7月28日（土）J2 第31節 山形 vs 愛媛（19:00KICK OFF/ＮＤスタ）
-ゲームサマリーはこちら-

-勝敗を予想して豪華賞品を手に入れろ！ J2グランプリ投票締切迫る！-
-「NON STOP J2!」 J2・7月特集はこちら-
----------

　山形のある選手が、今週の連戦の厳しさをこう話す。「肉体的にもそうだし、頭の回転もどうしても遅れたり、集中が切れやすくなる」。また、別の選手は「疲れてくるとそれぞれ孤立して個人技になってしまう。キレが良ければこんなプレーもできるのに、と思うこともある」ともどかしい思いを吐露する。春には６連戦もあったが、気温も湿度も高い夏場のそれはまた違ったシビアさが選手たちを襲う。今節は３連戦の３戦目にして中２日。戦術的に大幅な修正は難しく、リカバリーの成否や選手層の厚さも勝敗に少なからぬ影響を与えることになるが、とにかく、試合はやって来る。

　６戦連続で先制しながらその間１勝と勝ちきれなかった山形は前節、アウェイで徳島と対戦。財前が蹴り横山が決めるＦＫで後半に先制すると、そのまま逃げ切り５試合ぶりの勝利を挙げた。それまではゲームプランを遂行しながらも勝ちきれない試合を続けていたが、「特に前半は我々が目指すアグレッシブにボールを奪い、アグレッシブに攻撃を仕掛けるというサッカーができていませんでした」（樋口監督）というその試合で、欲しくても手に入れられなかった勝点３を得たのだから、サッカーは奥行きが深い。

　内容的には満足も納得もできるものではないが、勝点３はチームに安堵とさらなるモチベーションをもたらす。上位２チームは抜け出しているが、３位仙台との勝点差が９と一桁になったことも連戦の疲れをほんの少しだが和らげている。追い続けなければならない状況は変わらないが、前へ進むには勝つことこそがもっとも効果的な推進力になる。

　しかし、その結果を出し続けるためにも、乗り越なければならない壁がある。守備でゲームをつくり、７試合連続で先制してはいるが、この７試合はすべて１点止まり。課題としている２点目は第14節以降取れていない。決定機は逃すがつくってはいて、徐々に２点目に近づきつつあった。しかし、前節は先制後に２点目を取りにいく意志は見えたが押し込まれる時間帯が多く、追加点を匂わせるプレーは見られなかった。今節はフィールドプレーヤーで唯一開幕から出場し続けている左ＳＢ石川が出場停止となるが、すっきりと勝ちきって次節の休みを迎えたい。

　このところ守備が安定している愛媛にとっても、得点力を上げることが最大の課題となっている。今季チーム17得点は現在Ｊ２ワースト。エースストライカー田中俊也の負傷による長期離脱もあり、それはさらに急務となっているが、そのなかで前節・水戸戦で最大の話題は、新加入のジョジマールが初先発したことだろう。周囲との連携はまだ入り口の段階にあることは否めず、この試合での左足のご開帳はお預けに終わった。スペースへ出てくさびのボールを受ける動きでは、勝手知ったる内村がさすがに慣れたものだが、胸トラップやターンで見せるボールタッチのやわらかさは、愛媛の得点力の柱になれるポテンシャルを十分に感じさせる。ジョジマールがフィットするほどに、チャンスは広がっていきそうだ。

　２節前の湘南戦では、相手ボランチにプレッシャーをかけてボールを奪い、一気に攻めきった先制シーンもあったが、江後の縦への突破、森脇のミドルシュート、大山のプレースキックなど、フィニッシュに至るまでのバリエーションはあるだけに、高い位置でポイントをつくり、相手陣内に押し込む展開をつくりたい。今節は星野が出場停止となるが、今季２連敗と苦手意識も芽生えつつある山形戦をクリアし、上位と連戦する8月でジャイアントキリング再現の弾みをつけたい。

　それぞれの課題を抱えながら、勝点３をめざす両チーム。勝点3を得るための高いハードルを疲れた体で跳び越えることになるが、届きそうで届かない「あと少し」を届かせるのは、スタンドからの後押しにほかならない。

以上

2007.07.27 Reported by 佐藤円