今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J1:第14節 広島 vs 千葉 プレビュー】「イビツァ・オシム」門下で育った、二人の新監督対決。(06.07.22)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
7月22日(土)J1 第14節 広島 vs 千葉(18:00KICK OFF/広島ビ)
-ゲームサマリーはこちら-
-スターティングメンバーは、試合開始約2時間前に各試合のスコアボード「試合詳細」に掲載されます-
-7/22(土)18:00締め切り!J1勝敗予想ゲームで豪華商品をゲット!!-
----------

広島=ミハイロ・ペトロヴィッチvs千葉=アマル・オシム。この両新監督の対決を、誤解を怖れずに表現すれば、こうなるだろう。
「オシムvsオシム」
SKシュトラム・グラーツ(オーストリア)で4年間、イビツァ・オシム氏と共に仕事をしたペトロヴィッチ監督。イビツァ氏の息子であり、2004年からは千葉でも「監督とコーチ」という関係で共に仕事をしてきたアマル・オシム監督。つまり2人の後ろには共に一人の偉大な男=イビツァ・オシムが、間違いなく存在するのである。

もちろん世界サッカー史上に残る指導者であり、哲学者の趣すらあるイビツァ・オシム氏が、2人と存在するはずもない。ペトロヴィッチ監督もアマル監督も「イビツァはイビツァ。自分ではない」と否定するだろう。しかし、両監督のサッカーのコンセプト・思想というベーシックなものから、その練習メニューに至るまで、彼ら共通の師である「イビツァ・オシム」の影響が色濃いことはたしかだ。

激しい運動量とスペースの有効活用をベースとして、リスクを怖れずに、時には最終ラインを数的同数にしても、人数をかけて攻めていく。そこに至るまでの細かな方法論には両監督の個性に違いはあるだろうが、目指すべき到達点は共に、イビツァ・オシム氏が提示し、実現しようとしてきたサッカーである。そういう意味で、この2人の新監督は、共に同じ頂きを目指す「同志」のような間柄と言えるだろう。

ただ、その成熟度にかけては、千葉の方に一日の長があることは間違いない。何せ「本家」イビツァ・オシム氏が3年以上もの間、手塩にかけてチームを育ててきたのである。アマル監督が父の路線を継承することを明言している以上、一からのチーム作りを余儀なくされているペトロヴィッチ監督とはスタート時点が大きく違うし、選手たちへの戦術浸透度も当然千葉の方が上だ。

しかし、現状のチームの雰囲気を考えてみると、広島の方に勢いを感じてしまう。リーグ再開初戦、見事な逆転勝ちを飾った広島のムードは最高に盛り上がっている、と言っていい。「監督のために勝利を」と選手たちは口々に言い、かつて経験したことのない激しい練習にも「やりぬけば強くなれる」と選手全員が信じている。その想いは、初戦の苦い戦いに勝利したことでさらに沸騰中だ。

一方、千葉はG大阪との激闘を演じながら、惜しくも逆転負けを喫した。アマル監督は父イビツァ・オシム氏の時よりも攻撃的な布陣を敷いて先制したものの、G大阪の強力な攻撃陣の前に逆転負けをしてしまった。もちろんそれによって、今までの3年間に培ったものが崩れるわけではないが、偉大な監督を突然失った喪失感はやはりゼロとは言えまい。コンセプトが変わらなくとも、選手たちにとっての問題はそれを「誰がやらせるか」なのであって、アマル監督がチームを完全に掌握するには、もう少し時間が必要だろう。

明日は、広島の守備の軸であるリベロ・戸田和幸が出場停止。吉弘充志・小村徳男とCBが負傷離脱中で、戸田に代わる人材は「いない」とペトロヴィッチ監督もこぼしている程だ。他にも森崎和幸・大木勉といった主力が戦線を離脱中で、戦力的にもかなり苦しい状況にある。チームの成熟度で千葉に先を行かれていることも考え合わせれば、たとえ阿部勇樹が出場停止であっても、広島がより厳しい状況にあることは間違いない。

しかし、今年の4月26日に広島スタジアムで行なわれたヤマザキナビスコカップ(第3日)において、控え組中心の広島が0−4から一気に1点差まで追い上げ、当時千葉を指揮していたイビツァ・オシム監督をして「負けた方が良かったゲーム」と言わしめた実績を考えれば、今のモチベーションの高い広島が大きな仕事をやってのける可能性も否定できない。
いずれにしても、共にイビツァ・オシム氏の薫陶を受けた両監督がどういうサッカーを表現して勝利を勝ち取るか。両チームのサポーターでなくても、その内容に興味をそそられる一戦となるだろう。

以上

2006.07.21 Reported by 中野和也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着