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【J2:第28節 湘南 vs 山形 レポート】懸案だった守備を克服、湘南が12試合ぶりの無失点でホーム連勝を飾る。一方の山形は4連勝ならず。(06.07.17)

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7月16日(日) 2006 J2リーグ戦 第28節
湘南 1 - 0 山形 (18:04/平塚/4,892人)
得点者:'72 石原直樹(湘南)
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試合開始約1時間前、ウォーミングアップを控えた円陣の中心で、湘南フィジカルコーチのカルロスが声を張り上げチームを鼓舞する。「ここはホームなんだ! 底力を見せろ!!」試合前に必ず行なわれるこの「儀式」に、湘南の選手たちは「結果」で応えた。

「蒸し暑さを考慮し、後半勝負になるだろうというゲームプランを描いていた」樋口監督(山形)の目論見どおり、前半はパスサッカーを展開する両チームの綱引きに終始した。ともにショートパスを繋ぎ、ビルドアップを試みる。とくに山形は財前宣之や臼井幸平を中心に、絶えず動きながらスペースをつくり補完しあう構成力を見せた。ボランチの永井篤志も機を見るや上がり、パスを振り分ける。
ポゼッションでは湘南が優位に立っていたが、ゴールを脅かしたのは山形のほうだった。22分、財前の右コーナーキックにファーサイドで反応した林晃平のダイレクトボレーは枠外に逸れ、25分、レアンドロのスルーパスからふたたびゴール前を襲った林のシュートは湘南GK伊藤友彦に阻まれた。また直後の27分にも永井を起点に左サイドの財前を経由し、木村誠がミドルシュートを放つもクロスバーに嫌われている。ボールを回しながらもラストパス、あるいはシュートの手前で途絶えていた相手の攻撃を思えば、山形がこの5分間のチャンスをゴールに結べなかったことは悔やまれるところだ。

ただ裏を返せば、湘南の今日の勝利は守備陣の活躍に拠るところが大きい。前節の水戸戦を終えてからの短い期間、「練習の大半を守備の確認に充てた」と、菅野監督は話している。城定信次を中心とする最終ラインはコンパクトを目指し、シュートコースを塞ぎ、ときに楔のパスを跳ね返した。今シーズン初ピッチを踏んだ村山祐介が落ち着いたプレーを示せば、危険な場面では両サイドバックも中央を埋めた。後半早々に永井に代わって入った佐々木勇人のチャンスメイクに手を焼きはしたものの、伊藤の好判断もあり、押し込まれても守り抜いた。

安定したディフェンスは攻撃にも波及する。両チーム唯一の得点は、堅守を見せていたそのDF陣が紡いだものだった。72分、城定から左サイドの尾亦弘友希にパスが渡る。「前半は攻撃面で自分の役割を果たし切れていなかったので、後半はやり切ろうと決めていた」決意を秘めた尾亦のクロスは、動き出し鋭い売り出し中のFWをピンポイントで捉える。石原直樹のダイビングヘッドは、そのまま鮮やかにゴール左隅を貫いた。

山形にとっての誤算は、負傷によって交代カードを切らざるを得なかったことだ。佐々木は持ち味を発揮し右サイドでスパイスを効かせたが、攻撃陣のモビリティの低下は否めなかった。
逆に先制した湘南は横山聡に代えて新加入のフラビオを投入、追加点を目指す姿勢を明らかにする。合流間もないブラジル人ストライカーは長身を活かして競り合い、また足元巧みにポスト直撃弾も放っている。梅田直哉の離脱(右ヒザ前十字じん帯断裂で全治6〜7か月)という衝撃のさなかにあって、フラビオは希望を抱かせるに足る資質の片鱗を見せたといえるだろう。
結局、両チームともに最後まで得点は動かず、あまりに長い7分間のロスタイムでさえも、湘南が集中力を切らすことはなかった。

敗れた山形は次節、今日の結果を受けて順位が逆転した東京Vをホームに迎える。負傷離脱に台所事情は苦しい。決定力にも一抹の不安を覚える。だが苛立ちこそあれど、悪条件の重なった今日の敗戦自体は引きずる内容ではなかろう。「切り替えて次の試合に向かいたい」口惜しさを押し殺し、樋口監督は毅然と前を見据えた。

勝った湘南も、次節は累積警告によってニヴァウドと中町公祐、今節に続いて出場停止の田村雄三を欠く。また、「前半の戦い方に気持ちの弱さが垣間見えた」と、菅野監督は課題を見過ごさない。隙を閉ざし結果に結んだ今日のパフォーマンスを失わず、そのうえにストロングポイントを積み重ねて初めて幹は太くなる。つぎに対戦を控えている横浜FCは、過去2試合とも「0-2」で敗れた敵だ。圧倒的な守備力で2位を堅持する相手に、今度は敵地で「底力」を発揮したい。


以上

2006.07.17 Reported by 隈元大吾
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