第86回天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦
11/5(日)13:00KICK OFF/5,261人/日本平
清水 6-4 栃木
得点者:59' 矢島卓郎(清水)、68' 藤本淳吾(清水)、72' マルキーニョス(清水)、73' 矢島卓郎(清水)、75' 只木章広 (栃木)、80' 吉田賢太郎(栃木)、84' 藤本淳吾(清水)、87' 茅島史彦(栃木)、88' マルキーニョス(清水)、89' 永井健太(栃木)
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前半とはうって変わって、後半は激しい打ち合いとなったJ1対JFLの対決。そんな中、前後半で異なる顔を見せた栃木SCが、敗れはしたがどちらの面でも強い印象を残した。
雲ひとつない秋空に恵まれた日本平スタジアム。ホームの清水は、疲れの目立つFWのチョ・ジェジンとセンターバックの青山を休ませ、代わりに若い矢島と岩下を先発させた他は、先週のG大阪と同じスタメン。当然システムはいつも通りの4-4-2。対する栃木は、JFLでは3バックで攻撃的に戦うことが多いが、天皇杯ではJ1やJ2との対戦に備えて4-4-2を採用。前半はまず守備から入った。
栃木の守り方は、少し引いた位置でDF4人、MF4人できれいな2列のラインをコンパクトに敷き、清水がDFラインでボールを回すのは許すが、そこから前にボールが入ったときは、素早いアプローチで相手に自由を与えず、FWにも良い形でボールを入れさせない。「簡単にスペースを与えてしまうと強力なFWにやられてしまう」という高橋監督の言葉を選手たちは忠実に実践し、素早い攻守の切り換えと、機敏なポジショニングの修正で、清水に攻めのスペースを与えなかった。守り方としては清水と似たところがあり、DFラインを下げすぎることもなく、非常に組織的でまじめなサッカーを見せた。
対する清水の攻撃は、8分にマルキーニョスの左ポストに当たるミドルシュートがあったが、それ以降は不発。パスの出しどころが見つからずに後ろでボールを回す時間が長くなり、相手DFの裏に長いボールを出そうとしても、十分なスペースがない。そうするうちに前線の流動的な動きも少なくなり、足元へのパスが多くなって、完全に攻撃が手詰まりになってしまった。
前半のシュート数は、両者とも4本ずつ。栃木が描いていたゲームプランのまま前半が終わり、清水サポーターからはブーイングが聞こえてきた。
後半に入っても、その流れは大きく変わらず、栃木がカウンターからチャンスを作る場面も目立ち始めてきた。12分には、カウンターからFW吉田がドリブルで岩下を抜いて決定的なシュートを放つが、これは力なくGK正面。これが入っていれば、試合はまた違った展開になっていただろう。
しかし、このように攻撃がうまくかみ合わないゲームでも、セットプレーは別。栃木の高橋監督も認めたとおり、セットプレーでは攻守ともに清水が優位に立ち、14分の藤本の右CKから矢島が頭で合わせて、清水がようやく突破口を開いた。
先制点を奪われた栃木は、スピードのある永井を左サイドに入れ、清水の右サイドバック、市川が上がった後ろのスペースに狙いを定めた。しかし、攻撃に気持ちが傾いたことや、少し疲れが出始めたこともあって、少しずつ自陣にスペースができ始め、そこを清水がついてボールを素早く回し、栃木の組織を崩していく。
こうなると個人の力の差がものをいい、23分にはマルキーニョスのポストプレーから藤本が決めて2-0。27分にはカウンターからマルキーニョスが技ありシュートでネットを揺らし、その1分後にも矢島が裏に抜け出して流し込み、一気に4-0とした。
普通ならここであきらめてしまうところだろうが、栃木の選手たちは違った。システムを3-6-1に変えて、両サイドにスピードのある選手を入れ、いつもの攻撃的な布陣で打ち合いの展開を挑んでいく。
そして30分に永井のシュートのこぼれ球をつないで只木が押し込み、一矢報いて勢いに乗った。35分には、速い攻撃で狙っていた左サイドを割り、永井のクロスから吉田がダイビングヘッドを決めて4-2。その後、39分に藤本が清水の5点目を奪うが、42分には栃木の左サイドに入っていた茅島が強いシュートを決めて5-3。その後も43分(マルキーニョス)と44分(永井)に1点ずつ取り合い、結局6-4となったところで90分が終了した。
何とか5回戦に足を進めた清水は、要所で力の差を見せたが、前半の停滞した攻撃と後半の4失点にサポーターは大きなブーイング。もちろん選手たち自身にとっても不満の多い内容だったが、それはリーグ戦の残り5試合で晴らしていくしかないだろう。
一方、敗れた栃木SCの選手たちは、「こんなに素晴らしい芝の上でやれるのは幸せ」(只木)という言葉に象徴されるように、J1の強豪と最高のピッチで戦える喜びを身体中で表現するような清々しいサッカーを見せてくれた。それが多くの人の心を動かし、試合後は清水サポーターによる栃木SCコールが日本平に長く響き渡っていた。
以上
2006.11.05 Reported by 前島芳雄
J’s GOALニュース
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