今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第29節 仙台 vs 愛媛 レポート】同じ勝ち点1でも、受け取り方は両極端。組織と各々の責任感をもって勇敢に戦った愛媛の姿が、仙台に現実を突きつける。(06.07.23)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
7月22日(土) 2006 J2リーグ戦 第29節
仙台 1 - 1 愛媛 (19:04/ユアスタ/13,728人)
得点者:'62 松下幸平(愛媛)、'73 チアゴネーヴィス(仙台)
----------

宮城県内のほとんどの小中学校では、この週末を前に夏休みがスタートしているが、今日の仙台の戦いぶりは、子どもたちに対して、まるで自ら教訓を示しているかのようであった。幼い頃、多くの子どもたちが経験しているであろう苦い思い出。宿題を夏休みの終わり近くまで残して、最後に泣きを見るという「あれ」を、仙台は90分間の中で演じてしまった。

立ち上がり、仙台は「3トップらしい」崩しで、相手の守備を突破していった。左にボルジェス、右に関口と、両翼にワイドに広がった布陣は、特に関口のサイドでその力を発揮。中のロペスから関口への展開というパターンで、いくつかチャンスを生み出していく。愛媛のDFラインは左右に幅広く広げられ、この時間明らかに対処に苦しんでいた。

だが、この勢いは長続きしない。愛媛が落ち着きと共に素早いプレスを取り戻すと、仙台はカウンターアタックを繰り出せなくなるばかりか、組み立て時における最終ラインからの雑なパスを狙われ、逆に愛媛の速い攻めを呼び込むことに。そうなると、前線に人員を張り気味の布陣は、この時間完全に裏目となる。どうしても仙台は逆サイドでスペースを作ってしまい、そこを愛媛はいつものSBを絡めた素早いサイド攻撃で侵食した。高萩の簡単な散らしから、一気にサイドでの数的有利を作っていく愛媛に手を焼く仙台。前半終了時、ユアスタに仙台サポーターのブーイングが轟いたことが全てを物語る。

後半に入っても流れは変わらない。47分の出来事(愛媛の右SB森脇が、右45度から低くて速いセンタリングを入れると、仙台の守備は簡単に崩れ、ファーの江後がフリーで合わせてきた。しかしこれは小針のファインセーブとDFのクリアで得点にならず)は仙台のツキの良さを示したものかと思えたが、これとほぼ同じような形で、仙台は失点を喫することになる。

62分、敵陣で相手ボールを上手くカットしたかに思われた千葉が反則を取られる。ベンチからはジョエル サンタナ監督とロナウド・フィジカルコーチが血相を変えて飛び出したが、同時にピッチ上の選手たちも若干冷静さを欠いてしまったのか。
直後のプレーで愛媛は右サイドにボールを振ると、47分の森脇と、位置もボールの質もほぼ同じようなクロスを赤井が入れる。先刻の場面ではファーにいた「FWの」江後がシュートを阻まれたが、ならばとばかりにさらに大外から入ってきた「左SB」までには、さすがに仙台のマークも後手になった。利き足の左で強烈に蹴りこんだ松下のシュートで愛媛が先制。

追い込まれた仙台は、これでようやく目が覚めた。中央から右寄りの位置に移ったロペスを基点に、次から次へとチャンスを生み出し、73分には同点に。ロペスが中央突破からシュート、一度はGK川本が弾き、ボルジェスが詰める前にDFがこぼれ球に触れるも、クリアは中途半端に。そのボールを後方から突入してきたチアゴ ネーヴィスがかっさらうと、ゴール左に流れながらGKのニアサイドに強烈な左足シュートを突き刺した。

さらに仙台の攻勢は続く。自らのサイドに球持ちの良さと展開力を誇るロペスがやってきたことで、右SB中田のオーバーラップが活性化。ロペス→中田のルートで何度もサイドアタックを仕掛け、流れは完全に仙台へ傾く。

しかし、ロペスのミドルをGK川本がキャッチできず、ボールが詰めていた萬代のもとへ転がった84分のビッグチャンスに、萬代はシュートを死に体の川本に当ててしまう。この絶好機を逃した仙台には、5分という長いロスタイムの後でも、勝利が舞い込むことはなかった。

チアゴ ネーヴィス投入と共にシステムを4−2−3−1へと変更した仙台は、サイドでの数的不利も解消され、前半と比べると幾分戦えるようになっていた。選手たちの戦う姿勢も、失点後から急に強くなった感があった。しかし、その全てを後半まで(あるいは失点まで)待たなくてはいけなかったのは問題だ。監督も会見で語っていたが「どこかの時間帯で勝つだろうという気持ち」はなかったか。
さらに付け足すと「ロペスが何とかしてくれる」という気持ちがなかったか。そして何より、当の監督自身、その考えは本当になかったか。後半、いざ尻に火がついてみても、結局、攻めがロペス頼みだったことに変わりはなかった。選手個々を見れば奮闘している選手もちゃんといるのだが、チームとしての形ができない現実は重い。

序盤に押し込まれようとも、前線からのプレスという自分たちの武器で流れを取り戻し、組織の中で各々が自分の仕事をこなすことで勝ち点1につながる先制点を得るに至った愛媛と、今の仙台はあまりに対照的だ。

後半ロスタイム近く、ロペスが右サイドでボールを持つ。彼に信頼を寄せるのは一向に構わない。しかし彼が3人もの愛媛守備陣に囲まれているにも関わらず、仙台の他の選手がフォローに向かうことなく愛媛ゴール前に殺到し、ただロペスが局面を打開することを待っていた姿には、現在のチームが抱える「病巣」を見た思いがした。

夏休みの例えで始めたのだから最後もこれで締めよう。ロペス、ロペス、ロペス…と続けていく攻撃はまるで、毎日地道に絵日記をつけることをしなかった子供が、お天気の欄にひたすら太陽のマークを並べていく姿に似ている。

以上

2006.07.22 Reported by 佐々木聡
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着