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【第85回高校サッカー:2回戦 埼玉会場レポート】ハイレベルな戦いは、総合力で勝る武南が3ゴール。高円宮杯勝者の滝川第二を下す。境はワンチャンスをものにし、帝京第三は経験不足に泣く。(07.01.02)

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●第一試合
滝川第二(兵庫) 1-3 武南(埼玉)
1/2(火)12:10 キックオフ/8,500人/埼玉ス
得点者:47' 田中直人(武南)、61' 苗代泰地(武南)、78' 多田高行(滝川第二)、79' 松永七海(武南)
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2回戦屈指の好カードは、試合開始直後の滝川第二の猛攻を凌いだ武南がペースを握る展開となる。

この日1ゴールを決めた苗代は「滝二はプレスが早かった」と振り返るが、ボールを失った後の守備の局面での武南の堅牢さは際立っていた。特に滝二の2トップを抑え込んだ三田、高橋の献身的かつタイトなマークは賞賛されていいだろう。ゴール前に生まれた分厚い武南の壁は、滝二の攻撃陣に付け入る隙を与えず、また厳しいプレッシャーは、滝二のショートレンジパスでミスを誘発させた。

「体力に自信があるチームなんですが、自分たちでミスして体力を消耗してしまった」とGK清水。最後列から見ていても、チームメイトの異変は明らかだった。分厚い武南の守りを前にした滝二の苦悩は、前半終了後に表面化する。ロッカールームへと選手が引き上げる中、黒田監督が多田を呼び止めてピッチ上でなにやら話しかけていた。多田に聞いたところ「遠くから打ちすぎている」と指摘されていたという。つまり裏を返せば、武南の分厚い守備によって、滝二は攻撃面でミドルレンジからのシュートに頼らざるを得なかったという事でもある。

完全にペースをつかんだ武南は、長身の松永をターゲットに、苗代がフォローする基本形で滝二を攻め立てた。時にダイレクトにパスをつなぎ、時に両サイドをえぐって。決定的な場面を作られた滝二だが、GK清水もよくピンチを凌いだ。ただ、武南の攻撃陣が滝二ゴールを割るのは時間の問題でもあった。

後半の47分。右サイドに開いた松永から2列目から飛び出していた田中直へパスが通ると、堅守の清水の脇を抜く値千金の先制ゴールが決まる。「先制したことで相手は落ち着いた。先制点のウエイトが大きかった」と滝二の黒田監督。「焦ってしまったので、落ち着けと声をかけていました」と金崎は振り返るが、動揺はチーム内に広がっていた。高円宮杯優勝という前評判が、滝二にとって重荷になったところもあるのかもしれないが、その後も何度か生まれていた決定機でシュートが枠に飛ばせられない。負けられないという焦りが直接的な原因だったわけではないが、61分にはFKから貴重な2点目が武南に転がり込んだ。

それまでの試合内容から考えれば、決定的とも思える追加点だったが、ここから滝二が意地を見せた。それは高円宮杯優勝校という誇りもそうだが、22年間の指導歴にピリオドを打つ黒田監督を選手権優勝監督に、という思いもあっただろう。

78分にCKの場面で多田が押し込んで1点差に追いつく。「この試合は監督からは希望という題名で、希望のある試合をしてほしい」(金崎)と選手たちに語りかけていたという黒田監督の言葉は、試合終了間際に現実のものとなって選手たちの目に宿ったが、そこで武南は一歩も引かなかった。「立派なのは相手が3点目を取るチームだったということ。コーナーでキープするのかと思いましたが、3点目を取りに来ましたね」と黒田監督。

試合終了間際の79分。武南はサイドで粘ってつないだボールを、苗代がファーへクロス。走り込んだ松永が頭で押し込んで試合は決した。前からプレスに出て行くという滝二の真摯さが、武南の良さを引き出し、お互いが相乗効果を生み出しながら非常にレベルの高い一戦となった。2回戦で実現したのが何とも残念な一戦だった。

ちなみにこの試合をもって滝二の黒田監督は一戦を退く事となった。ミックスゾーンでロッカールームでの選手とのやりとりを語りながら涙ぐむ老将は「明日から寂しくなるかもしれませんが、もっと自由にいろいろなチームが見れていい方向に行くかもしれません。選手にはありがとうと言うしかないです」と指導者人生を振り返っていた。


●第二試合
帝京三(山梨) 0-1 境(鳥取)
1/2(火)14:10 キックオフ/-人/埼玉ス
得点者:56' 濱田太一(境)
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大切な選手権の初戦で、帝京第三に手痛いアクシデントが発生する。試合開始早々の1分に、右サイドバックの小林貴が右目を負傷。5分ほど治療を試みるが、結果的に視力が回復せず選手交代を余儀なくされる。帝京第三にとって小林貴はチーム唯一の右サイドバックという事もあり、トップ下で出場していた田平を移動。結果的になかなかリズムを作れなかったその一因となった。

対する境は3トップで試合をスタートさせるが、帝京第三の守備陣に阻まれて思うように形が作れない。共に0-0で折り返した後半に、境は攻撃のてこ入れを図り3トップの一角として先発した仁宮に代えて、矢倉を投入。住田をトップ下に下げて、2トップをフォローさせる形を取る。最前線にタテの動きが生まれることで、テクニックに優れる丸谷のキープ力を生かした攻撃が徐々に形を作り始めるが、それでも決定的な形を作り所までには崩せない。

一方の帝京第三は、左サイドハーフの木下の突破力をフルに生かし、境の最終ラインの攻略を試みると、実際に1枚、2枚は抜けるのだが、どうしても一人だけでは壁は破れない。お互いに攻めの形を持ちながらも、決定機な場面までは作り出せない試合となったが、そんな中、後半の56分に境の濱田が大きな仕事をやってのけた。帝京第三ゴール前でのFKの場面。思い切って振り抜いた左足はクロスバーを叩いてゴールの中へ。待望の先制点を奪った境は、無理をせず64分に住田に代えて松本を投入。3バックを4バックに変更し、守備の安定を狙った。

「終盤に4枚にしたのは、守ることもそうですし、事前に考えていました」と境の廣川監督はその采配を振り返るが、境の選手たちが落ち着いていたのは、受けに回ることなく、そつなくシステム変更を消化した事だった。結果的にこの采配によって守備的な安定を手にした境が、初戦を突破することとなる。「選手権では8年くらい鳥取県勢は初戦を突破できていなかった。地元のサッカー関係者にもいい報告ができます」と廣川監督は胸を張った。

対する帝京第三の相良監督は「思った以上に自分たちのサッカーをやらせてもらえなかったと思う」と悔しさをにじませたが、負傷者がでた事も含めて「初めて全国に出る経験のなさですかね」と敗因を述べ「悔いが残ります。でもそれで成長できますからね」とこの敗戦を前向きにとらえようとしていた。

初戦を勝ち上がった境には、攻撃と守備にそれぞれ丸谷、濱田というキープレーヤーがいたことが大きかった。さて、次戦ではどのような戦いを見せてくれるか。「FWなので点が取れればよかったんですがチームが勝ててうれしい。点を取って次も勝って、目標は優勝ですが、一つ一ついい試合をしていきたいと思います。国立に行きたいです」と笑顔を見せた丸谷のプレーに期待したいところだ。

以上

2006.01.02 Reported by 江藤高志
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