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【再開直前! J1各クラブ戦力分析レポート:磐田】主力の復帰と新加入選手の獲得で戦力整う。守備の改善をはかり優勝争いに加わりたい(07.08.06)

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【リーグ後半戦展望】----------

開幕当初からケガ人の続出に苦しんできた磐田。そのため、なかなか思うようにメンバーが揃わず、前半戦は試合ごとに調子の波が大きい戦いとなった。だが、そんな中でも9勝1分8敗の7位(勝点28)につけていることは、チームとしての地力の高さを物語っているとも言えるだろう。アジアカップに参加した太田だけでなく、前田も復帰早々に日本代表候補として選出され、10番の成岡も大きな成長を見せており、日本人だけで構成された前線は、高いポテンシャルを見せている。得点もここまで30ゴールで4位タイの数字であり、さらなる伸びも期待できる。

問題は、31点という失点の多さ(上位12位までで最多)。「3ボランチでやっていながら、この失点の多さは問題」(アジウソン監督)と、守備の不安定さが大きな課題となっている。ただ、だからといって戦術面を大きく変えるということはない。アジウソン監督としては、「個人的なミスによる失点がほとんどだった。集中力の問題もある」と言うように、細かい部分のポジショニングやマークの受け渡し、個々の判断力の向上などで十分に修正は可能という考え方だ。
また、開始15分までの失点が多い(8失点でJ1最多)ことも試合展開を苦しくしている。最後の15分での失点も多い(9失点)ため、疲れが出てきた中でもしっかりとボールをつないでゲームをコントロールするということも、選手たちには要求されている。

ただ戦力的には、すでにエースの前田が完全復活しており、西もマルキーニョス パラナもケガから復帰して、中盤にはブラジルのフィゲレンセからエンリケを獲得。前半戦に比べると、戦力がかなり整い、楽しみな状況になってきた。成岡や大井といった次代の中心となるべき選手も自信をつけ、五輪組のカレンや上田も結果を出している。あとは、チームとしていかに機能するかが最大の焦点となりそうだ。

以前の磐田に比べてカウンター・サッカーになっているという声もあるが、「主導権を握って戦いたい」と語るアジウソン監督は、しっかりとボールをつないでビルドアップしていくことを目指し、練習でもその点を重視している。ただ、選手個々の運動量が少なくなると、パスコースが少なくなって思うようにボールをつなげず、プレッシャーをかけられてミスを犯し、ボールを奪われるという悪循環が生まれる。とくに試合の立ち上がりで、そのようにしてリズムが悪くなることが多いので、そのあたりも大きな課題となるだろう。いずれにしても、守備の改善をするためには、チーム全員が高い意識を持つことが大切になる。

アジウソン監督は、細かい部分の判断やポジショニング、プレーの精度などについて厳しい要求をする指揮官。選手たちがその要求に十分応えることができるようになってくれば、磐田が上位に進出し、優勝争いに絡んでくる可能性も十分にあるだろう。


【後半戦のキープレーヤー】----------

西 紀寛選手(FW / No.11)

前半戦ではケガが重なってわずか4試合の出場にとどまった西だが、彼がいるといないでは、今の磐田はかなり違ってくる。前線で、前田が中央、太田が右寄り、そして西が左寄りでプレーすることによって、中央からも左右からもバランス良く攻めることができ、攻撃のバリエーションが大きく広がるからだ。また、太田と西には動きの自由が与えられており、サイドの入れ替えもしばしば行なわれるため、相手としてはこの2人がつかまえにくい存在となる。

西の魅力は、ラストパスでもシュートでも最後の崩しの部分で決定的な仕事ができること。そのあたりの判断の速さや勝負強さには日本人離れしたところがあり、何かやってくれそうという期待感を抱かせてくれる選手だ。この中断期間で前田とのコンビネーションはかなり良くなっているので、あとはアジアカップから戻った太田やトップ下の成岡らと良い関係が作れれば、フィニッシュに至るルートはかなり増えてくるだろう。そこにボランチのファブリシオやマルキーニョスパラナ、さらに両サイドバックなどが絡んでくれば、攻撃の厚みも増してくる。磐田の攻撃力をさらに高めるためには、西の活躍が欠かせないものになるはずだ。


【再開時の予想フォーメーション】----------

図は、再開初戦(神戸戦)がアウェイゲームであるため、攻撃的に戦うことを想定した予想。ただ、一般的な4-2-3-1とは多少異なり、太田や西が自由に動いて2トップ気味になったり3トップ気味になったりするので、単純に1トップとは言いにくい形だ。DFラインは、田中が出場停止のため、センターバックが鈴木と大井のコンビになりそうだ。

また、アジウソン監督は対戦相手によって布陣を少しずつ変えてくることが多いので、相手によっては、前線を1枚削って3ボランチにすることもあるだろう。その場合、もう1人のボランチは(現状では)上田になる可能性が高いが、ブラジルのフィゲレンセから新たに獲得したエンリケが、早くチームにフィットしてくれば、彼を起用してブラジル人3人のボランチというめずらしい形になる可能性もあるだろう。

そして、相手が完全な2トップの場合には、ボランチの1枚が下がって、逆に両サイドバックは高い位置をとり、3バック気味になることもある。そのように相手に応じて守備の形を微妙に変えるのは、日本代表のオシム監督のやり方にも似ているが、その中でマークのズレが生じないようにするには、選手個々の的確な状況判断が必要になってくる。

以上

2007.08.06 Reported by 井上慎也
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