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【J1:第21節 広島 vs 磐田 レポート】決定機を防いだ下田崇と、決定機を決めた佐藤寿人。攻守の両輪がかみ合い、広島はホームで5月6日以来の勝利。(06.08.31)

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8月30日(水) 2006 J1リーグ戦 第21節
広島 2 - 1 磐田 (19:04/広島ビ/9,513人)
得点者:'51 佐藤寿人(広島)、'81 佐藤寿人(広島)、'89 上田康太(磐田)
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試合の流れを決定づけたシーンが3つ、ある。一つずつ、振り返ってみよう。
まず前半3分。左サイドから切り込んだ西紀寛のクロスが、逆サイドにいた前田遼一にピンポイントで届いた。マークについていたダバツを彼ならではの切り返しでかわし、左足を一閃する。完璧な先制点か、と思われた。

が、ここでGK下田崇が輝きを見せる。下田は冷静に前田のシュートタイミングを見切って強烈な彼の弾道にしっかりと腕を出し、ボールに触ることに成功したのである。パワフルなシュートはそれでもゴールに迫ったが、下田が触ったことで微妙にコースがずれ、バーに直撃。落ちたボールはライン上に落ちて、フィールド内に戻ってきた。

「このシュートが決まっていたら、ゲームはどうなっていたかわからない」と広島・ペトロヴィッチ監督も振り返る。チーム全体が若く、精神的に不安定なだけに、もしここで先制されてしまったら、そのまま一気に崩れていったかもしれない。そんな精神的な動揺を見逃すほど、磐田というチームは甘くはないのだ。

2度目の分岐点となった前半15分のプレーも見逃せない。ボールを支配していた磐田に対し、広島の中盤が恐怖感を持ってしまい、DFラインに吸収されてしまっていた。そこをファブリシオが見逃さず、強烈なミドルシュートを放つ。枠はとらえていなかったが、そのボールがペナルティエリア内にいた福西崇史の足に当たり、コースが変わったのだ。しかし、そのままゴールに吸い込まれそうになったボールに対し、下田がまたも驚異的な反応を見せ、ボールをはじき出す。

「自分の状態があがってきていることがわかる」と下田は試合後に胸を張った。その言葉どおり、磐田の決定機は下田の信じがたい反応の前に潰え、そして試合の流れはゆっくりと広島へと傾いた。広島の若者たちが、2度の決定機を下田が防いでくれたことにより、精神的な余裕を持ち始めたのである。

3番目のポイント。それはもちろん、広島の先制点だ。磐田がラインをあげてきたその裏のスペースに向け、U-21日本代表の青山敏弘がロングパスを供給したのである。それはもちろん、佐藤寿人という日本一と言っていい動きだしの速さを誇るFWがいればこそ、の選択だ。しかも速いボールではなく放物線状のパスにすることで、佐藤寿がボールに追いつく時間も稼いだ。

佐藤寿のマークについた鈴木秀人は先に身体を入れ、カバーしたかのように見えた。が、佐藤寿はその鈴木の外側から強引に回り込み、手で相手の身体を抑えるようにして強引に前に出たのである。そして、カバーしようと飛び出してきたGK川口能活の鼻先でボールをつついて逆をとり、ボールを流し込んだ。鈴木のカバーによってボールが浮き、そのボールを川口がかき出したかのように見えたが、ボールは既にゴールラインを完全に割って入っていた。

決して、パスワークで崩したゴールでもなく、ペトロヴィッチ監督の理想とする攻撃に人数をかけての得点でもない。しかし、磐田の守備にゆるみが見えた瞬間を見逃さなかった青山のパスと、それにシンクロして不利な状況から一気にゴールまで陥れてしまっ佐藤寿人のゴール感覚は、広島サポーターをしびれさせた。この日から、分かれていたサポーターグループがまた一つの場所で応援するようになったのだが、このゴールの瞬間、彼らが声をからして歌う「佐藤寿人の歌」とそれに合わせた手拍子に、ビッグアーチは包まれた。

ロスタイムには、安易なパスミスとカットミス、シュートがDFに当たるという不運も続いて磐田に失点を許す。さらに、福西が李漢宰と絡み合ってペナルティエリア内で倒れ、「あわやPKか」と思わせるシーンもあった。まだまだ安定して「試合を終わらせる」術まで身につけていない若き広島だが、磐田のような能力の高い相手から奪った勝ち点3は、J1残留に向け大きな意味を持つ。

磐田も決して悪いサッカーをしていたわけではない。実際、サイド攻撃から決定機はつくりだしていた。ただ、4-2-3-1のシステムは今一つ機能せず、前田が孤立気味になっていたことも事実。守備時にファブリシオがDFラインに入りウェズレイをマークしていたのだが、81分にはそのウェズレイにファブリシオが振り切られ佐藤寿に2点目を決められるなど、アジウソン監督の狙いどおりに物事は運ばなかった。選手の動きに迷いが感じられ、個々がまだ線となってつながっていない。次節までの10日間、チームの1本の芯を通し個々の能力を束ねることができれば、もっとこのチームは素晴らしいサッカーができる可能性はあるのだが。

以上

2006.08.31 Reported by 中野和也
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