■日本代表 2006 FIFAワールドカップTM グループF
2006年6月12日15:00(日本時間 同日22:00)/ドイツ・カイザースラウテルン
日本代表 1 -3 オーストラリア代表
得点者:'26 中村 俊輔(日本)、'84 ティム・ケイヒル(オーストラリア)、'89 ティム・ケイヒル(オーストラリア)、'92+ ジョン・アロイジ(オーストラリア)
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タイムアップの笛が鳴った瞬間、宮本恒靖(G大阪)と中澤佑二(横浜FM)が腰に手を当てて棒立ちで立ち尽くす。三都主アレサンドロ(浦和)もヒザに手を当てガックリと下を向く。ほんの10分前まで1−0でリードしていた選手たちとは思えない痛々しい光景を我々も目の当たりにしたくはなかった・・・。しかしこれが現実だ。あまりに残酷な幕切れとなった2006 FIFAワールドカップTM グループF初戦・オーストラリア戦。だが衝撃的敗戦から一刻も早く気持ちを切り替え、残された2試合にグループリーグ突破の可能性を見出すしかない。
ジーコジャパン4年間の集大成となる世界舞台の初戦がいよいよやってきた。12日の相手は次のワールドカップから同じアジアの仲間として予選を戦わなければならないオーストラリア。負けられない相手だ。
キックオフの15時を前に決戦の地・カイザースラウテルンの気温はグングン上昇。試合会場のフリット・ワルター・シュタディオンは、日陰のスタンドでも31度まで上がった。直射日光の当たるピッチは40度近い。この暑さとどう向き合うかも選手たちのテーマとなった。
ジーコ監督は大舞台に挑むに当たっても決して戦い方を変えなかった。先発はGK川口能活(磐田)、DF坪井慶介(浦和)、宮本、中澤、右サイド・駒野友一(広島)、左サイド・三都主、ボランチ・福西崇史(磐田)、中田英寿(ボルトン)、トップ下・中村俊輔(セルティック)、FW高原直泰(ハンブルガーSV)、柳沢敦(鹿島)。予想通りの3ー5−2だ。
対するオーストラリア・ヒディンク監督は全く予期せぬ布陣を採ってきた。メンバー表を見る限りでは4−4−2かと思われたが、ピッチに立った選手たちの陣容は3ー5−2。しかも右サイドであるはずのエマートン(ブラックバーン)が中盤に回り、本来はボランチのウィルクシャー(ブリストルシティ)が右サイドへ。トップ下が得意なクリナ(PSV)が左サイドへ回り、2列目にはブレシアーノ(パルマ)とキューウェル(リバプール)が入る。しかもキューウェルは左ではなく右寄りだ。ヒディンク監督は日本の中盤3枚を封じるため4人のMFを置き、日本の弱点を分析したうえでキューウェルを右に置いてきたのだ。
この知将の采配に日本選手たちも驚きを隠せなかったはずだ。が、序盤は緊張感あるスタートを切った。ビドゥカ(ミドルスブラ)を起点とした相手の攻めを確実に抑えながらバランスのいいサッカーを見せる。前線からのプレスも機能。運動量でも日本が勝り、中村や中田英のキープ力を生かしたいい形の組み立てが随所に出た。
日本最初のビッグチャンスは前半22分。三都主が中央にドリブルで持ち込んで流したところに走りこんだ高原がフリーでシュートを放ったのだ。しかし残念ながらワクに飛ばず先制点を逃した。3分後には相手も決定機をつかむ。ビドゥカとのワンツーからブレシアーノがゴール前でフリーになったのだ。が、これには守護神・川口が立ちはだかる。この日の反応の鋭さは10年前のアトランタ五輪の「マイアミの奇跡」を彷彿させた。
日本はこの直後に先制する。右サイドをえぐった駒野からリターンパスを受けた中村が前線に走りこんだ高原と柳沢をめがけて浮き球のクロスを上げたのだ。この瞬間に相手GKと守備陣が交錯。ボールはラッキーな形でゴールに吸い込まれた。8年越しで世界舞台を待ち焦がれたエースを祝福するかのような1点が日本に転がり込んだのだ。
前半は1−0。シュート数こそ相手が上回ったが、ここまでは明らかに日本ペースだった。けれども敵将はどんなプランにも対応できる柔軟性と合理性を持ち合わせていた。この日は「前半は抑え気味に行って、後半になってからパワープレーに転じればいい」と考えていたのだ。後半8分にケーヒル(エバートン)を投入したのを皮切りに、彼は次々と攻撃のカードを切ってきた。
日本のリズムを狂わせるもう1つのアクシデントが後半開始直後の坪井の負傷。プレー続行不可能となった彼の代役をこなせるのはドイツ合宿途中に合流した茂庭照幸(F東京)だけ。その彼は一度もレギュラー組でプレーしたことがない。不安が募る中での出場だったが、彼はまずまず奮闘。これでゲームが落ち着くに見られたが、ヒディング監督は勝負どころを熟知していた。「日本戦の秘密兵器」といわれる192cmの長身FWケネディ(ディナモ・ドレスデン)を投入。なりふり構わずパワープレーに出てきた。
このあたりから日本は一気に運動量が落ちる。福西の足がもつれ、中村もミスが多くなる。中田英さえ休んでいる時間が長くなった。だがジーコ監督が切ったカードは、負傷の坪井に代えて茂庭を入れたほかは、79分の柳沢→小野と試合終了間際の茂庭→大黒と遅れがちだった。
暑さの中で疲労困憊の日本にヒディンクはダメ押しの一手を打つ。長身FWアロイージ(アラベス)を出してゴール前に190cm前後の選手をズラリと並べ、徹底したパワープレーを始めたのだ。いくら我慢強い日本守備陣でもこれではいつか破綻が来る。84分にロングスローからのこぼれ球を拾ったケーヒルが同点弾をゲットした瞬間、日本がここまで積み重ねてきたものが崩れた。89分のケーヒルの豪快な逆転ゴールが生まれるのも当然のなりゆきだった。ロスタイムには駒野を抜き去ったアロイージが3点目を奪う。終わってみれば1−3で日本は衝撃的な敗戦を喫した。
「後半35分まで自分たちはゲームをコントロールしていたのに・・・」と宮本は絶句した。もう一歩で勝利というところまで行きながらの敗戦は重い。32カ国が出場するようになった98年フランス大会以降、初戦で敗れてグループリーグを突破したのは2002年大会のトルコだけ。確率でいえばたったの4%ということになる。指揮官の選手交代の遅さや選手たちの決定力不足など振り返れば問題点はいくつもあるが、もう日本に残された道は勝利しかない。クロアチア戦とブラジル戦で連勝すれば次のラウンドに進むことは可能だ。今は自分たちの力を信じて前に進むしかない。
以上
2006.06.13 Reported by 元川悦子
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