■アントラーズファン感謝デー2007 本田泰人引退試合
7月29日(日)17:04キックオフ/カシマ/17,262人
鹿島アントラーズ1993 4−2 ヴェルディ1993
得点者:'9 武田修宏(ヴェルディ1993)、'26 ジョルジーニョ(鹿島1993)、'55 石塚啓次(ヴェルディ1993)、'69 オウンゴール(鹿島1993)、'73 眞中靖夫(鹿島1993)、'80 本田泰人(鹿島1993)
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15年間鹿島アントラーズひと筋。「キャプテン」という代名詞を背負い続け、チームにとってかけがえのない選手だった本田泰人が引退した。
「本当に終わるのかな、というのが正直なところですね」
本田の漏らした言葉が多くの人の気持ちを代弁している。
現役時代、チームが獲得した9つのタイトルすべてに関わってきた。90年代、常勝軍団としてJリーグに君臨した鹿島は勝って当たり前と思われていた。そんなチームを常に支え続けてきたのが「キャプテン本田」という選手だったことは間違いない。
今回、引退試合を行うにあたり、対戦相手となったのはJリーグ初代チャンピオンをかけて争った93年のヴェルディ。鹿島アントラーズ1993対ヴェルディ1993ということで、両チームのOBが多数集まった。
鹿島アントラーズ1993の先発がGK佐藤洋平、DFは右から賀谷英司、大野俊三、奥野僚右、古賀聡、MFにサントス、本田泰人のダブルボランチ、前目に増田忠俊、石井正忠、FWに黒崎久志、アルシンドという布陣。対するヴェルディ1993は、GK菊池新吉、DFに右から加藤善之、柱谷哲二、中村忠、都並敏史、MFは中盤の底に三浦泰年、そしてラモス瑠偉、北澤豪、菊原志郎が流動的に動く、FWに戸塚哲也と武田修宏というメンバーだった。
ゲーム内容としては、アルシンドが足を滑らせるシーンで笑いを誘ったもののエキシビジョンマッチとは思えないほど白熱。9分にヴェルディの武田が現役時代を彷彿とさせるような、こぼれ球をきっちりとゴールに流し込む技術を見せヴェルディが先制。対する鹿島も増田を中心にヴェルディゴールに迫った。そして26分、途中出場したジョルジーニョが右サイドを突破、センタリングがそのままゴールに吸い込まれ鹿島が同点に追いつき前半は終了した。
後半、先にゴールを奪ったのはまたしてもヴェルディだった。高い位置でボールを奪い、石塚がキーパーとの1対1を冷静に決め再びリードを奪った。本田選手の引退試合ということで、何としても負けるわけに行かない鹿島は、残り30分となったところで柳沢、本山、小笠原、曽ヶ端といった現役選手を次々投入。一気にゲームの主導権を握った。オウンゴールで同点、真中のミドルシュートで逆転すると、さらにこのゲーム最大のクライマックスを迎える。80分、浮き球のスルーパスに抜け出した真中がペナルティエリア内で高桑と交錯すると主審は迷うことなくペナルティスポットを指さした。蹴るのはもちろん本田泰人。
「疲労度が結構高かったので、思い切って真ん中に蹴ろうと決めてました。ちょっと危なかったですけどね(笑)」
とコメントしたように真ん中に蹴りこまれたボールは右に倒れた高桑の足に当たってゴール!エキサイティングなゲームに花を添える結果となった。
この日集まった選手の多くがすでに引退しているにもかかわらず、現役さながらのプレーで観客を沸かせたのは嬉しいことだった。鹿島で元気だったのは、増田や相馬直樹といった面々。増田は前線を攪乱し、相馬はさすがのタイミングで攻め上がりを見せた。ディフェンスでは奥野が的確な指示を出し引き締め、スタジアムの実況席に座った岩政に「勉強になる」と言わしめた。ヴェルディも負けてはいない。ショートパスをつなぐ華麗なパスワークはいまだに健在。ラモスを中心に、最後まで勝負に対する執念を見せた。
そして、主役の本田泰人。試合前の対談で、小笠原に「今日のパフォーマンス次第で復帰もあり得る」と冗談を飛ばされていたが、これが最後の試合とは思えないプレーを披露。アルシンドを制して自ら蹴ったFKや、ラモスからボールを奪い真骨頂を見せたシーンなどでスタジアムを大いに湧かせた。
93年のチャンピオンシップの再現ということでいうと、ジーコが参加していなかったのはとても残念だったが、試合後にビデオレターで登場。「あなたの存在は、永久に人々の心に残るはずです」というメッセージを贈っていた。
チームメイトを叱咤激励する姿、すっぽんマークと呼ばれたねばっこいディフェンスで数々の外国籍選手を苦しめた姿、常勝軍団のキャプテンとして多くのトロフィーを誇らしげに掲げる姿、そして引退試合で夫人から花束を渡されたときの穏やかな笑顔。それぞれ、思い出す姿や顔の表情は違うかも知れないが、ジーコの言うとおり、その存在を決して忘れることはないだろう。
試合後のセレモニーの後、本田選手のヒストリーがスタジアムのスクリーンに映し出された。愛娘を抱きかかえた本田選手は控え室に下がる階段の途中に腰掛け見入っていた。
そして、その背後の少し離れた位置に選手がひとり。本田からキャプテンを受け継いだ柳沢敦が静かにスクリーンを見上げていた。
「また再び、強いアントラーズが復活する兆しがあるんでね、もっともっとボクもサポートしていきたいと思います」
力強い言葉を残して本田泰人はカシマスタジアムを後にした。
以上
2007.07.30 Reported by 田中滋
★試合終了後の各選手コメント
/jsgoal_archive/news/00052000/00052082.html
★試合終了後の本田泰人選手(鹿島アントラーズ1993)コメント
/jsgoal_archive/news/00052000/00052081.html
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