陽介(広島)、柳澤隼(柏)、山本真希(清水)らがひしめく。ここに1月の「カタ−ル国際ユース親善大会」以降、田中亜土夢(新潟)という新たな存在が加わっている。
吉田監督が「一度は呼んでみたかった」と言い、招集直後のカタール国際ではポジションを奪い取らんばかりの活躍。「アトムのことは意識します」(柏木)「アトムと陽介とはポジションが被るけど」(横谷)と選手たちが口にするように激しいポジション争いが展開されており、これが間違いなく攻撃のレベルアップに相乗効果を生んでいる。
新戦力・田中は、柏木や横谷よりも若干高い位置を得意とする。自らも得点に絡み、FWを追い越すような前線への飛び出し、そしてそれを支える機動力が売りの選手。これまでドリブラーや巧みなボールの出し手はいたものの、中盤とFWの距離が離れ気味だったこのチームに新たな力を与えている。
今回のインド遠征では初戦と3戦目(いずれもU-19インド代表戦)に先発。初戦はボランチで3戦目は右サイドでの起用となった。「今回は自分らしい飛び出しなんかをあまり見せることが出来なかった」というように、2試合とも引かれた相手に中央から飛び出すチャンスは多くはなかった。ただ、サイドに流れてチャンスを引き出す動きなど、スピードと運動量はこのチームに流動性を与える一端となっている。「アトムは動き出しがいいから、いいボールを出したかったんだけど」と柏木ら中盤もその動き出しを十分に意識するようになっている。
ふだんは口数は少なく、もの静か。いわゆる記者泣かせの存在。同じくカタール国際以降このチームに招集されている青木孝太(千葉)も当初は「クールな奴なのかなと思った」と言う。淡々と自分の仕事をするタイプのようだ。
中盤のポジション争いは混沌としている。10月に行われるAFCユース選手権で、ワールドユース出場権を目指すこのチーム。最終的にどのようなメンバー構成が採用されるのかは、まだわからない。しかし、田中の存在は中盤の競争を激しくし、今後も全体のレベルアップに貢献していくだろう。
以上
2006.05.30 Reported by 了戒美子














