8月26日(土) 2006 J2リーグ戦 第36節
山形 1 - 0 仙台 (19:04/山形県/13,043人)
得点者:'18 内山俊彦(山形)
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スコアだけならば1−0、最少得点での敗退である。第1クールのダービーでは、同じ会場で0−3、アウェーでの歴史的な勝利を上げていることを思えば、こんな日だってあるさ…などと、いかに己を納得させようと試みても、この試合だけは、無理だ。90分を終えて、何も得られない試合というのも実際にこうして存在するのだと、今回の体験で知らされた。戦術を欠き、覇気を欠き、時に集中まで欠けていた戦いぶりでは、勝ち点1すらものに出来ず当然である。
まず戦い方。プレビューでも触れていた通り、仙台は前節、前線の個人能力に依存しない、チーム全体の連動による相手の崩し方を見つけ出していた。それが中2日という過密日程の中のダービーマッチでも、仙台の側に期待を抱かせる大きな要素となっていた。
ところが、ピッチ上のメンバーは誰一人前節と変わっていなかったにもかかわらず、仙台のチームからは前節の教訓が完全に欠落していた。山形が横浜FCと異なり、前線からこちらのボール保持者に向けて積極的なプレスを試みてきたことも背景にはあるが、それでも落ち着いたパス回しは影を潜め、前線への無策な放り込みを繰り返す、悪い時期のサッカーが戻ってきてしまった。
そしてこれは、何も後方の選手たちだけの問題ではない。前線の選手自体に、ムービングの意識がまるで見えなかった。前節は浅い位置でのショートパスやサイドチェンジで、守備ブロックの隙間に点在していたスペースを広げていくと同時に、そのスペースに前線の3人が、基点となるべく入り込む動きがしっかりとあり、この両輪が揃ってこその美しい攻めだったのだが、今節では前の3人はただ動かずボールを待つだけ。当然、ボールが入ったとしても、振り向くことすらままならない状況が待っている。「相手のDFラインと中盤の間のスペースにボールを入れていけ」というのが、今回の仙台の攻めの狙いだったそうだが、ボール、人、双方共に、そのスペースを使おうという意識は最後まで見えなかった。
さらに、チーム全体にどことなく漂う「緩い空気」。試合を見ていたあるチーム関係者は「(前節のユアスタに比べて)ピッチがぼこぼこで悪い、だからショートパスをつなぐのも厳しい」と擁護したが、それでもピッチ状況とは関係ない、明らかに不注意から来ていると思われるパスミスも頻発した。反撃に出ようにも、このようなことで簡単にボールを失い、後追いで山形のカウンターに対応しなくてはいけないような流れを繰り返していては、それはモチベーションも(本来あってはいけないが)下がるというものだ。
そして何より悲劇的だったのは、こうしたフットボールの「競技面」での要素とは別次元の、単なる集中量の欠如ととられても仕方のない場面があまりに多すぎたこと。ハーフタイムには「闘志なき者は去れ!!」という横断幕が出されるほどに、前半からサポーターをいらだたせる戦いだった仙台。しかし、気持ちを入れ替えたはずの後半立ち上がりから、前述のようなパスミス、判断の遅さ、軽すぎる守備などを繰り返しているようでは、いくら最少得点差でゲームが推移しているとはいえ、希望は薄い。
仙台がこのような戦いを送ってしまった中、上位3チームは揃って勝利。さらに次節仙台は試合がないため、最悪の場合、3位との勝ち点差は12へと広がる。だが、他チームの結果について祈る前に、仙台は自分たちに対して、やることがたくさんある。全ての膿を出し切るには、2週間でも足りないかもしれないが、今の状況ですぐに試合が迫るよりはましだ。
もうダメだと諦めるのは簡単である。でもまだ昇格への意思を捨てていないのであれば、この2週間は、今季の運命を変えることの出来る最後のチャンスである。
以上
2006.08.27 Reported by 佐々木聡
J’s GOALニュース
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