6月17日(土) 2006 J2リーグ戦 第22節
湘南 0 - 2 横浜FC (14:04/平塚/8,752人)
得点者:'52 城彰二(横浜FC)、'83 内田智也(横浜FC)
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「相手に隙があった」。その瞬間を山口は見落とさなかった。52分、左サイドから横浜FCが攻撃を仕掛ける。湘南DFがなんとか防ぎ、中盤のニヴァウドにボールを渡す。湘南がピンチを脱したかと思われたその時、「隙」は生まれた。完全に押し込まれている状況で、ニヴァウドが苦し紛れにパスをつなごうとしたのである。湘南が自陣で繰り出す不用意なパスを山口が鋭い出足でカットすると、攻撃は一気に加速。山口から左サイドの小林を経て、前方の三浦知へ。そして、三浦知からのクロスを城が頭で押し込んだ。電光石火の先制ゴール。「相手に隙があった。そこで波状攻撃をかけることができた。そこを見逃さないのがチームとしての強さ」とこの試合で絶妙な手綱さばきを見せ、勝利を呼び込んだ山口は胸を張った。
試合は湘南ペースではじまった。27.1度、湿度60%の蒸し暑さの中、石原や永里という若い選手を起用してきた湘南が勢いよく横浜FC陣内へと押し込んでいく。2分、19分、21分と決定的なシュートを放たれるなど、湘南の猛攻が続いた。だが、横浜FCは「前半のピンチで失点せずに良かった」と城が胸を撫で下ろしたように劣勢ながらもGK菅野の好セーブをはじめ、集中を切らさない守備を披露。一瞬の「隙」も見せることなく、無失点のまま前半を終えた。
『運動量豊富な湘南』に対して『動きが鈍い横浜FC』という構図のように見えた前半だが、決してそんなことはないと喜熨斗フィジカルコーチは説明する。「この暑さの中で走り続けるのは無理。試合は90分だから」(喜熨斗フィジカルコーチ)ということを横浜FCの選手たちはよく理解してプレーしていたのだという。その証拠として後半に入っても淡々と試合を進める横浜FCに対して、「後半は相手が思った以上に運動量が落ちた」と内田が言うように湘南は運動量が激減していったのだ。勢いを失った湘南に対し、山口を中心とした横浜FCの老獪なパスワークがボディブローのようにジワジワと湘南を苦しめ、そして、先制点を生む「隙」が生まれることとなったのだ。
その後も試合を支配する横浜FC。そして、83分。この日、多くの選手が「W杯に影響された」と口にして連発してきたミドルシュートが結実する。右サイドでボールを受けた内田が相手を2人かわして中に切り込み、思い切りのよく放ったミドルシュートがゴール左隅に突き刺さり、勝利を決める貴重な追加点となった。ゴールへ向かい続けた積極性が生んだ1点と言っていいだろう。
結局、2対0で勝利して首位柏と勝点が並ぶこととなった横浜FC。「夏場はとにかく勝点を積み重ねて乗り切っていきたい」と城の望み通り、19節の水戸戦に敗れて以降、3連勝と勝負強さを見せており、着実に勝点を重ねている。とはいうものの、前節草津戦に続き、この試合でも前半は劣勢を強いられたように、内容面では課題が残っているのも事実だ。だが、この暑さや連戦の中で理想の内容を追い求めるリスクはこれまで敗北の歴史を背負う横浜FCがよく身に染みて分かっているはず。「隙」をつくらず、「隙」を突く、その『老獪さ』で当分は勝点を重ねていくこととなるだろう。相手をねじ伏せて勝つ『攻撃的サッカー』といった派手な魅力は今の横浜FCにはない。だが、この日見せたような勝利を引き寄せる『老獪さ』はどのチームに負けないだろう。これからも痛快なゲームこそ少ないかもしれないが、その奥の深い『老獪』な戦いぶりを楽しむ余裕を持って、暑い夏場を迎えようではないか。
以上
2006.06.17 Reported by 佐藤拓也
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