7月22日(土) 2006 J2リーグ戦 第29節
札幌 2 - 2 草津 (14:04/札幌厚別/6,869人)
得点者:'45 中井義樹(草津)、'54 砂川誠(札幌)、'89 中山元気(札幌)、'89 チカ(草津)
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ホームの札幌はエースストライカーのフッキと、今季開幕から好パフォーマンスを継続してきたMF芳賀が出場停止。そのうえテクニックのある攻撃のキーマン、西谷が体調を崩し、セットプレーでの得点源であるDF池内も今週の練習で負傷してともに欠場。控え選手が台頭できる良い機会ではあるが、この試合だけを考えればメンバー構成は苦しい。
一方、アウェイの草津はこの試合、システムを4−4−2に変更して挑んだ。センターバックの齋藤が出場停止という状況も理由のひとつだが、「中盤でボールを奪おうという狙い」(植木監督)が最大の理由だ。
序盤は激しい主導権争いが見られた。草津は最終ラインのベテラン鳥居塚が細かなラインコントロールを行ない、札幌は6試合ぶりにスタメンに復帰した守備的MFの大塚を中心にゲームをコントロールしようとする。守備的MFを2枚置く形での3−5−2で戦う札幌に対し、草津の中盤はボックス形であるため、必然的に大塚、金子という札幌の守備的MFへのマークは緩いものとなる。そのため序盤こそ札幌が主導権を得かけたが、そうした状況を察した草津は、山崎、島田の左右MFが内側に絞ったり、2トップが下がっての守備でケアをしたりと応対。その結果、中盤には両チームの選手が数多くひしめくこととなり、互いに短いパスが簡単にカットされてしまったり、攻撃の芽を潰し合う場面がとても目についた。どちらも大きな展開ができず、札幌については個人での打開力が足りずに手詰まりになる局面も多かったように思う。
試合が動いたのは後半に入ってから。キックオフからおよそ23秒後、「スペースを狙った」という中井のクロスボールがそのまま札幌ゴールへと飛び込み、アウェイの草津が先制点を奪う。ここで注目すべきは草津が風上でプレーをしていたというところだ。主将の高田が「監督の指示で、後半にこちらが風上のエンドでプレーできるよう、前半は風下を選んだ」と言うように、戦略的にエンドを選択した草津は、後半に入るとアウェイ側からホーム側へと吹く追い風を利用したプレーを意識していた。この先制点については運も左右したのかもしれないが、浮き球のボールを意識した末の得点シーンであることには間違いない。
試合が緊張感を一気に高めたのは75分ころだ。54分に札幌が砂川のPKで同点に追いつき、1−1のスコアで迎えたこの時間帯、札幌が186センチの中山を、草津が196センチの太田と、ともに長身のFWを前線に投入。どちらも空中戦から得点機を作り出し、勝ち点3を取ろうという姿勢を明確に打ち出した。この日は双方の先発FWがどの選手も170センチ台だったということもあって、この選手交代は両チームの攻撃に大きなアクセントをつけた。
そしてこの采配が実ったのは札幌だった。終了間際の89分、途中出場の上里が左サイドからまるでレコバ(ウルグアイ)のように左足で鋭いクロスを蹴りこみ、そのボールに中山が頭で合わせてゴールネットを揺らした。中山にとっては今季初得点。フッキをはじめ主力選手を複数欠くという苦しい状況下で、今季ここまでなかなか結果を残せないでいた中山が、それも終了間際に劇的なゴールを奪ったとあって、厚別のスタンドは大きく沸いた。この得点を機に今後札幌は勢いに乗れるのではないか、そんな雰囲気さえ生まれつつあった。
だが、ここまで舞台は整いながらも結果を出し切れないところが札幌の最大の弱点か。わずか数分のロスタイムにもうまくゲームコントロールができず、タイムアップ寸前に自陣ゴール前の混戦からチカにシュートを決められてしまい、最後の最後で同点に追いつかれてタイムアップの笛を聞いた。
「勝てる試合を引き分けてしまった」。試合後、何人かの選手がこう振り返った。たしかに、終了間際の89分に途中投入のFWが劇的な得点を挙げたのだから、勝利が手中に収まりかけていたことは間違いない。だが、ゲームの内容が勝利にふさわしかったかと問われれば、答えにつまるはず。
そして、「少し自信をなくしているところがあるのかもしれない」と柳下監督は指摘した。J1昇格を目標としながら、思うように勝ち点を積み上げられない現状に自信を持ちきれないという心理はよくわかる。だが、リーグ戦の最中というのはどのチームも、どの選手も常に不安と隣り合わせで戦っているはず。札幌は、自信をなくしている場合ではない。ミスを恐れず自分たちから積極的に仕掛ける、それが札幌の目指す「アクションサッカー」の本質なはずだ。この試合も負けたわけではなく勝ち点1は積んだわけだから、収穫は決してゼロではない。
以上
2006.07.22 Reported by 斉藤宏則
J’s GOALニュース
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