【リーグ後半戦展望】----------
18節までで8勝4分6敗の6位(勝点28)。昨年の4位という成績を上回ることを目指す清水にとっては、この結果は不本意なものだった。「勝ちきれない試合が多かった」というのは、長谷川監督だけでなく選手たちの口からも多く聞かれる言葉だ。逆転負けが2試合、リードしながら終盤で追いつかれて引き分けた試合が2試合あり、堅守を誇る清水としては、たしかに納得できない部分がある。
そのあたりの要因のひとつには、チーム全体として後半での運動量の低下が昨年よりも目立つ点が挙げられるだろう。この部分は、中盤の形を昨年までのボックス型からダイヤ型に変えて守備の負担が増した影響もあるが、戦い方によって修正可能な部分でもある。つまり、主導権を握る時間をできるだけ長くし、悪いボールの取られ方をする場面を減らすことができれば、守備での消耗を減らすことができるからだ。パスをつなぐ能力は、チーム全体としてかなり上がっているので、そうした戦い方ができるポテンシャルは十分に持っている。
10番の藤本も「速攻でいけなければ全体でゆっくり回すのも必要だし、その中でどこかでスピードアップしてシュートで終わったり、最悪ゴールキックにしたりとか、うまい試合運びをするのが大事」と語るように、勝っているときのゲームコントロールという部分を、若いチームが徐々に身につけようとしている。
それに加えて「プレッシャーがかかった中とかトップスピードの中で、いかにフィニッシュの精度を上げられるか」(長谷川監督)という部分と、「90分間しっかり戦えるだけの体力」という部分を大きなテーマとして、中断期間に韓国遠征(ピースカップ)とハードなトレーニングを行なってきた。得点数、失点数(とくに試合終盤の失点の多さ)とも満足できない前半戦だっただけに、その両面でグレードアップして、昨年と同様、夏場に猛チャージをかけることを目指している。
攻撃の連携が高まり、選手個々の調子も上がってくれば、ダイヤ型に変えた中盤も本領を発揮し、メリットのほうが強調されてくるだろう。そうなれば、攻撃力は昨年以上に高まり、守備の負担も軽減される。それこそが、長谷川監督の頭に描く2007年型エスパルスの姿のはず。それがピッチ上で十分に表現できるかどうかが、後半戦の明暗を分けることになるだろう。
【後半戦のキープレーヤー】----------
藤本淳吾選手(MF / No.10)
矢島卓郎選手(FW / No.9)
岡崎慎司選手(FW / No.23)
攻撃力・決定力の向上という部分でも、ゲームコントロールという部分でも、藤本の調子や働きぶりが大きなカギを握ることは間違いない。彼自身の得点も、ここまでPK2本を含めた3ゴールと、まだ物足りない。本人も「とくに調子が悪いとは思っていない」と言うが、調子に乗り切れていないのも認めるところ。この中断期間では、韓国遠征で海外の3チームと戦い、「学ぶことが多かった」と大いに刺激を受けた藤本。彼が巧みにゲームをコントロールし、フィニッシュにかかる部分では、ひらめきとキレを発揮してくれれば、それだけでもチーム力は大幅に向上するはずだ。
もう1人、何としても調子を上げてほしいのは、藤本と同じ2年目の矢島。前半戦ではなかなか力を発揮できずに苦しんだが、持っているポテンシャルは非常に高い選手だけに、何かきっかけをつかめば一気にブレイクする可能性もある。
また、今季大きな成長を見せ、ここまでチームでトップタイの5得点を決めている岡崎も、カギを握る選手の1人。岡崎と矢島が熾烈なポジション争いを繰り広げ、お互いに切磋琢磨しながら成長していけば、チームとして足りない要素である後半の「ジョーカー」の役割も、どちらかが担ってくれるはずだ。
【再開時の予想フォーメーション】----------
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清水のスタメンは、2トップ以外はほぼ不動の形。ダイヤ型の中盤もそのまま継続されるだろう。序盤戦では、フェルナンジーニョをトップに置いて、トップ下を枝村や岡崎が務めるパターンもあったが、最近ではフェルナンジーニョはトップ下で固定されている。フェルナンジーニョ自身も調子を上げてきているため、この形が真価を発揮してくるという期待感は、開幕時よりも高いだろう。
そんな中でいちばんの注目点は、エースのチョ ジェジンと2トップを組むのが、岡崎なのか矢島なのかという点。中断前の時点では、内容でも結果でも岡崎が一歩リードしていたが、矢島も調子を上げてくれば大きな武器になる選手。また、矢島は途中交代で使うよりもスタメンで使ったほうが力を発揮する選手なので、矢島を先発させておいて、岡崎をスーパーサブとして起用するという考え方もあるだろう。
また中盤には、得点力のある五輪代表候補の枝村や、ボランチを得意とする杉山、左右両サイドもトップ下もこなせる高木純らが控えている。鳥栖から期限付き獲得したストライカー、アンデルソンも比較的早くチームに馴染み、流れを変えるための交代策も、以前よりバリエーションが増えてくるはずだ。
以上
2007.08.06 Reported by 前島芳雄














