7月22日（土）J2 第29節 山形 vs 東京Ｖ（19:00KICK OFF/山形県）
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　第３クールともなれば、互いに手の内を知り尽くしたなかでの対戦となるのが通常。ともすれば口飽きしてしまうこともあるが、東京Ｖがいい意味での新鮮味を試合にもたらしている。山形・樋口監督は「次は３回目の対戦ですが、選手も違うし、やり方も違う。３回とも違うチームなので研究のし甲斐がありますね（笑）」と冗談交じりに話している。

　東京Ｖは前節・徳島戦を４−２と勝利し、連勝で中位グループの先頭、５位までジャンプアップした。ここまで連勝、連敗と浮き沈みの激しいシーズンを過ごしてきたが、昇格圏内再突入へ向けていよいよ最終形完成かと期待を抱かせるのが第25節・横浜ＦＣ戦から採用している、トップ下にマルクスを置く新システム４−３−１−２。多くの人数を必要とするポゼッション・スタイルから、マルクスと２トップを攻撃の核とする速攻の比重が高まっている。さらに、絶対的な起点ができた信頼感が、２トップの平本、齋藤の動きにさらなるダイナミズムを与えている。気になるのは前節で初出場したボランチの一角、ゼルイスの存在。守備力など未知数の部分はあるが、ほかの２人のボランチとの連携やマルクスとのホットラインが構築されれば、攻撃の第２の起点としての役割も期待できそうだ。

　そして、新システムのもうひとつの狙い「守備力の安定」でも、一定の成果は上がっている。新システム以降前の３試合では、計10失点と壊滅的とも言える状態だったが、移行後の４試合の失点は０、１、１、２。攻撃力がさらに機能してくれば十分にカバーできる範囲だ。４バック、３ボランチと守備の準備をする選手を増やせていることがその要因。ＳＢの上がりは抑え気味となったが、必要以上にバランスを崩さない展開を続けることこそ、攻撃の鋭さを引き出す素になる。

　山形は前節・湘南戦を０−１で落とし、連勝は３でストップした。第25節・柏戦に３−０と快勝したが、その後はブロックをつくって守る相手への警戒心から、攻撃面における切り替えが遅れ、アグレッシプさをも欠くことにつながっている。東京Ｖの４バックは深すぎず、裏にも、３ボランチとの間のスペースにも入り込む余地はある。そこを的確に突く攻撃で勝機を見いだしたい。

　相手の中央に攻撃の起点となる選手がいると、必ずと言っていいほどその前に立ちはだかってきたのがボランチの渡辺。第２クールでは仙台のロペス、柏のディエゴを封じるはたらきでチームに貢献し、今回もマルクス封じの期待を一身に受けることになりそうだが、川崎Ｆの元チームメイトの特徴を知り尽くす渡辺はこう警戒する。

　「ディエゴやロペスはボールを長く持っているからやりやすい部分はあったが、マルクスはワンツーしながら入ってきたり、前を向いてスルーパスを出したり、ボールを簡単にはたいてくる。守備をボカしてると仕事をする選手なので、一瞬でも気が抜けない」
　
　均衡状態を好まない東京Ｖ・ラモス監督は、選手交代や中盤の形の変更など先に手を打ってくる傾向がある。そうした意図を迅速・的確に読みとり対応することも、この試合では求められそうだ。

　いよいよ正念場を迎えるチームを強力に支えようと、クラブも本格的に動き出した。「夏休み！わくわくナイトゲーム」は、今節から始まる頭文字Ｖの３チームとのホームゲーム（29節・東京Ｖ、31節・神戸、33節・徳島）を対象に、３試合分のスタンプを集めて応募すると６日間のハワイ旅行がペア一組に当たるなど、景品・特典・イベントが盛りだくさんの企画。３つのＶを制したあとの第36節に迎えるのは、残るもうひとつのＶ、ベガルタ仙台との「みちのくダービー」。ここではスタジアムをモンテ・ブルーでいっぱいにするため、「２万人キャンペーン」を実施中。海保宣生理事長が街頭に立ち告知チラシを配るなど、クラブのスタッフが総出で取り組んでいる。

　果たして、試合結果、観客動員とも「オールクリア」で、Ｊ１昇格を懸けたファイナルステージへの進出なるか!?　ただし、裏ワザなし！着実な一歩づつこそが成功への条件だ。

以上

2006.07.21 Reported by 佐藤　円