【リーグ後半戦展望】--------------------
2年ぶりのJ1リーグは開幕黒星のスタートになったが、続く強豪・川崎F戦に引分けると、3節の横浜FM戦は4-1と圧勝。以降、苦しい展開になる試合も多い中でしぶとく勝点を積み重ね、6勝5分7敗で中断期間を迎えた神戸。開幕早々にMF三浦淳宏をケガで失うなど不運にも見舞われたが、個々が役割に徹する中で苦境を乗り越え、白星を掴んで来た感が強い。
途中、三浦の移籍にまつわる諸々の出来事でチームが揺れた時期もあり…というよりは、今もそのことに対する結論は出ていないものの、チームはMF大久保嘉人を新キャプテンに据え、目の前の勝利だけに集中している印象。約1週間にわたって行われた高知キャンプも含め、この中断期間には徹底して身体をいじめぬき、フィジカルの充実と戦術理解の浸透に時間を割いたようだが、新たに獲得したMFディビッドソン純マーカスやMF酒井友之を含め、その成果に手応えを感じながら、後半戦を迎えることになりそうだ。
その後半戦の戦いにおいて、ポイントになるのは『波のない戦い』ということになるだろう。前半戦を振り返ると、結果はもちろんのこと、試合の流れ、内容に波があり、それが自らの戦いを苦しめたという現実があるだけに、そうした試合の中での波をなくし、90分を通して安定した戦いを繰り広げられるかが、まずもっての課題。
それは、殆どの試合をボランチとして存在感を発揮したMFボッティも感じるところらしく「試合の流れ、展開によって、やれていたことがやれなくなったり。マーク出来ていたり、出来なかったり。ボールが回ったり、回らなくなったり。それが獲れていたはずのポイントを落としたり、ということに繋がってもいた。後半戦はまずその部分をなくし、監督の求めているサッカーを全員がしっかり共通理解をもってやっていくことが大事」と話している。
加えて『慌てない戦い』も求められる部分。若いチームだということもあってか、流れによっては落ち着きを失い、決して内容は悪くないのに攻め急いだり、自らバランスを崩していくことが多い神戸だが、そこは開幕前から松田監督が不在を嘆いていた『ボランチ』、経験豊富なMF酒井のコントロールに期待したい。実際、この中断期間に行われた練習試合でも、移籍直後であったにも関わらず、中盤に落ち着きをもたらせる動きが目立つなど、存在感を示したMF酒井。またスタイルは違えど、大型ボランチMFディビッドソン純マーカスも新天地に懸ける並々ならぬ思いをピッチで示してくれるはずだ。
そうした新旧選手がうまく融合しながら、きっちりと勝点を積めれば、過去のJ1リーグのように、残留を目標にした戦いを続けることもないはず。また、過去には一度も叩きだしたことのない『年間順位、一桁』も見えてくることだろう。そのためにも、下位チームに取りこぼしのない戦いを意識しながら、手堅く勝ち点を積み上げる後半戦であって欲しい。
【後半戦のキープレーヤー】----------
酒井友之選手(MF / No.44)
昨年の覇者、浦和から出場機会を求めて、完全移籍を決意したMF酒井友之。ご存知、前所属の浦和は昨年のリーグ王者で常勝チーム、神戸は今季J1リーグに復帰した若いチームということで、両者にクラブとしての経験、実績の差があることは否めない。だが「メンタル面の強さだとか、優勝の経験を通じて学んだこと、など、ピッチ内外で学んだことを経験としてチームに伝えられればいいと思う。神戸は若いチームですが、個々がそれぞれいい武器を持っている。それをチームとして1つの力にして戦えるよう、自分もチームの力になりたい」と酒井。
それはおそらく神戸も望むところで、松田監督も「彼の経験を活かしてもらえれば」と期待を寄せる。先のU22日本代表との練習試合では、合流間もない状況でぶっつけ本番的にゲームを行ったため、連携不足や、チームの戦い方に対する理解不足も感じたが、「コンディションさえ戻ってくれば、守備から中盤、中盤から前線とビルドアップするための橋渡しをしっかりやっていきたい。そこはこれからコミュニケーションをとっていく中で解消されていくと思う」。その言葉を信じ、新天地での活躍に注目したい。
【再開時の予想フォーメーション】----------
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開幕前から本職のボランチ不在に嘆いていた松田監督だったが、この中断期間には新潟からMFディビットソン純マーカス、浦和から酒井友之というボランチの獲得に成功。選手層に厚みを持たせて後半戦に挑むことになった。再開前の練習試合等々を見る限り、酒井&ボッティのダブルボランチに収まりそうだが、本来、ボッティは攻撃的MFの選手だということを踏まえて考えるなら、例えば、酒井、マーカス、田中、キム テヨンのうち2人をボランチに据え、ボッティを前線にあげるなど、前線の顔ぶれにバリーエションを持たせることも可能だろう。
また前半戦の殆どをケガでリハビリに費やしたDFエメルソン トーメも完全復活を遂げたことから、昨季は鉄壁を築いたトーメ&北本のセンターバックも再現できるだろうし、成長著しいU22日本代表DF河本やDF柳川らもポジション争いに加わってくるはずだ。
唯一、手薄なのがサイドバックか。前半戦の途中からポジションを奪った右SBのDF石櫃は7月13日に左膝を負傷。全治約3週間のため、再開試合となる11日の磐田戦は微妙。となると、開幕5試合を右SBで先発出場していた茂木の先発が濃厚だが、いずれにせよ層の薄さは気になるところだ。
以上
2007.08.06 Reported by 高村美砂














