●8/6(日)18:00キックオフ/4,084人/静岡
ワールドチャレンジマッチ セビリアFC JAPAN TOUR 2006
ジュビロ磐田 2-3 セビリアFC(スペイン)
得点者:2' マククラ(セビリアFC)、15' 前田遼一(磐田)、24' アドリアーノ・コレイア(セビリアFC)、53' マククラ(セビリアFC)、57' 服部年宏(磐田)
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磐田サポーターの熱心な応援は別にして、スタンドの空気(入場者数4,084人)からみても、ピッチ上の緊張感からみても、すごく贅沢な練習試合という雰囲気になった国際親善試合。ただ、だからこそ両チームにさまざまなテストが見られ、磐田の今後の戦いを占ううえでも楽しみな要素をいくつか見ることができた。
2日前の新潟戦から先発を9人も入れ替えてきたセビリアは、ウォーミングアップの時点から非常にリラックスしたムード。磐田の選手たちは、その雰囲気につき合ってしまったのか、開始2分で集中力を欠いたディフェンスから先制点を奪われてしまう。「こういう雰囲気に流されてはいけない」と中山が反省したように、立ち上がりが良くないという問題がこの日も現われた。
しかし、いきなり冷水を浴びせられた後は、自分たちのサッカーを徐々に整えていく。この日の布陣は、ファブリシオ、福西、上田という3枚のボランチを置いた4-3-2-1という形で、その中には新しい試みも見られた。「ファブリ(シオ)が相手FWにつくという感じになって、真ん中で3対2(相手の2トップ)を作る形が多くなった」(服部)ため、両サイドバックが左右に大きくズレてスペースを与えてしまう場面が少なくなった。ファブリシオの前には、福西と上田が構え、両サイドバックもより高い位置で相手を捕まえることができるようになったため、これまでよりも受け身ではなく、積極的な守備が期待できそうな兆しが見えていた。
一方、セビリアの布陣は4-4-2。相手ボールになったときは素早く帰陣して、DFラインの4枚と中盤の4枚で2列のラインをきれいに整え、DFラインを高く保ちながらもその前のスペースとパスコースを消してくる。その結果、磐田は後ろでボールを回すことはできても、なかなか前線にクサビのボールを入れることができなかった。Jリーグのチームで言えば、清水と似た面が感じられた。
攻撃では、「(セルビアは)1タッチでポンポンとボールを回して、プレーのスピードも速かった」(上田)という武器もあるし、192cmの長身FWマククラをターゲットにして長いボールを入れ、そのセカンドボールをチェバントンが拾って攻めるという形でも磐田を苦しめた。
守備ではきっちりと組織的かつセーフティーに守り、攻撃では早い切り換えからの多彩なパスワークを持ちながらも、手詰まりになったときには前線の高さやスピードを生かしたシンプルな攻めもできる。バルセロナやレアル・マドリードといったビッグクラブとの真剣勝負が続く厳しいリーグで、着実に結果を出していくために構築されたサッカーには、なるほどと思わせる説得力があった。
試合展開のほうは、15分に太田の正確なクロスから前田が頭で決めて、磐田が同点に追いつき、その後は磐田の淡泊な守備をついてセビリアが2点を追加(24分、53分)。そして、57分に磐田が服部のシュートで1点を返して3-2。その後は、両チームともメンバーを次々に入れ替えてテストモードに入り、蒸し暑さで疲労も顕わになってきたため追加点は生まれず、そのまま1点差でセビリアが日本遠征2連勝を果たした。
ただ、敗れた磐田のほうも、これまでのような徹底したマンマークの守備ばかりではなく、相手選手を離して良いところは離してバランスを保ち、厳しくチェックすべきところは厳しくというメリハリが見られ、これも今後に向けて楽しみな部分。
さらに、太田の精力的な動きとスピードは、セビリア相手にも十分通用していたし、20歳の上田も90分間しっかりと仕事ができることを示した。ボール・ポゼッションという面でも、時間帯によっては優位に立ち、セビリアを押しこむ場面も作った。
その他にも、センターバックを務めたベテラン鈴木の踏ん張りやコーチング、相手守備陣を苦しめた中山隊長の身体を張った攻撃、FW藤井の積極的なプレー、ルーキー犬塚の初登場など、ベテランと若手の良い面をバランス良く生かしながら起用していくという方向性も見えた。
6日後には、同じエコパで宿敵・鹿島との決戦が控えている。そこで良い内容、良い結果を出すことができれば、このセビリア戦には大きな価値があったと言えるだろう。
以上
2006.08.07 Reported by井上慎也
J’s GOALニュース
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