7月29日(土) 2006 J2リーグ戦 第31節
仙台 0 - 1 鳥栖 (19:04/ユアスタ/14,592人)
得点者:'24 山口貴之(鳥栖)
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尹の出場停止を受け、鳥栖がセンターハーフの位置に起用したのは村主。プレビューでも触れたとおり、誰それがすぐに代役を務められるような存在やプレースタイルではない尹の穴に入ったのは、むしろ同じMFとはいえ尹とは持ち味が正反対、ガチガチの守備的MFでありファイターであった。
だがそもそも「仙台対策」という視点で考えれば、尹よりもむしろ村主のほうが適任であったことが開始わずかで明らかになる。村主に与えられた役割は「ロペス封じ」。つまり、ピッチの端までもついていく、徹底的なマンマークである。
結論から言うと「ロペスへのマンマーク」という、鳥栖の単純だが効果的な罠を、仙台は最後まで崩せなかった。前半のうちに数的有利すら授かりながらも、なお仙台はリズムのまるで感じられない攻撃・・・と呼ぶのもはばかる攻めに終始した。挙句、ミス絡みの失点を最後まで返せずに敗戦・・・
試合終了後、選手の挨拶も待たずに横断幕の撤収に取り掛かった仙台サポーター。こんなことは今シーズン初めてだったが、この敗戦でホーム6試合連続勝ち無しとなり、事実この試合自体、仙台の今シーズンにおける疑いようのないワーストゲームであったのだから、気持ちもわからないでもない。
ロペスを前述の手段で封じられた仙台。マンマークがいるということは、マークにつかれた選手が上手く動くことで、逆に相手の守備に隙間を与えることもできるのだが、ジョエル サンタナ監督も指示したというその動きが功を奏さない。
そうこうしているうちに、先制点は仙台にとって最悪の形で、鳥栖にもたらされた。最終ラインの木谷が左サイドへ展開しようとしたボールがミスパスとなり、そのまま鳥栖の新居の元へ。前線の危険な存在である新居に、それまでは早いチェックで前を向かせることが少なかった仙台の守備陣だが、この緊急事態ではなす術が無い。
このチャンスをしっかりフィニッシュまで持っていくところが、新居のFWとして素晴らしい部分。ゴールと自分の間には、少なくても2人以上の仙台の守備陣がいたはずなのだが、新居は素早い加速と小気味の良いリズムあるドリブルでゴール正面から右に流れていくと、わずかに空いたシュートコースを見逃さず右足を振りぬく。このシュートは小針がファインセーブで防ぐが、ずたずたになっていた守備陣は、ルーズボール後の対応までは気が回らなかった。ゴール右のポスト付近にこぼれたボールを、そこにしっかり詰めていた濱田が拾うと、逆サイドで完全にフリーだった山口へ完璧なお膳立て。小針必死の横っ飛びも届かず。山口のヘディングシュートがゴールに吸い込まれ、鳥栖が大きな先制点を奪う。
鳥栖は前半37分、熊林の縦パスに反応してライン裏へ走り込もうとしたロペスと、マンマークについていた村主がもつれて倒れる。既に警告を一度受けていた村主に対して2枚目のイエローが出されて退場となり、試合の半分以上の時間を、数的不利を背負って戦うことになる。
しかし松本監督の動きは素早かった。先制点を決めた山口を下げ、代わりにピッチに入る衛藤に、村主と全く同じである、「ロペスへのマンマーク指令」を再び与えて送り出した。試合後、鳥栖・松本監督が「ロペスを封じれば、仙台のチームの7割を封じたも同じ」というコメントを発していたが、鳥栖のこの日の狙いは、ここまで徹底していたのだ。
一方で仙台は後半に入っても、攻めの糸口を見出せずにいた。相手の鳥栖は一人少ない上、最終ラインの4人に、前線にいたロペスにつくための衛藤、さらに場合によってはボランチの高橋も最終ラインに吸収されるなど、かなり後方に比重を置いた守備陣形になっていた。ならば必然的に、中盤や2列目に、突破口となるべきスペースは広がっていたはずである。
だがそれを活かす術や動きが、この日の仙台にはまるで無かったといってよい。2列目からのミドルシュートはほとんどなく、後方からのフォローも効果的なものが出せないばかりか、受けてから微妙にずれるパス精度の悪さが、攻めのスピードを確実に奪っていた。
さらにベンチワークも、この日はおかしかった。57分、サイドラインに投入準備を終えた梁が姿を現す。中盤のテクニシャンを入れて、相手の守備が薄くなっている中盤のスペースを使う意図かと思われたが、交代の相手として呼ばれたのは右SBの中田だった。しかも梁はそのまま、右サイドの後方に入る。本人は「SBよりももう少し前で」と交代の意図を説明したが、元々こうしたポジションを経験したことの無い梁は、どうしても相手に裏を突かれることを恐れ、低い位置にしかポジションを取れない(この辺りは、梁の投入と同時に、山城を梁のサイドの高い位置に張らせた鳥栖の采配も光る)。そして、結果的にSBの位置取りとなってしまった。梁には不幸だったが、交代枠が一つ無駄に消えた。そして仙台は、ゲームに対して、そして一人少ないはずの鳥栖に対して全くのインパクトを与えられないまま、サポーターの怒号と共にゲームを終わらせてしまった。
確かに、一人少なくなって以降の鳥栖各選手の奮闘は感動的ですらあった。追加点こそならなかったが、新居は最後まで危険な存在であり続けた。シュナイダーが「これでまた昇格争いに絡める」と語ったように、自身を取り戻す意味でも大きな勝利だっただろう。
一方で仙台の状況は、かなり深刻だ。次節以降の対戦相手も、マンマークほどでないにしろ、ロペスに対して二重三重の対策を採ってくることは必死。今からでも遅くない。この現状に何か対策を打たないと、取り返しのつかないことになる。
さらに次節は、守りの要、千葉が出場停止。攻守両面で不安を抱え、仙台は次節、神戸との3位4位直接対決を迎える。
以上
2006.07.30 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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