7月19日(水) 2006 J1リーグ戦 第13節
清水 1 - 0 横浜FM (19:02/日本平/10,183人)
得点者:'89 兵働昭弘(清水)
----------
「Jリーグも捨てたもんじゃないなと思ってもらえるような試合をしたい」。
清水の長谷川監督は試合前にそう語っていたが、サッカーの質でも、運動量の面でも、気持ちの部分でも、その言葉通りのゲームを展開。ワールドカップをずっと観てきた人たちも、この試合を観れば、気持ちをしっかりとJリーグに切り換えられたことだろう。
雨が上がって気温22.6度と涼しくなった中、ベストメンバーに近い布陣で臨んだ両チームは、立ち上がりから積極的な攻めの姿勢を見せた。横浜FMもポゼッションしながら厚い攻撃に出ようとするが、より充実したスタートを見せたのは清水。中盤の選手たちの出足が非常に良く、厳しいプレッシャーをかけて横浜FMの攻撃に自由を与えない。セカンドボールの奪い合いでも優位に立って、素早い攻守の切り換えから得意の速攻でチャンスを作る。
開始早々の1分と3分に、清水がカウンターから惜しい形を作り、7分には藤本のミドルシュートがバーに当たる。序盤は、動きと集中力で上回り、DFラインも高く保ったホームの清水が完全に主導権を握って、横浜FMが耐える展開となった。ただ、その中でもゴール前はしっかりと固めながら、虎視眈々とチャンスをうかがう強さを持つのが横浜FM。21分には田中の右クロスを久保が逆サイドに流し、マルケスがフリーでシュート。これが決まっていれば、試合の流れは大きく変わっていたはずだが、わずかにゴール右に外れた。
その後は、展開が少し落ち着いたが、やはり良さが目立ったのは清水。ポゼッションしながらの攻撃でもこれまで以上の崩しを見せ、ボールを奪われた後もファーストディフェンダーのアプローチが非常に早く、横浜FMにカウンターのスキを与えない。
何より横浜FM自慢のブラジル人トライアングルによる左サイドの攻撃を、完璧に封じたのは見事だった。起点となるマルケスに良い形でボールが入ることを、兵働、伊東、市川、青山らの連携で絶ち、マグロンとドゥトラが上がる時間を作らせなかった。42分には、DFラインのパスミスからブラジル人トライアングルにチャンスを作られたが、ここはGK西部が身体を張ってセーブ。
前半のシュート数は、清水が6本、横浜FMが1本。予想以上の充実ぶりを見せた前半の清水に足りないのは、本当にゴールだけだった。
後半も、試合展開が大きく変わることはなく、1点勝負という雰囲気が濃厚になってくる。ただ、横浜FMもさすがに地力を見せて、前半よりも相手ゴールに迫る場面を多く作る。10分には素早いリスタートから久保がフリーでシュートを放ち、21分にはドゥトラからの左クロスが久保に通るが、いずれもチャンスを生かせず。
清水も、ゴールに近い位置でのセットプレーを数多く獲得し、左右からのクロスも入れるが、ここは横浜FMの守備陣が強さを見せつけてほとんど跳ね返し、ヘディングを武器とする清水のエース、チョ・ジェジンもノーチャンス。
終盤は、横浜FMのクロスが多く入るようになった中で、32分に久保に変えて194cmのハーフナーマイクを投入。ただ、「後ろ(DF)を外して前の人数を増やしていけるような流れではなかった」(岡田監督)ということで、布陣は2トップのまま。その後も39分にマルケスに代えて平野を投入するなど、岡田監督はこぼれ球を拾うことを重視したが、清水の守備陣がハーフナーへのハイボールにしっかりと対応して、決定的なチャンスを作らせない。
ロスタイムが2分と表示され、体力的にも消耗する中で両チームとも最後まであきらめずに攻め合うが、流れとしてはそのままスコアレスドローで終わる雰囲気だった。だが、最後に大きなドラマが待っていた。
時計の針が90分が経過した直後、マルキーニョスが中盤でキープして右サイドに大きく展開。そのまま市川がドリブルで上がって低いクロスを入れ、チョがDFを背負いながらこのボールをキープして後方に落とすと、兵働が落ち着いて左足でゴール左上に決め、ついに清水が横浜FMの堅い守りをこじ開けた。
何度も右サイドを駆け上がってきた中で、最後にこれまで通じなかったハイボールではなく、低く速いクロスを選択した市川、このボールを力強くキープしたチョ、そして疲労困憊の中でゴール前まで上がり、冷静にシュートを決めた兵働。まさに、この日の清水の気迫と集中力を象徴するようなゴールが試合を決めた。
敗れた横浜FMも、苦しい展開の中で、ゴール前での強さや、徐々に流れを引き寄せる試合運びのうまさといった横浜FMらしさを見せたが、コンディショニングの面では清水に比べてやや見劣りした印象もあった。だが、試合としては非常に密度が濃く、素晴らしいゲームであったことは間違いない。
もちろん、その中で最後に勝ち点3をつかみとった清水の選手たちは、非常に大きな自信を手にしたはずだ。
以上
2006.07.20 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
一覧へ【J1:第13節 清水 vs 横浜FM レポート】終了直前までスコアレスの展開も、最後まで集中していた清水に貴重な1点が生まれ、勝利をつかむ。(06.07.20)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













