6月17日(土) 2006 J2リーグ戦 第22節
仙台 0 - 2 札幌 (14:04/ユアスタ/13,162人)
得点者:'15 フッキ(札幌)、'77 フッキ(札幌)
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仙台のスタメン表にある4−4−2は、あくまで表記だけであった。実際にはダブルボランチの一角かと思われていた千葉が、これまでの試合以上にDFライン寄り、いやむしろ純粋なスイーパーと表現してもよい後方深い位置にポジションを置き、札幌の攻撃陣に備えていた。正式な形としては、シングルボランチの3−5−2というのが、この試合において仙台が採った策である。
しかし結論から言うと、この布陣の構造的な「穴」が、90分間に渡って仙台を苦しめることになった。
前節までの仙台は基本、4バックの前にボランチが3人並び、そのうち中央の一人(千葉)が「状況に対応する形で」CBに吸収されるというものだった。だからDFラインの前、いわゆるバイタルエリアには、多くて3人、最低でも2人の中盤選手が守りを固めていたことになる。
だがこの日の仙台は、数字上から2ボランチなうえ、一角とされていた千葉は「ほぼ常に」DFラインの後方へ引いていた。となると事実上、熊林一人がこの危険なゾーンを受け持つことになる。
思えば開始1分、札幌の右サイドMF芳賀からのグラウンダーのセンタリングを、ペナルティエリア角で大塚がスルー、ペナルティアーク付近の砂川にフリーで打たれてしまった場面から、仙台はこのエリアでのリスクを消すことが出来なかった。確かに、恐れていたフッキと石井のコンビに、決定的なシュートを放たれることはなかったが、DFラインの前で札幌の攻撃に対するフィルターがまるで機能しないために、自ずと札幌の攻めのスピードは高まるばかりか、仙台は札幌に単純にボールを奪われただけで、カウンターのピンチを迎えることになる。
こうした「必然」が、札幌に先制点をもたらす「偶然」につながった。15分、札幌はハーフウェイライン付近でボールを奪うと、この場面でもカウンターを簡単に発動させる。西谷から前線のフッキへボールが渡り、フッキは迷わず左サイドをドリブル突破、強引な左足シュートはかろうじてマークについていた熊林の足に当たるが、幸運にもそのボールがゴール前に急ぎ殺到した他選手に当たって仙台ゴール方向にこぼれ、フッキへの絶妙なスルーパスに。再び受けたフッキは今度こそと左足を振りぬき、GK高桑のニアを豪快にぶち抜く札幌の先制点を叩き込んだ。
後半に入り、仙台は3バック内での役割を変えると共に、1ボランチも熊林に代えてベンチから磯崎を投入、修正を図ろうと試みるが、構造的な問題には何らメスを入れなかったため、状況の改善は、前半に比べればまだ良いという程度。チアゴ ネーヴィスを左のFWまで上げ、3トップの布陣にした攻撃も、後半立ち上がりは札幌の守備陣を若干脅かしたが、シュートの積極性が仙台の選手にはなく、徐々に勢いもしぼんでいった。
そして致命的な2点目を、仙台は自分たちのミスから札幌に与えてしまう。77分、磯崎がボール処理を誤り、石井にボールを奪われる。そのまま左サイドを独走した石井は、中で仙台のマークが追いついていなかったフッキへラストパス。フリーのフッキはがら空きのゴールマウスに流し込むだけだった。
守備の問題ばかり言及していておざなりになっていたが、ロペス抜きの攻撃陣も流れからほとんど形を作れない今日の仙台にとって、2点のビハインドは厳しすぎた。終了間際にはセットプレーからボルジェスが2度の決定機を迎えたが、ゴールライン上でのクリアに遭うなどして結局ゴールはなし。
シュート数が試合内容を反映しないこともよくあるが、今日に関して言うと、仙台10本、札幌24本というそれは、ゲームの雰囲気をそのまま表していた。チグハグなボール運びの仙台から中盤でボールを奪い、札幌が速い攻めからシュートまで持っていく・・・この同じ展開が90分間繰り返された一戦だった。
もちろん、札幌を褒めないわけにはいかない。今日2ゴールを上げたフッキは、チームメイトの信頼をさらに高めたことだろう。その信頼が味方からの好パスを生み、今後フッキを、さらに対戦相手にとって脅威となる存在に変えていくはずである。また、第10節徳島戦から数えて11試合ぶりの無失点を記録した守備も素晴らしかった。元々、空中戦ならばかなり優位に立てるCB勢が揃っているため、今日の仙台のように策のないハイクロスには慌てる必要がない。仙台もそうだったが、絶対に負けないと信じられるよりどころが持てれば、柳下監督が語ったようにチームの守備は一気に団結する。
しかし今日の試合においてはむしろ、仙台に対する心配のほうが強い。守備はまだ修正可能として(なぜ今日の試合中に修正できなかった疑問は残るが)、問題は攻撃だ。ロペス抜きで見せた拙攻が、今後対戦する相手に重大なヒントとならないことを祈りたい。
以上
2006.06.17 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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