8月26日(土) 2006 J1リーグ戦 第20節
清水 2 - 0 F東京 (19:04/日本平/16,177人)
得点者:'44 チョジェジン(清水)、'77 チョジェジン(清水)
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試合内容からみれば、清水にとってはもっと点差をつけて勝てたゲーム。しかし、試合後の記者会見で長谷川監督は、開口一番守備陣の頑張りを称えた。なぜなら、試合の「流れ」からみれば、まったく別の結果になっていても不思議ではなかったからだ。
気温26.8度、湿度58%。試合が始まると、その数値以上に涼しく感じられた日本平スタジアム。連戦が続く選手たちには、ありがたいコンディションの中、前半は清水サポーターにとって非常に観て楽しいゲームとなった。スタメンはどちらも前節とまったく同じ。システムは、どちらも2列目がワイドに開く4-4-2と同じだが、細かい部分では微妙に異なる。清水はその部分をうまくついた。
F東京は、ボランチの浅利と梶山が縦に並ぶ関係で、見方によっては梶山がトップ下で、浅利の1ボランチのような形。両ワイドの石川と川口は、左右に張っている時間が長く、そこも清水の兵働、藤本の動きとは異なる部分。その兵働と藤本は、F東京のボランチ浅利の両脇のスペースに顔を出し、それによって浅利を引っ張り出して、空いたバイタルエリアに枝村やもう1人のワイドMF、あるいは2トップのどちらかが入って攻めこんだ。
最近の清水は、前線の選手たちが流動的によく動き、自分たちでスペースを作って、そのスペースに誰かが飛びこんでいくという攻撃がよく機能している。今日もそれが見事にはまって、バイタルエリアで前を向いてボールを持てる場面が多くなり、徐々にF東京を圧倒していった。
そして12分には、マルキーニョスとのコンビでゴール左に飛びこんだ藤本が、徳永に倒されてPKを得る。徳永はこれで1枚目のイエローカード。しかし、このPKをマルキーニョスが上に外し、絶好の先制機を逃してしまう。
だが、その後も清水が主導権を握り続け、守備でも左SBの山西がうまく石川のスピードを殺すなど、F東京の勢いをきっちりと抑えこむ。攻撃でも速いテンポでボールをつなぎ、決定的なチャンスも3度、4度と重ねていった。とくに43分のチョの右クロスから枝村がヘディングシュートを放った場面は、彼自身の5試合連続ゴールの絶好機だったが、これも左に外れてしまう。
F東京も何とか反撃を試み、15分の梶山のミドルシュート、18分の赤嶺のシュートなどのチャンスを作ったが、それ以降はほとんど良い形を作れなくなった。それでも清水がなかなかチャンスを決められないまま前半は0-0で終わるかと思われた44分、清水の右CKからゴール前でマルキーニョスが倒れたところで主審が2回目のPKを宣告。さらに徳永が2枚目のイエローを受けて退場処分となった。このPKを、今度はチョが落ち着いて決め、数的優位に立った清水が1点をリードして前半を終えた。
後半開始早々にも右クロスから藤本が決定的なシュートを放ち、後半はさらに清水が圧倒するかと思われたが、さにあらず。10人になったF東京が、4-4-1の形で守備の意識を強めて、カウンター一発にかける戦いに出ると、清水も前半ほどうまくスペースを作れなくなり、攻めあぐねる展開になっていった。数的優位になって一息ついたということはなさそうだが、前半ほど流動的な動きが見られなくなり、ミスも多くなって、なかなかF東京の守備のブロックを崩せない。皮肉なことに、相手が10人になってから、かえって攻撃が停滞してしまった。
この間、F東京がセットプレーやカウンターで同点に追いつけば、清水には焦りが出て、F東京には勢いが出て、試合はどうなるかわからなかった。それは、サッカーではよく見るパターンだからだ。後半の半ばまでは「イヤな流れだった」と長谷川監督も認めたが、それを救ったのが、清水の守備陣の頑張り。
ボランチを含めた清水の守備陣は、F東京のカウンターに対する警戒を緩めることなく、危なくなりそうな場面も早めにピンチの芽をつぶしていく。セットプレーでも集中を切らすことなく、身体を張ってゴールを守った。そうした守備の安定に支えられて、25分前後からは清水が徐々にペースを取り戻していった。
そして32分には、左の藤本の折り返しからチョが正確なシュートを決めてようやく清水が追加点を奪い、試合をほぼ決定づけた。結局、清水のゴールは2点にとどまったものの、失点を0に抑えたことが効いて、清水が1万6千人以上がスタンドを埋めた日本平スタジアムで、ホーム7連勝を実現。ここ6試合で5勝1分という好調さもそのまま。決定機を逃す場面が多かったという課題はあるが、さらに上位をうかがえるだけの内容の良さを見せつけた。
敗れたF東京のほうは、2試合で9得点の勢いを止められたことで、チームとしての洗練度の差が表われた形となったが、今の清水が相手ではそれもある程度は仕方ないこと。「うちとしては戦い方を変えるつもりはない」(藤山)と、選手たちも前向きに気持ちを切り換えていた。
以上
2006.08.27 Reported by 前島芳雄
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