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【J1:第13節 甲府 vs 京都 レポート】前を向いて仕掛ける意識の高まりに甲府の成長を感じた一戦。京都は数的有利を生かせず連敗。(06.07.20)

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7月19日(水) 2006 J1リーグ戦 第13節
甲府 3 - 1 京都 (19:04/小瀬/8,025人)
得点者:'18 アンドレ(京都)、'49 オウンゴ−ル(甲府)、'68 石原克哉(甲府)、'72 バレー(甲府)
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14位の甲府と17位の京都(第12節時点)の対戦は、J2リーグからJ1リーグに舞台を移しても熱い。昨年のJ2第44節では、既に昇格を決めていた京都に、入れ替え戦の権利を手にするために勝つしかなかった甲府が挑んで逆転勝ちを果たした。両チームの負けたくない気持ちが前面に出た試合でもあった。降格ゾーンからの脱出が眼前の目標となる両チームの戦いは、昨年のラストゲームを思い出させる展開となった。

前半の甲府は「クロージング」の課題を克服することが容易でないことを感じさせた。ボールをキープするものの、決定的なシーンの回数は比例しない。茂原は「前半は形にこだわったというか、パスを回すことに専念してしまって怖さはなかったと思う。パスを回させられていた」と感じていた。
対する京都はしっかり人数をかけて守って、怖いカウンターという昨年同様の京都らしさを見せた。18分にビジュにアンドレが倒され、PKで先制点を挙げるところまでは京都のゲームプラン通りの展開だった。リードしてしまえば、前に出てくる相手に対して、よりカウンターが仕掛けやすくなるからだ。ボールを奪った瞬間に一気にスピードアップしてくるカウンターは非常に怖い。しかし、今年の京都はリードしても守りきれない。それが下位に沈んでいる大きな理由のひとつだろう。

後半の甲府は、京都のMFとDFのラインの間でボールを受け、前を向いて仕掛けることをハーフタイムの修正ポイントとしてきた。幾らポゼッションをしてボールを回しても、バックパスや横パスでは前に進めないし、そこでボールを奪われれば京都に最高のカウンターのチャンスを与えてしまうからだ。中断開けの甲府の進歩は、ポゼッションの質に出ていた。ボールを回す中で、前を向く意識が高くなっていた。

前半は、石原がフリーランニングやボールを持った選手を追い越す動きで京都の守備のバランスを崩そうとしていたが、チームとしては充分に機能していなかった。しかし後半は機能した。49分に茂原がビジュに出したクロスが、オウンゴールという結果ではあったが同点ゴールとなり、早い時点で追いつくことが出来たことで、ハーフタイムの修正が機能し始める。しかし、59分にビジュが2枚目のイエローを貰って退場となる。

相手が一人少なくなったことで京都は楽になったはずだが、流れを変えることが出来なかった。失点に対する恐れがあるのか、パスを回させるのではなく、回されてしまう。前を向く甲府の意識がそうさせたという見方もできるが、京都が“らしさ”を失ってそれを助けた面は否定できないだろう。リーグワーストの28失点(第12節時点)という事実が意識に影響しているのだろうか。

一方、数的不利を感じさせない甲府は68分にスローインから茂原が石原に繋いで逆転ゴールを挙げる。そして4分後には石原がバレーへ素晴らしいロングパスを出す。広いスペースでボールを受けたバレーは、DFをかわして3点目となるゴールを決める。スペースを埋められた状態では仕事が出来なかったバレーだったが、スペースがあれば別人になる。ただ、スペースの狭い状態で仕事が出来なかった点は、大きな課題として残るだろう。甲府のサッカーが進化していく中で、バレーの存在意義は徐々に変っていくことになるのかもしれない。

3−1になったものの、20分近い時間が残っていた。ピニェイロ(66分)、田原(71分)、星(73分)と選手を入れて流れを変えようとした京都。その思いが激しいプレートなって両チームがぶつかり合うシーンもあったが、そんな中で冷静だったのは石原。熱くなった選手を止めながら「熱い者同士で止めるのに精一杯だったけど、時間を稼ぎたいという気持ちもあった」とクールでクレバーだった。この冷静さが残り時間に失点を許さなかった理由のひとつ。プレーの内容を含めて、甲府の成長を感じさせるゲームだった。

そして勝利以上に新加入の茂原の活躍も嬉しい。甲府は、再開後の戦いに新たな自信を持って臨んでいくことが出来るだろう。京都は結果が出なかったが、継続すれば京都らしさで結果を残すことは出来るのではないだろうか。問題は、少しでも早い時期にそれを実現することが出来るかどうかだ。

以上

2006.07.20 Reported by 松尾潤
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