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【J1:第12節 大分 vs 川崎F レポート】つながった気持ち。現れた結果。連敗中の大分が2-0で2位・川崎Fを下す(07.05.19)

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5月19日(土) 2007 J1リーグ戦 第12節
大分 2 - 0 川崎F (14:05/九石ド/15,371人)
得点者:'26 アウグスト(大分)、'49 セルジーニョ(大分)

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大分の選手たちは本当によく戦っていた。1対1の局面で激しく体をぶつけ合い、川崎Fとの間で主導権争いを繰り広げた。ラフプレーとは紙一重の激しさによって、大分5枚。川崎F4枚のイエローカード(2枚を受けたジュニーニョにはレッドカードも)が出されたが特に大分の5度の警告の全てがラフプレーによるものだったという事からも戦いの厳しさが出ている。そんな激しい試合を象徴していたのが、173cmのアウグスト(大分)と182cmの谷口博之(川崎F)の競り合いである。体格の違いを気持ちでカバーしたアウグストが、谷口との競り合いを制し続け、大分の攻撃に結びつけた。

局面で選手個々が限界まで力を発揮して戦い、その姿勢がピッチ上の11人に伝播する。7分と9分に我那覇和樹に巡ってきたチャンスを筆頭に、試合開始直後に川崎Fがつかみかけていたリズムは、戦う姿勢を前面に出した大分が手にすることとなった。

前節の柏戦で見せていた内容の悪さは、プロとして言い訳できないレベルにあった。その柏戦以外にも大量失点を喫した横浜FM戦(4/22・5失点)やG大阪戦(4/28・4失点)など、去年まで見せてきた大分のサッカーとは一線を画す試合が続いていた。そんな流れが転換したのには訳があった。一つにはどん底まで落ちこんで迎えた1週間という時間的余裕である。シャムスカ監督はフィジカル系のトレーニングで選手を走らせ、実戦を想定した練習を組んだ。また、選手たちは話し合いを頻繁に行い、試合前日には選手だけで集まって意見をぶつけ合うことで、すれ違っていた「大分のサッカー」の方向性をすりあわせたという。

これら直接的な対応に加え、サポーターのアシストにも言及しておきたい。試合前。選手バスが九州石油ドームビッグアイに入ると入口に陣取ったサポーターたちは開幕戦以来という呼びかけを行った。止まったバスの窓は開けられ、選手たちはサポーターの呼びかけに耳を傾けた。
「結果じゃないんだ。気持ちを見せてくれ」
そんな言葉を投げかけたサポーターは、いつもは横断幕で埋めつくされたゴール裏に「ヤレ!」とだけ書いた1枚の横断幕を掲示。試合開始前に行っていた選手コールを一切やめて静観。そして、ため込んだ思いをぶつけるかのように試合開始直前に応援をはじめた。

「試合が始まる前に声をかけてくれて奮い立ちました。あれにはやられました」と一連のサポーターの行動を振り返る高橋大輔。同じように深谷友基は「(横断幕がなかったことは)正直寂しかったですが、結果を出してなかったですし情けない戦いをしていた。試合始まる前に応援をはじめてくれて、グッと来ました」と話していた。
もちろん前半のジュニーニョの退場や、ハーフタイムの関塚監督の退席などが川崎Fにのしかかったのは間違いないが、それにしてもホームで戦うことの意味やサポーターの存在が大きく試合の行方を左右したのは間違いないだろう。
26分のアウグストの先制点に続き、後半開始早々の49分にはセルジーニョが初ゴールをマーク。一方の守備陣が、リーグ首位の得点力を誇る川崎Fの攻撃を封じ込めた。
「苦しい時にサポーターはずっと応援してくれたので、はやく勝利をプレゼントしたかった」という深谷は、試合後のマイクパフォーマンスでサポーターに感謝の気持ちを伝え、サポーターと共に喜びを共有した。

一方、敗れた川崎Fは序盤にリズムをつかみかけながらそれを逃したのが響いてしまった。中村憲剛は「先制点を取られた事が全てです」と1失点目を悔やんだが、すぐに「今日起きたことを整理して次の試合に備えたいです」と気持ちを切り替えていた。
戦う気持ちの強さ、それをサポートする声の重要性を改めて痛感させられた試合だった。


以上

2007.05.19 Reported by 江藤高志

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