AFCユース選手権決勝からおよそ1週間が過ぎた。わずかな差でその頂点に手が届かなかったU-19日本代表だが、今はその悔しさを胸に日々の戦いへ舞い戻っている。今週末の様子を見ても、Jリーグに出場する者、メンバー争いをする者、体調不良で苦しむ者。状況はばらばらだが、自分たちのチームでそれぞれに次を目指している。
そんな中、キャプテン福元洋平が21日に行われる日中韓サッカーU−21代表交流戦 U-21日韓戦のメンバーに招集されたことに触れておきたい。これは、AFCユース選手権準優勝の成果の一つと言っていいだろう。アウェイのU-21韓国戦(11/14)ではベストメンバーが招集できなかったのに対して、今回は「現時点でのベストメンバー」とU-21日本代表・反町監督が胸を張る中に選ばれたのだから、これまでの活躍が評価されたということだろう。「他には誰が選ばれましたか?」と、チームメイトに気遣いを見せた福元。今回U-19メンバーから選ばれたのは残念ながら福元のみだが、今後は間違いなく他の選手たちもU-21日本代表に食い込んでくるだろうし、またそうでなくてはならない。
さて、大会を振り返ってみたいと思う。
準備期間の多くはグループリーグ初戦・北朝鮮戦(10/29)に当てられた。このことが大会の入りを良くしたし、結果的に準優勝までつながったように思う。昨年の予選で苦戦を強いられた相手に、コンディションの差はあれど2−0という滑り出しは上々だった。
グループリーグ中、いちばん苦しめられたのは体調不良だった。一度下見のための遠征を行った地ではあるが、やはり衛生面、食事面など日本と全く違う環境に苦しみ、発熱や下痢に苦しむ選手が続出。「プロなのにあの時期に体調を壊してしまって」とハーフナー マイク(横浜FM)は決勝後に下を向いたが、必ずしも本人のせいばかりではない。
また、このチームのアドバンテージであったJリーグでポジションを取った選手が多いということも、この時期はチームを苦しめた。エース梅崎司(大分)は、直前までJリーグを戦った疲労の影響もあり初戦を回避。柏木陽介(広島)も現地入り後、練習を回避する日が続くなど、影響が見られた。ただ、これについてもグループリーグでは選手を入れ替えながら戦うことで、来年のU-20ワールドカップ出場権が懸かった大一番の準々決勝に向かうことができた。
その準々決勝・サウジアラビア戦。この大会に来た目的、世界切符の獲得をかけて戦う試合。
「万全の準備」と吉田監督は試合前から話していたが、ベストメンバーで落ち着いて臨むことができた。PKで1点こそ取られたが無事に勝利、来年カナダで行われるU-20ワールドカップ出場を決めた。決勝よりも何よりも、ここを乗り越えなければならなかった、そのプレッシャーは選手たちにとって相当なものだったようだ。PKを献上した森島康仁(C大阪)は試合中にも関わらず、その場で泣き出したというほど。勝利を得て、試合後にはピッチで泣き出す者もあり、この試合にかけてきた思いが伝わる試合でもあった。途中出場の青木孝太(千葉)が決勝点を決め、チームが総力で勝利をもぎとる形が出来てきた試合でもあった。
死闘を繰り広げた準決勝、決勝。2試合連続で120分を戦い、決勝では「この年代では仕方ない」(吉田監督)体力的な苦しさも露呈した。センターバックの柳川雅樹(神戸)がJ1昇格を争っているチーム事情のために帰国した上、準決勝で槙野智章(広島)がレッドカードを受けて決勝は出場停止。センターバックが足りなくなるという苦しい戦いではあった。結果は言わずもがなだが、勝ち切るために何かが足りなかったのは事実。吉田監督もその「何か」について触れながら、内容に関しては具体的に話してはいない。言葉にすることよりも、ピッチ上でその何かを探していかねばならないということだろう。
「全員をほめてあげたいと思う」。決勝翌日にそう話した吉田監督。もちろんそうだとは思うが、私自身は、チーム自体の得点力アップ(7試合11得点)に大きな役割を担ったのは柏木陽介だったように思う。チーム立ち上げ当初からのメンバーで主力ではあった彼だが、ここまでいまひとつ怖さや決定的な存在感には欠けるところがあった。テクニックもありレフティとして独特のリズムもある。だがあと一歩、運動量も足りないしシュートも打たない。そんな選手だった彼が、この半年Jリーグで出場のチャンスをつかむことで大きく成長している。
先にも触れたが、過去のこの世代と比べて、今回のメンバーはJリーグでポジションを獲得した選手が多い。だが、まだまだ全員ではない。彼らがカナダに向かう前にもうひとつ成長するためには、自らのクラブでポジションを確保して、日々のJリーグで活躍できるようになる必要がある。月並みで当たり前のことだが…。
「悔しい思いがいちばん成長させてくれる」と準優勝こそが、次へつながると吉田監督。次へつなげなくては意味がなくなる。U-19日本代表の活動は今大会をもって一度終了。次に招集される時には、年も明けて呼称も「U−20日本代表」と変わっていることだろう。この悔しさがいかに作用し、彼らの力になっているか。また会う日を楽しみにしたい。
以上
2006.11.19 Reported by 了戒美子
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■AFCユース選手権インド2006 試合結果
・10/29(日)19:30キックオフ(日本時間)/スリーカンテーラヴァ スタジアム
U-19日本代表 2-0 U-19北朝鮮代表
得点者:34' 河原和寿、82' 柏木陽介
・10/31(火)22:30キックオフ(日本時間)/スリーカンテーラヴァ スタジアム
U-19日本代表 4-0 U-19タジキスタン代表
得点者: 8' 森島康仁、34' 森島康仁、57' 柏木陽介、68' 森重真人
・11/02(木)18:30キックオフ(日本時間)/スリーカンテーラヴァ スタジアム
U-19日本代表 1-2 U-19イラン代表
得点者:22' 梅崎司、52' K. KAMYABINIA、72' F. ALKHAMIS
★グループC順位表 ※U-19日本代表は、1位で決勝トーナメントに進出。
1位:U-19日本代表 勝点6 得失点差+5
2位:U-19北朝鮮代表 勝点6 得失点差+4
3位:U-19イラン代表 勝点6 得失点差-2
4位:U-19タジキスタン代表 勝点0 得失点差-7
・準々決勝:11/06(月)19:30キックオフ(日本時間)/スリーカンテーラヴァ スタジアム
U-19日本代表 2-1 U-19サウジアラビア代表
得点者:7' 河原和寿(日本)、81' JUFAIN(サウジアラビア)、90' 青木孝太(日本)
★U-19日本代表は、7大会連続となるU-20W杯(旧称:FIFAワールドユース選手権)出場権を獲得!!
・準決勝:11/09(木)19:30キックオフ(日本時間)/ソルトレークスタジアム
U-19日本代表 2-2(3 PK 2) U-19韓国代表
得点者:1' SHIM, Young Sung、47' 森島康仁、105+' 青木孝太、111+' KIM, Dong Suk
・決勝:11/12(日)22:30キックオフ(日本時間)/ソルトレークスタジアム
U-19日本代表 1-1(3 PK 5) U-19北朝鮮代表
得点者:3' RI, Chol Myong(北朝鮮)、34' 柏木陽介(日本)
★AFCユース選手権インド2006 最終順位
優勝 :北朝鮮
準優勝:日本
3位 :韓国
4位 :ヨルダン
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