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【アジアカップ:日本 vs UAE レポート】後半の戦い方に課題も残るが、エースの貫禄を示す高原の2得点などで3−1の勝利。最終戦・ベトナム戦でB組トップ通過を決めたい!(07.07.14)

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●AFC アジアカップ2007 グループB
7月13日(金)22:35キックオフ(日本時間)/ベトナム・ハノイ
日本 3−1 UAE
得点:22' 高原 直泰(日本)27' 高原 直泰(日本)42' 中村 俊輔(日本)66' Saeed Alkas(UAE)
※記録は手元の集計によるものです。
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 9日の初戦・カタール戦でまさかのドローを強いられたオシムジャパン。13日のグループリーグ第2戦・UAE戦では、同じ過ちを繰り返してはいけない…。そんな強い気持ちを持って勝負の一戦にのぞんだ選手たちは、前半からゴールラッシュを見せる。高原直泰(フランクフルト)がエースストライカーの貫禄を見せる2得点をマーク。中村俊輔(セルティック)も遠藤保仁(G大阪)が鋭い飛び出しから得たPKを確実に決めた。点を取るべき人が効率よく取った前半は、見事な試合運びだったといっていい。しかし後半に入るとミスが目立ち始め、追加点も奪えずにペースダウン。カウンターから相手に1点を献上してしまった。この不安定な戦い方には課題も残されたが、とにかく絶対条件である勝ち点3は死守。勝ち点を4とし、総得点でもベトナムを上回ってB組トップに躍り出た。これで16日のグループ最終戦・ベトナム戦に勝てば1位通過が決まる。今こそアジア王者の意地とプライドを見せたいところだ。

 カタール戦での勝ち点2の取りこぼしをリカバリーすべくUAE戦にのぞんだ日本。オシム監督は高原のパートナーに矢野貴章(新潟)ではなく、愛弟子の巻誠一郎(千葉)を指名。彼らを2トップに据える4−4−2へと布陣を変更した。負傷の癒えた駒野友一(広島)も左サイドバックで先発起用。彼らに勝負を託した。対するUAEのメツ監督も必勝を期して、より攻撃的な4−3−3へとシステムを変えてきた。
 この日は20時35分キックオフだったが、気温33度・湿度70%。17時20分開始の初戦より遅い時間のゲームにもかかわらず、気象条件はほぼ同じ。風がない分、むしろ蒸し暑く感じられたほどだ。選手たちにはかなり厳しいコンディションだったに違いない。
 しかもUAEは休養日が1日多い。彼らは序盤から畳み掛けてきた。マタルを軸とした3トップは日本守備陣のスペースをこじ開けようとワイドに動く。阿部勇樹(浦和)や中澤佑二(横浜FM)が引き出されて一瞬、真ん中が空きそうになるなど、日本はやや落ち着きを欠いた。が、立ち上がり20分間が過ぎると相手も失速。日本が一気に主導権を握った。

 そして22分、左CKから先制点を挙げる。遠藤とのショートコーナーから中村俊が、ゴールラインギリギリのところまでえぐって転びながらクロスを上げたのだ。次の瞬間、ファーサイドで待ち構えていた高原がヘッド。難なく1点目を奪った。5分後には、中村憲剛(川崎F)からボールを受けた加地がアーリークロスを入れる。これを受けた高原が鋭い反転でDFをかわしてシュートし、ゴールネットを激しく揺らした。昨季ブンデスリーガで2ケタ得点を記録した男はこの日、体調不良に悩んでいたという。「ゆうべ全然寝られなくて、喉も痛くなってきた」と試合後に打ち明けた。そんな状態でもこれだけ派手な結果を残せるのが、高原の高原たるゆえんだろう。

 この日、最も理想的なゴールだったのは3点目。中村憲が出したスルーパスに走りこんだ遠藤がシュートを打とうとしてGKに倒されPKを得たのだ。このチャンスに至るまでのパス交換とスペースを作る動きは日ごろの練習の賜物。中村俊も不可解なイエローカードを受けながらも動じずにPKを決め、日本は前半のうちにほぼ勝利をモノにした。
 後半も早い時間帯はいいペースが続いた。開始早々から遠藤がGKと1対1になるなどいきなり追加点のチャンスが巡ってきた。9分には鈴木啓太(浦和)を削ったUAEのセンターバック、B・サイードが退場。数的優位となった日本は10分に中村俊の好位置からのFK、17分に遠藤のサイドチェンジを受けた中村俊がドリブル突破からフリーシュートを放つなど、立て続けに決定機を迎えた。が、こういうビッグチャンスを逃せば、どうしても流れは相手に傾く。後半21分には、1つのミスからUAEにカウンターで1点を献上。非常に嫌なムードに包まれた。

 追い討ちをかけたのが高原の体調不良。絶対的エースが自ら交代を要請したことで、ボールの収まりどころがなくなった。26分には中村俊も下がり、30分すぎには鈴木まで右すねを打撲でピッチを去った。常軌を逸した高温多湿で選手たちの疲労もピークに達したのだろうが、チーム全体が精彩を欠き、決め手を失った。選手たちはただ単純なパス回しをしているばかり。巻や途中出場の羽生直剛、水野晃樹(ともに千葉)も得点に直結する仕事ができなかった。「後半だけなら相手に負けていた」と中村俊も冷静に振り返った。結果的に3−1で勝ちはしたものの、またも後味の悪い結末になってしまった。
 絶対的なエースである高原、セットプレーから点の取れる中村俊という2枚看板を欠いた時、一体、誰がゴールを奪うのか…。今のオシムジャパンには大きな課題が突きつけられたようだ。単にボールを回しているだけでは相手は怖くない。どこからでも点が取れるような形を作らなければ、ここから先の戦いはより厳しくなるだろう。

 それでも、何とか初戦のミスを帳消しにし、B組トップに躍り出た日本。16日のベトナム戦に勝てば文句なしに1位通過が決まる。グループ2位だとバンコク、クアラルンプールへの移動を余儀なくされる。「移動したくないから絶対に次も勝ちたい」と中村俊も強調していた。ここへ来て新たな負傷者が出たうえ、ベトナムより休養日が短いというハンディキャップを抱えてはいるが、2日間の調整時間を最大限有効に使ってコンディションを整えるしかない。

 オシム監督の手腕、選手たちの底力を今こそ見せてほしい。

以上

2007.07.14 Reported by 元川悦子
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