6月23日(土) 2007 J2リーグ戦 第23節
仙台 3 - 0 愛媛 (13:04/ユアスタ/12,116人)
得点者:'43 梁勇基(仙台)、'60 ロペス(仙台)、'89 菅井直樹(仙台)
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90分を通した感想で言えば、共にミスが多く、ゲームは若干締まりを欠いたものとなった。だがそこで「3」と「0」を分けたものがあるとすれば、ゴールマウスが見えてきたところで、フィニッシュまで辿り着くための「形」を持っているかどうかではなかったか。試合全体に漂った雰囲気は置いておいて、仙台の3つのゴールシーンは、思い返せば仙台がこれまでも点を取ってきた形の再現に他ならない。
試合の立ち上がり、仙台の守備布陣は、いつもより若干引き気味に見えた。望月達也監督はチームとしてそれを意図したことは否定しつつ「ピッチ上の選手たちが自主的に考えてそうしたのではないか」と試合後に語ったが、それが事実であればこの判断は正しかった。前半の愛媛の攻撃は、中央からの突破、あるいは2トップに対するライン裏へのボールとパターンが少なく、中央攻撃は富田、ジョニウソンのダブルボランチの網にかかり、ライン裏へのボールも木谷、千葉の両センターバックのカバーに遭い起点を作るまでには至らず。さらに愛媛の選手たちのミスも重なり、仙台のカウンターが徐々に切れ味を増していく。それでもフィニッシュで精度を欠きこのままハーフタイムかと思われた43分、流れを仙台に強く手繰り寄せる先制点が。
それを導き出したのは、序盤から攻守に渡り貢献を見せていた富田だった。普段から「チームでの戦い」を強調し、会見やインタビューで特定の選手名を挙げることが稀な望月達也監督をして「富田がいちばん冷静に状況を把握できていた。彼はゲームを通して、練習でやってきたことを全て出せたのではないか」とまで言わしめた富田。守ってはセンターバック前のスペースを埋め、攻めては目の前のスペースに上手く入り込みボールを引き出す動きを見せていた富田は43分、左の田ノ上からの横パスをゴール正面で受けると、DFライン上でフリーとなった梁を見つけダイレクトでスルーパス、これが完璧なタイミングで通り、梁とGK川北との1対1、そして先制点を生んだ。パスを出した富田いわく「前線でバンさん(萬代)が中に相手を引き連れてくれたことで、梁さんがフリーになってた」という通り、連動した各々の動きからフリーを作った、今季の仙台らしいゴールである。
そして後半開始から前がかりになった愛媛を尻目に、仙台はカウンターという手段で2点目をしたたかに狙い、今度は58分、ハーフウェーライン付近で梁からボールを受けたロペスが中島へスルーパス、ペナルティエリアに入った中島が金守ともつれて倒れたことでPKを奪取する。ロペスからのロングスルーパス…同じ形で仙台は今季、中島が開幕の湘南戦と第1クールの山形戦、萬代も同クールの徳島戦でPKを得ているだけに、これももはや仙台の得点パターンと言えるだろう。
このPKをロペスが決めて2−0。ただでさえ攻め手の少なかった愛媛はこの失点直後、パスミスから中島に渡してしまいあわやの場面を献上するだけでなく、その後も立て続けに仙台に決定機を作られるなど糸が切れたかのような状態に陥ったことから見ても、2点はこの日の試合ではもはや「安全圏」であった。
だが、である。スコア上完勝、しかも完封であるはずの仙台の側ですら、ゲームに対する若干の緩みを感じる要因は、ここからの時間帯にある。数を追うのに苦労するほどの決定機を得ながら、シュートはことごとく枠を捉えず、敢えて記すが83分、梁と共にDFと2対1の状況を作りながら、その梁からの完璧なお膳立てを受けてフリーでもらったボールを、焦ってのダイレクトシュートでゴール右上に「クリア」してしまった中原のプレーには、スタジアム中が落胆した。その梁も後半、ペナルティエリア内の2度の決定機で枠を外している。
そして後方ではジョニウソンが、これまでの試合でも数度繰り返しているプレーであるが、ボールをさばき切れずに相手に渡してしまい、江後の独走という大ピンチを作ってしまった。小針が1対1を止めたことで失点こそ免れたが、もし決められていればこの時点でスコアは2−1と1点差に。安全圏であったはずの試合を一気に「危険水域」に落としかねない緩慢プレーだった。
それでも後半ロスタイム、波状攻撃から最後はロペスが、右を駆け上がってきたサイドバックの菅井にスルーパス、受けた菅井が冷静に決めて3点目。菅井が点を取る時の黄金パターンで愛媛を突き放し、3点差の大勝を仙台はものにした。この見事な得点は、仙台サポーターの後半のイライラを幾分か和らげたはずである。
愛媛は70分過ぎ辺りから、ようやくサイドを起点に(2点リードの仙台があまり前へ出なくなったこともあり)深い位置からのセンタリングを入れられるようになり、途中から入った田中のポストプレーから決定機を作り出したが、79分の赤井の決定機も枠外シュートで得点には至らず、前節同様の0−3という敗戦を喫することとなった。
最後に仙台について一言。前節の5失点大敗の中で、一矢報いる1点を決めた田ノ上は直後「この1点が最後に、得失点差で意味を持つかもしれない」と語っていた。
取れる時に取れなかったこと。あげる必要のない得点を相手に与えかけたこと。本気で昇格を狙うチームの選手であるならば、このことに悔しさを感じ、それを次節以降に晴らしてほしい。
以上
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