●TOYOTA プレゼンツ FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2006
2006年12月10日(日)19:20キックオフ/豊田スタジアム
オークランド 0-2 アハリSC
得点者:51’フラビオ(アハリSC)、73’アブートリカ(アハリSC)
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前半4分、オークランド・シティ(以下オークランド)のCKの時、守備側のアハリ・スポーティングクラブ(以下アハリ)はハーフウェイライン付近に3人残した。これに気圧された攻撃側のオークランドは、カウンターに備えて4人を残す状態。押し上げ感に乏しいゴール前。両チームの優劣ぶりがあからさまに見えるシーンだった。
「アフリカの赤い悪魔」と称されるアハリは3-5-2の陣形で、積極的に中盤から長短のパスでつなぎ、両サイド、特に右のイスラム・エル・シャテルからのクロスや、トップ下のエースであるモハメド・アブートリカにボールを集めて、エマド・メテブとフラビオの2トップが絡んで、壁パスやスルーで背後の選手に通すなど、縦横無尽にオークランドをかき回しにかかる。だが、ここぞという決定機は枠を外し、枠に飛んだとしてもシュートの勢いに欠け、GKロス・ニコルソンがしっかり取る。
オークランドは4-4-2を敷き最終ラインにスペースを作らない手堅い守備。そしてアブートリカに対してボランチのチャド・クームスが完全密着マンマークという形。それを見てアハリもアブートリカが前後左右とワイドにポジションを移したり、空いたスペースをメテブやフラビオが使い、ゴールへ挑むが、最後にはオークランドの体を張ったディフェンスに阻まれる。特にシンプルなクロスに対しては屈強なオークランドの方が上だった。
そうして守備では踏ん張るオークランドだが、攻撃はグラント・ヤングとケリン・ジョーダンの2トップ、特にヤングにボールを集めることに望みを託すやり方のみ。これにポール・シーマンがやや前がかりの意識を見せるものの、選手間の連携が薄く、アハリ3バックを脅かすには至らない。こうして前半は0-0と静かに過ぎた。
後半になっても大勢は変わらない。ただ、オークランドにアクシデントが一つ起こった。後半6分、左SBのリキ・ファンスティーデンが相手選手と接触し、足を痛めて退場。10人になり、代わりにベン・シグムンドを入れる直前、アハリはメテブからのパスを受けたフラビオが相手DF2人の間を抜けるシュートを決め、ようやく先制。焦れた空気を一掃した。
これで点を取りにいかなければならないオークランドは、後半11分、ジョーダンに代わってジェイソン・ヘインがFWに。そしてリアル・マルルーニーに代わり、岩本が入って左2列目に立った。しかしオークランドのやり方は変わらず、ヤングにボールを集めるのみで、たまらず「これじゃボールに触れない」と感じた岩本が右にも意識してボールを受けに走るが、依然として選手間の連携は薄いまま。
そうしている間に後半28分、アハリが正面やや右の至近距離でFKを得る。これを、ここまでセットプレーのキックをほぼ全て蹴ってきたアブートリカがやや早い間合いでゴール左隅へ蹴る。GKニコルソンは一歩も動けず、アハリがリードを2点に広げた。
少しでもボールをゴールに近付けたいオークランドは後半31分、岩本がドリブルでペナルティーエリアに侵入し倒されるが笛はなし。結局、終始優位を譲らなかったアハリが、昨年の今大会で果たせなかった勝利をつかんだ。
昨年大会のアハリのビデオを見た岩本が「昨年の方が(攻撃が)速かった」と語るように、アハリは相手に合わせたのか、それとも初戦の緊張か、ボールはつなげるがややゆったりとした試合運び。次戦・インテルナシオナル戦に向けてはスピードアップが課題か。
そしてオークランドは5位決定戦へ。負けたとはいえ大差ではなく、守備時の屈強さにある程度自信を得ただろう。とはいえ、足下でのかき乱しを受けると不安も垣間見える。とにかく失点を防ぎ、セットプレーでのチャンスに懸けたいところだ。
以上
2006.12.11 Reported by 永井謙一郎(サッカー新聞エルゴラッソ編集部)
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