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【J2:第32節 草津 vs 札幌 レポート】試合巧者の札幌が草津を一蹴。草津が「負癖」を払拭できるのはいつになるのか?(07.08.06)

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8月5日(日) 2007 J2リーグ戦 第32節
草津 0 - 3 札幌 (19:03/群馬陸/5,532人)
得点者:'35 中山元気(札幌)、'78 砂川誠(札幌)、'87 藤田征也(札幌)

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この試合を観ていて、MF秋葉が常々、口にしている言葉を思い出した。
「『負け癖』を排除して、『勝ち癖』をつけなければいけない。勝ち癖がつくと、たとえ内容が悪くても勝ち方が身についているので勝つことができる」
今季、着実に白星を積み重ねることで勝ち方を覚えた札幌と、第2クール以降、停滞が続くことで勝ち方を忘れた草津。その差がスコアに現れたゲームとなった。

ゲーム序盤はむしろ草津が札幌を圧倒していた。草津は過去2回の対戦(草津の1勝1分)と同じように、札幌のゾーンディフェンスの「穴」を突いていく。氏原や高田が、札幌の最終ラインとボランチとの間で起点を作り、2列目の選手がその裏へと走り込む。ワンタッチ、スルー、ヒール…、草津の攻撃陣がバイタルエリアで繰り出すコンビネーションプレーに札幌の守備陣は受身に回る。「J2の1位のチームの戦いとはとても思えなかった」(三浦監督)。

不安定な札幌の守備ラインにも助けられ、前半20分までに3度もの決定機を作り出した草津だったが、ゴール前に立ちはだかったのは昨季草津に在籍したGK高木だった。「今季、草津にだけ勝てていなかったので意識はしていた。古巣という考えは捨てて、敵チームだと思ってプレーした」という札幌の守護神は、草津のシュートをことごとくブロックし、チームに勇気を吹き込んでいく。
そして迎えた35分。札幌はダヴィが左サイドで倒され、FKのチャンスを得る。ゲームの流れ、時間帯を考えても、草津は絶対に守らなければいけない場面だった。だが、セットプレーの重要性を知り尽くす札幌の選手たちの集中力は、草津のそれをはるかに凌いでいた。砂川が蹴ったボールに合わせた中山が、打点の高いヘッドを振り抜きゴールへと突き刺す。ワンチャンスを決めてくる札幌の試合巧者ぶりは、ここまでのリーグ戦で培われたものだろう。

草津は後半開始早々こそ、新ブラジル人FWカレカを起点に札幌ゴールへと迫るシーンも見られたが、ゴールを割ることができずに時間が経過。後半になって札幌が草津のDFにプレッシャーをかけ始めたこと、キーマンに対しての距離をつめたことで草津の攻撃の精度は下がっていく。「前半、守り方自体はいつもと同じにしたが、これは私のミスでもあった。後半に修正をかけたことで落ちついてきた」と三浦監督。草津は札幌に隙があった前半にゴールを奪えなかったことが悔やまれる。また、本来ストライカーであるはずのカレカがチャンスメークに回ってしまっている現状は、チームとして改善していかなければならないだろう。

時計の針が進むごとに楽になっていく札幌は78分、藤田のクロスを砂川がファーサイドから押し込み追加点。87分には藤田が強烈なミドルを突き刺し、草津との第3戦に終止符を打った。スコアこそ3−0と完勝だったが、前半の内容を見る限り、札幌に絶対的な強さはみられない。ただ、札幌の選手たちがそれを自覚していることが、札幌のいちばんの強みなのではないだろうか。

札幌に敗れ13試合連続で勝利から見放された草津だが、黒星が混んでくることで選手にも迷いが生じている。「堅実なプレーが自分の特長だと思うが、リスクを負ったプレーも求められている。自分の中で、それがうまく処理できない」と櫻田。草津にとりついた「負け癖」を払拭するのは簡単なことではないが、これ以上の低迷はチームに様々な悪影響を及ぼしてくるだけに、1日でも早くここから脱出したいところ。カレカ加入という新しい風が、負け癖という暗い影に飲み込まれてしまうことだけは絶対に避けなければいけない。


以上

2007.08.06 Reported by 伊藤寿学
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