8月19日（土） 2006 J1リーグ戦 第18節
名古屋 3 - 1 磐田　（19:00／瑞穂陸／14,392人）
得点者：'28 本田圭佑（名古屋）、'35 本田圭佑（名古屋）、'77 秋田豊（名古屋）、'89 カレンロバート（磐田）
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目下３連勝中の名古屋。３試合連続無勝利の磐田。そんな両チームの勢いが、ハッキリと結果になって現れた「東海ダービー」となった。

２００４年１ｓｔステージ以来、リーグ戦で名古屋から白星を挙げられていない磐田は、この試合を白星で飾ってリーグ戦対名古屋戦連続無勝利記録に歯止めをかけ、何とか停滞気味の流れを変えたかった。実際、立ち上がりからその姿勢は感じられた。

「流れは悪くなかった」成岡が言うように、太田、福西、成岡とダイレクトパスをつないで名古屋ゴール前に詰め寄ったかと思うと、茶野のオーバーラップ、西、ファブリシオからクロスボールが入って太田のシュート、エース前田を狙ったセンタリングなど、前半開始１０分までで磐田には「ゴールの気配」が漂っていた。
特に目立ったのが西の積極的な仕掛けと、西が開いたところへの成岡のダイレクトパス。また、太田の自由な動きで、左右両サイドを好きなように動く太田からのチャンスメイクは、非常に有効かと思われた。

しかし、先制点は名古屋に入ったのだった。たとえリズムを掴んでいたとしても、一瞬にして立場が逆転する・・・それが「ゴール」の持つ力だ。前半２８分、杉本のバックパスから、「良いゴールだった」本田自画自賛の左足ビューティフルゴールがゴール左上隅に突き刺ささり、名古屋がリードを奪った。これで本田には、今季３回の対戦全てでゴールを奪われた。

それまでは田中を中心に磐田の守備も安定をみせていたが、均衡が破られると「ゴールを入れられるとバタバタしている感じがここの所ずっとある」成岡の言葉通り綻びが見え始めてしまった。
前節の鹿島戦で喫した３失点の全てがセットプレーからだっただけに、磐田はセットプレーだけには最大に注意を払ってきたつもりだったが、「大事なところでセットプレーを与えないこと」という部分での徹底ができず、前半３５分に藤田をファウルで止め、名古屋にＦＫを与えてしまう。
ゴール正面２５ｍの位置から本田圭佑が直接狙ったシュートは無回転。ＧＫ川口能活が真正面で捉えたかと思われたが、スタンドからは決して見極めることのできない変化球となったのか、ボールが後ろにこぼれてしまい２−０。またしても本田、そしてセットプレーで決められてしまったが、１点目も２点目も本田のシュートは超一級品で、決めた本田を誉めるべきだろう。

「後半は違った戦いになった」（名古屋・フェルフォーセン監督）と敵将が語るように、２点のビハインドで後半を迎えた磐田は、最初から成岡からカレンへとチェンジしアタッカーを増やす。カレンは激しく動き回り、起点となって西、太田、前田らとつないでいく。徐々に磐田の得点シーンには欠かせない福西の絡みが増えてきて、早い時間から再び流れを作り出していた。だが、名古屋守備陣もしっかりと止めに入ると、逆に名古屋らしいスリートップとカウンターサッカーを体現してくる。
さらに、最も警戒していたヨンセンの高さが目立つようになり、磐田が防戦気味になりつつあった。だが後半２２分、磐田キラーの本田がこの試合２枚目のイエローカードで退場処分となる。磐田にとって好影響かと思われたが、その後大きな影響は感じられないほど、名古屋は戦う姿勢を崩さなかった。
両チームともに足が止まりつつあった後半３２分に、右サイドで玉田がドリブルで仕掛けると、金の対応にまたしてもファウルの判定。右のコーナー付近からの良い位置でＦＫを献上してしまった。
中村直志の入れたファーサイドへのセンタリングにヨンセンと秋田が同時に合わせたが、突き刺したのは秋田の頭で３ー０。止めとも言えるゴールを奪われた。

磐田は終了間際に前田からの縦パスを、途中から入った菊地直哉が右サイドを上がってセンタリングし、それをゴール正面の混戦からカレンが倒れながらも足に当て一矢報いたが時すでに遅し。
終わってみれば、この試合でもセットプレーからの２失点に泣かされる結果となってしまった。

「敗北は最良の教師である」
日本代表のオシム監督が言った言葉だが、これを磐田は前を向いて受け止めたい。この言葉を苦し紛れにしないためにも、今はしっかりと現実と向き合い、自分たちの力で足下を固めていくしかない。

その気になれば、いつからでも、どこからでも生まれ変わることはできるはずだ。

以上

2006.08.20 Reported by 上岡真里江（ビットマイスター）