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【J2:第27節 鳥栖 vs 愛媛 レポート】得点差は「勝利への執念の差」。怒涛の攻めを見せた鳥栖は無得点。愛媛がGK川北の美技で競り勝つ。(07.07.12)

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7月11日(水) 2007 J2リーグ戦 第27節
鳥栖 0 - 1 愛媛 (19:03/鳥栖/3,731人)
得点者:'69 宮原裕司(愛媛)

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「勝ちたいと思う気持ちが、強いほうが勝った」。試合を振り返り、岸野監督は短く総括した。今節を語るには、愛媛の1本のシュートと鳥栖の5本のシュートに象徴される。

63分、CKからの一連の流れで、鳥栖のFW藤田がヘディングシュートを放つが、愛媛GK川北にはじかれて先制点のチャンスを逃した。鳥栖を語る1本目のシュートである。

69分、鳥栖ゴール前20m地点でのFK。キッカーは途中出場の大山。第1クールで決勝点を決めたシーンを髣髴させるような状況だった。大山のボールは、壁の左端に位置した鳥栖の選手の手に当たりPKとなった。PKを蹴るのは、先月まで鳥栖に在籍した宮原。ゴール右に決めて、先制点となった。「緊張したけど、絶対に決めたかった」と試合後宮原は語ってくれた。これが、愛媛を語る1本のシュートである。

82分、1点を追う鳥栖は、途中交代で入った山口からのパスを藤田が左足で豪快にシュートを放った。シュートコースもタイミングも完璧だったが、GK川北が辛うじて手に当ててゴールを守った。鳥栖を語る2本目のシュートである。

86分、ゴールまで30m地点で鳥栖がFKを得た。蹴るのはこの距離を得意とする高橋。壁の枚数、GKの立ち位置を計算して狙ったコースは間違いなかった。が、ここでもGK川北が良く反応してはじいた。鳥栖を語る3本目のシュートである。

89分、途中交代で入ったユンと高地の連携で、愛媛ゴール前まで迫った。レフティの高地がシュートを放つには絶好のポジションであったが、それ以上にGK川北の飛び出しのタイミングが絶妙だった。河北が身を挺してコースを防ぎゴールを守った。鳥栖を語る4本目のシュートである。

アディショナルタイムも残り僅か、ゴール前で山口が放ったシュートは確実に枠をとらえていた。ゴール上部を狙ったシュートは、GK川北の伸ばした手に当たり、最後の同点機を逃してしまった。キックには定評のある山口の狙いすましたシュートだったが、ここでもGK川北がスーパーセーブを見せた。鳥栖を語る5本目のシュートである。

試合後、GK川北は「楽しくて仕方がなかった」と教えてくれた。この日の川北は、誰が見ても「すごい!」と評したに違いない。「強い」でも「上手い」でもない。ただ「すごい」と評するだけで良いだろう。「ユンさんや山口さんが、次にどうやって攻めてくるか楽しみだった」とも付け加えた。それほど、彼は試合中に「ノッテいた」いたのである。

この絶好調のGKを破るには、テクニックでもパワーでもなく、「絶対にゴールを決める」という強いメンタルが必要だった。いや、この日の鳥栖は、この強いメンタルを持っていたに違いない。持っているからこそ、決定的な5本のシュートを打つことができたのである。ただ、鳥栖の選手よりも愛媛のGK川北の方が、「入れられたくない」という気持ちが強かったのである。

前半、0本に押さえられたシュートも後半に10本放つ猛攻を鳥栖は見せることができた。途中交代で入った選手が、流れをつかみ決定的な仕事もしてくれた。愛媛をPKによる失点だけに抑えることもできた。それでも、長いリーグの折り返し初戦の勝点3は、愛媛に入った。それは、「勝ちたいと思う気持ちが強いほう」(岸野監督/鳥栖)に流れていったからである。この日の鳥栖スタジアムは、テクニックでもパワーでもなく、メンタリティのしのぎあいを見せてくれた試合だった。

サッカーの試合は、「決めたゴール数」で勝敗を決すると思いがちだが、「決められたゴール数」が少なくても勝利を手にすることができるスポーツである。華やかな得点シーンで魅せることもできるが、その得点シーンを防ぐことでも魅せる事もできる。サッカーは、攻撃でも守備でも魅せるところが多いスポーツである。だから、試合中は目が離せない。

以上

2007.07.12 Reported by サカクラゲン
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