6月27日（水）J2 第24節 札幌 vs 草津（19:00KICK OFF/札幌ド）
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草津は首位をひた走る札幌に土をつけた数少ないチームのひとつである。札幌としては第１クールのリベンジを果たしたいだろうし、草津としても当然、札幌に再び一泡吹かせたいはず。その意味では、現在の互いの順位を超越した激しい戦いが見られそうだ。

ホームの札幌は前節、敵地で東京Ｖに快勝した。１−０というスコアだけを見れば、一般的には辛勝なのかもしれない。だが、堅い守備で東京Ｖの強力なオフェンス陣をいなし、セットプレーから奪った１点で勝利するという、まさに今季の札幌の狙い通りの勝ち方だったことを考えれば、１−０という最少失点差も「快勝」と言って然るべきだろう。多くの選手が「狙い通りだった」と試合を振り返り、そして「追加点を奪えなかったことが悔しい」と課題も口にした。勝ったことだけに満足せず、その中にもしっかりと課題を見出し、反省する。混戦Ｊ２のなかで、札幌が首位を走っている要因のひとつを改めて垣間見た気がしてしまう。

そしてその東京Ｖ戦では新たなシステムに着手した。今までは、ポジションバランスを強く意識した４−４−２を継続してきたが、この試合では大塚、芳賀、カウエという３人が守備的ＭＦの役目を果たし、それまで左ＭＦの位置で攻撃の起点となっていた西谷がスリートップの一角に入り、ポジションに縛られることなく左右に大きく動いた。
「西谷さんのところまでうまくボールを運べなかった」と芳賀が振り返るように、この４−３−３のシステムは攻撃面ではあまり上手く機能せず、結果的に後半からは４−４−２へ戻すことになった。しかし、この新システムの採用は札幌が堅守をベースとしたチームから、新たなステップへと歩みを始めたと見ていいだろう。今季ここまでの札幌は堅実な守備で試合を膠着状態に持ち込み、相手のミスや数少ない決定機を生かして勝ち点を拾い首位を走っている。そこで今後は自分達から攻撃の形を作るべく、高いテクニックとアイデアを持つ西谷を高いエリアに置くことで、能動的な攻撃で相手を崩す術を身につけていく狙いなのだろう。今後の動向に注目したい。

対する草津は現在４試合無得点中と、攻撃陣に若干元気がない。前節は左から佐藤、氏原、松浦で組むスリートップに中盤の櫻田を絡ませる攻撃的な布陣でスタートし、ある程度のエリアまではボールを運ぶもののアタッキングサードで勢いが弱まり、決定機をなかなか演出できなかった。あと１本、速い縦パスが欲しいという印象だった。

しかし、月並みな物言いになってしまうが、止まない雨はない。「なかなか点が取れないけど、１点入れば流れは変わってくる。どんな形でもいいから１点が欲しい」と話すのは松浦。そう、サッカーというのは生身の人間がやっている以上、ちょっとしたことで流れは変わる。それも「どんな形でもいいから」と渇望するほどのものを得たならば、その流れの変化は大きなものになる可能性さえある。

こうした双方の流れを見てみると、やはり先制点が最大の焦点になりそうだ。もし札幌がそれを奪えば、草津にとっては相当に苦しくなるだろうし、逆に草津が奪うようであれば、その後何かが起こるかもしれない。果たして、どちらのゴールネットが先に揺れることになるのだろうか。

以上

2007.06.25 Reported by 斉藤宏則