6月16日(土) 2007 J1リーグ戦 第15節
鹿島 5 - 1 広島 (16:00/カシマ/10,524人)
得点者:'15 本山雅志(鹿島)、'33 柏木陽介(広島)、'50 マルキーニョス(鹿島)、'72 岩政大樹(鹿島)、'85 田代有三(鹿島)、'89 興梠慎三(鹿島)
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■注目プレイヤー: マルキーニョス選手(鹿島)
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Jリーグ200試合出場を果たした本山雅志の先制弾を皮切りに、マルキーニョスの復帰弾、岩政大樹の4試合連続ゴール、田代有三の今季リーグ戦初ゴール、そして興梠慎三の2試合連続得点…。取るべき人が効率よくゴールし、今季初の大量5得点をマークした鹿島アントラーズ。前半こそサンフレッチェ広島の「人とボールの動くサッカー」に苦戦を強いられたが、終わってみれば会心の勝利を挙げた。これで5月から7戦負けなし。順位も暫定ながら8位から3位へと一気にアップ。いよいよ「常勝軍団」が優勝争いに名乗りを挙げたといっていいだろう。
J1第15節・鹿島対広島戦行われた16日、カシマスタジアムは梅雨時とは思えない快晴に恵まれた。選手たちは真夏を思わせる強い日差しの中でのゲームに挑んだ。
鹿島は予想通り、負傷離脱していたマルキーニョスが復帰。出場停止の新井場徹に代わって石神直哉、右大腿二頭筋肉離れでリハビリ中の中後雅喜に代わって増田誓志が先発メンバーに入った。対する広島は今季11点を挙げているエース・ウェズレイが左足ふくらはぎ痛で遠征メンバーから外れ、U20ワールドカップの日本代表メンバーに滑り込んだ平繁龍一が佐藤寿人と2トップを組んだ。破壊力ある点取屋の欠場は鹿島にとってプラス材料だ。
3週間公式戦の空いた広島は、調整十分なのか序盤からいいリズムで試合を運んだ。日本代表のオシム監督と師弟関係にあるペトロヴィッチ監督の目指す「人とボールの動くサッカー」は完成度が高い。柏木陽介や平繁らフレッシュな選手たちの運動量も多く、攻撃はうまく連動していた。
これには鹿島も苦戦を強いられたが、セットプレーからしぶとく得点機を見出す。前半10分と11分には、野沢拓也のCKから岩政が2度続けて決定機なヘディングシュートを放つ。が、1本目はGK下田崇の正面に飛び、2本目はクロスバーを叩いてしまう。岩政本人も「イメージ通りのシュートを2本打ったのに入らなかった。だから今日はもう点は取れないだろうと思った」という。それほどのビッグチャンスだった。
それでも直後の前半15分に鹿島は先制する。野沢とのワンツーから抜け出した本山がトリッキーな動きから左足を出したのだ。広島守備陣は裏をかかれてゴール前で交錯。ボールはコロコロと転がり、ゴールに吸い込まれた。「拓がいいパスをくれたから当てるだけでよかった」と今季リーグ戦初ゴールを決めた本山は満面の笑みを見せていた。
しかしこの1点を境にリズムが一変。広島が相手のパス回しのミスを突き、素早い攻めを繰り出し始めた。右サイド・駒野友一の攻め上がりとクロスも鋭く、鹿島は何度もゴール前を脅かされた。そして33分、森崎和幸→平繁→佐藤寿人とダイレクトでつながり、最後は若き柏木がゴール。瞬く間に同点に追いついた。「今までにないようないい得点ができた」と若きレフティは自信を見せた。この柏木のゴールのみならず、31分のオフサイドになった佐藤寿人の巧みな飛び出し、36分の森崎浩司のフリーシュートなど、前半の広島には2〜3点取れる決定機があった。これをペトロヴィッチ監督も大いに悔やんでいた。
そのまま広島が押し続けると思われたが、後半に入ると鹿島が試合巧者ぶりを発揮する。前半は積極的に攻めに出て相手のプレスに引っかかり逆襲を食らう形が多かったが、逆に広島にボールを持たせて自分たちがパスカットを狙う形に変えたのだ。これが功を奏し、スピーディーな攻撃が戻ってくる。
迎えた後半5分、石神からパスを受けたマルキーニョスが強引なドリブル突破からシュートを決める。「2点目を失って選手たちから落ち着きがなくなった」とペトロヴィッチ監督が指摘する通り、広島イレブンはその後、完全に集中力を欠く。27分に岩政の3点目が生まれた際にはマークがまともについていなかった。守備のリーダー・戸田和幸は「全ては3点目まで。4点も5点も一緒」と感情を押し殺しながら語ったが、もはや立て直す術を見出せない。40分の田代の4点目、後半ロスタイムの興梠の5点目が生まれるのも自然のなりゆきだった。
マルキーニョスの2点目と岩政の3点目は試合の明暗を大きく分ける重要なポイントになったようだ。今季移籍加入したマルキーニョスだが、思うように得点を重ねられずにいた。これでやっとリーグ戦4点目。本人もやっと本調子を取り戻してきた様子だった。一方の岩政もJリーグ記録に並ぶDFの4試合連続得点。「僕は守備の人間なんで無失点記録を作りたい」と本人は自嘲気味に話したが、ゴール時のド派手なパフォーマンスに喜びの大きさが十分表れていた。
終わってみれば5−1。鹿島にとっては今季初の大量得点勝利である。開幕から1つの白星が奪えず苦しんできた彼らだが、5月からは負けなし。オズワルドオリヴェイラ監督も「やっと内容に合った勝ち方ができるようになってきた」と手ごたえを口にした。シュート数も広島の10本の倍に当たる20本。取るべき人が点を取り、頭脳的な守りで相手を退ける。これこそ本来の鹿島の姿だ。この勢いで一気に上位定着を果たしたい。
広島も前半の戦いぶりを見る限りでは決して悪くなかったが、後半に入って「若さ」を露呈した。「1人1人の応用力が足りない」と戸田は話したが、それも経験から学んでいくしかない。ウェズレイ不在でも内容あるサッカーができた前半を前向きに捉えてもいいだろう。このゲームをいい教訓にして、次なる戦いへと切り替えたい。
以上
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